オークションにおけるカセットデッキ転売の是非


皆様こんにちは、西村音響店の西村です。

今回は、オークションで目にする、カセットデッキの整備品についてのお話です。

実は、ソニー製DATデッキの修理をされている方が、当店をご紹介してくださいまして、大変恐縮しております。DATデッキでも、不適切に修理されてオークションに出品されている事例があるそうです。

この方の記事のリンクを貼っておきますのでご覧下さい。http://blog.goo.ne.jp/dtc2000pro/e/83ce691b37c37cccb9fbdb505df5f310

 

 さて、カセットデッキもDATデッキも、オークションに出品されている整備品は、全てとは断言できませんが、不適切な修理を行った機器が出品されている事例があります。当店のお客様は、ワンオーナーの方、物置に眠っていた物を依頼される方が多くを占めます。しかし、時にはオークションの整備品を依頼される方もいらっしゃり、いざお送りいただいて状態診断を行うと、不適切な修理を発見する事があります。

 その整備品を出品するためには、オークションでジャンク品を仕入れます。そして、動く状態にした上で、高値で再びオークションに出品します。このマージンが利益になります。自社サイトで販売する方法もありますが、小規模であればオークションだけで完結した方が、検索にも当たりやすく、販売効率は良いと思います。大まかには、こういった方法が採られています。これがいわゆる転売です。

 しかし、私はこの転売に3つの疑問を感じています。

 

 一つ目は、責任感です。

 落札したジャンク品は、一旦は出品者の所有物になります。ですので、万一壊したとしても、出品者だけの被害で済みます。しかし、お客様からの依頼品では、その問題だけでは済みません。場合によっては、部品を移植してでも直さなければならない時もありますし、最悪の場合には賠償のケースも考えられます。修理が終わっても、不具合が起きれば再修理も当然です。

 こういったリスクも背負わなければならないため、転売とは責任の重さが全く違います。責任の少なさから、不適切な修理も横行しやすいと考えています。ましてや、不具合があった場合でも、ノークレーム・ノーリターンで責任回避する事はもっての他です。修理して販売したからには、責任を持つべきだと思います。

 

 二つ目は、オークションでの独占です。

 オークションに出品されている、ジャンク品の入札者をご覧になったことはありますでしょうか。ジャンク品の入札者をよく調べますと、特定の機種・メーカーに同じ方がいつも入札している事が多く見られます。なぜ特定の機種に集中しているか、理由は同じ機種に絞ったほうが効率が良いからです。構造も同じですので、同じやり方が効きます。

 しかし、カセットデッキのユーザーからの視点では、色々な機種のデッキが欲しいという方も多くいらっしゃいます。そこに独占状態であると、その機種が欲しくても買いにくくなってしまいます。そもそも、同じ機種ばかりやっているとなると、元々カセットデッキにあまり興味の無い方という風に感じる事もあります。本当に好きで興味のある方なら、色んなデッキが欲しいはずです。

 仮に、本当に欲しい方が、どれだけ高値を張ってでも入札してきたら、むしろ転売者の利益が少なくなるだけです。利益を確保しようとして出品時に高値にしても、売れなければ売上はゼロです。さらに、その機種のジャンク品が少なくなれば、転売も不利になるでしょう。私としては、独り占めなどせず、多くの方の手に渡って欲しいものです。

 

 三つ目は、そもそも転売すべき物ではない事です。

 転売というと、よくネットビジネスで耳にする手法で、私でしたら海外から仕入れて国内で売るといった方法がふと思いつきます。ネットビジネスの転売は比較的難易度が低い部類になるかと思います。副業の1つとしても認知されています。

 しかし、カセットデッキのような精密機器は、副業レベルで販売するものではありません。修理には高度な知識・技術が必要で、習得にも年単位で時間がかかります。実際に私も、修理を始めた当時は、今の状況では到底販売できないレベルでした。「ベルト交換済み!」と謳っている出品物も見かけますが、ベルト交換だけで済む話ではありません。

 オーディオは電気系の知識が必要と思われる事があると思いますが、カセットデッキを含むテープデッキ全般は、むしろ機械系の知識が必要です。両方の知識が必要ですので、実は難易度が高かったりもします。

 そもそも転売せずとも、お客様との信頼を結ぶことが出来れば、直接ご依頼してくださる方も増えますので、本来なら直接受けることが望ましいと思います。ジャンク品でも、お客様が好きなものを買っていただいた上、信頼できる方へ修理を依頼すれば、より安心して使っていただけます。代償として、責任も重くなりますが、お客様の機器を無事に修理できて感謝される方が、モチベーションも上がります。技術の上達度も違います。

 

 副業にしろ、本業にしろ、修理する以前に商売の基本も大切だと思います。私は事業者の立場になりますので、修理技術と商売方法を両立して勉強しなければなりません。私も最近になって思うようになりましたが、カセットデッキの修理は決して楽なものではありません。上手く事がならず、悔しい思いをすることも多々あります。しかし、それを乗り越えることで、日々上達していくのです。
 
 
 
まだまだ、研究と試行錯誤は続きます。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
 
 修理レポートの方が全然進んでおらず、大変申し訳ございません。現在も依頼件数が増えており、なかなかレポートに手がつけれない状況です。記事投稿まで時間を頂きますが、ご理解いただけましたら幸いです。