ベータマックスのメンテナンス 回転ヘッドの手作業清掃

 

前回にご紹介しましたSL-HF3000の修理に続きまして、今回はベータマックス殆どの機種に共通する、回転ヘッドの清掃のご紹介です。

ベータ方式に限らず、ビデオテープは映像信号の高周波信号を記録するため、信号を読み取るヘッドは、再生中に高速回転して読み取っています。ここが汚れると映像にノイズ混入したり、最終的には何も映らなくなってしまいます。

定期的にクリーニングテープを使うことが推奨されていますが、クリーニングテープを使っても改善されないことがあります。そういった場合、手作業でヘッドを掃除すると、映像が蘇ることがあります。

掃除の仕方は、いくつかあると思いますが、私が行っている方法は、表面がつるつるしているマット紙を使った方法です。綿棒や布を使った方法もありますが、ヘッドが高速回転しているときに、繊維が絡まる恐れがあり、最悪の場合ヘッドを破損してしまいます。

 

まずはカセットがない状態で、ローディングの状態にします。

カセットハウジングにあるロック機構(赤矢印)を手で解除し、カセット台を押し込みます。台が降りたら、カセット挿入の検出スイッチ(黄矢印)を手で1回押すと、ローディング動作がされ、再生など動作が行えるようになります。

 

マット紙にエタノールを浸します。数滴染み込ませるくらいで大丈夫です。ヘッドドラムに当てた状態で、ヘッドを手で回します。数秒で十分効果が出ます。

 

次に回転ヘッドにある隙間の掃除です。ここにも汚れがたまります。こちらは停止状態で、綿棒とエタノールを使っていきます。先にこの部品が邪魔なので取り外しておきます。

 

エタノールを染み込ませた綿棒で溝に沿うように隙間を掃除していきます。この時、綿棒をヘッドに引っ掛けないように、細心の注意を払います。その都度、手でヘッドを動かして、ヘッドを避けながら綿棒で掃除してきます。

テープと回転ヘッドの密着をよくするために、こちらも忘れずに行いたい項目です。隙間を掃除したら、最後にテープが巻きつく部分を拭き掃除して終了です。

以上がヘッド清掃作業の一通りです。もし1回の掃除で映らなければ、マット紙でヘッドを再度繰り返し清掃します。しかし何度やっても改善が見られない場合は、映像回路やテープパスに異常がある可能性もありますので、限度として5回を判断基準としています。

電気系統に異常がなければ、ヘッドの清掃のみで映像が映るようになる可能性もありますので、諦める前に試す価値があります。更にはこれだけで故障として廃棄されてしまうのは、とても悲しいです。
 

ベータマックス SL-HF3000 の修理 映像は出るのに音が出ない

 

今回はベータマックスの修理の様子です。

ベータマックスの中でも、ベータプロと称される、編集に特化したSL-HF3000です。

機械的な部分は、イジェクト機構が少し不調だっただけですが、なるべくあって欲しくない、電気系の故障を患っていました。

再生すると映像はきれいに映るのに、なぜか音が出ない。Hifi(ステレオ)だけでなく、ノーマル(モノラル)音声も出ません。音声信号の回路に異常があると推測し、確認してみました。


伝送路を順にたどって、信号が通っているか確認しましたが、異常はありません。さらに回路をじっくり眺めていると、一つの部品が目に留まりました。

 

こちら、電子工作をやっている方ならご存知の、三端子レギュレータです。テスターだけでなく、電流が大きく流れる部品に関しては直接手で温度を確認します。

そうです。この7809を触ってみると冷たかったのです。そこでテスターで電圧を測定すると、6.3V程度しか出力されていませんでした。通常9Vを出力するはずなので、故障の疑いが強いです。

その後、新しい7809に交換しました。はたして結果は….

 

大正解でした。

ちなみに、どんな機種でも同じように考えることが出来ますが、音声・映像信号が、微小なノイズすら無い場合は、元の電源が壊れている可能性もあります。

電源が壊れると、その電源で動作する全機能が使えなくなりますので、いくつ機能が駄目になっているかで、ある程度故障のタイプが判定できるかと思います。
こういった電気系統の故障の場合、故障した部品を特定するため電気測定が必要になります。感電やショートなどの危険を伴いますので、十分に注意が必要です。

電気系の修理は難易度が高くなりますが、無事治ったときの感動は大きいです。