西村音響店

TASCAMのカセットデッキ◇112や122は有名だけど134はご存知ですか?

 

TASCAMのデッキとあなたはどの機種が一番お好きですか?

ベーシックな112ですか? それとも、3ヘッド&オートリバースの112Rですか? いやいや、やっぱりダイレクトドライブ&3ヘッドの122ですか?

さて、今回のデッキも同じTASCAMですが、134という機種はご存知でしょうか。あまりというか…滅多に見かけない機種かもしれません。

TASCAM 134 マルチトラックカセットデッキ

 

134の正体はマルチトラックデッキ

一般的なカセットデッキは、左チャンネルの信号で1つのトラック、右チャンネルの信号で1つのトラックというように、片面で2つのトラックを使います。そして裏面でまた2つのトラックを使います。

表と裏でトラックを2つずつ使うことで、カセットでお馴染みである、裏返すと違う音が出るというところに繋がります。

一方、マルチトラックデッキは、片面で一気に4つのトラックを使います。つまり、裏面が使えません。裏返して再生すると、曲が逆再生されるだけです。まぁ逆再生はこれで面白いかもしれませんが…(笑)

 

同時に異なる4つの音を再生するということで、メーターも4個付いています。縦型のメーターがなかなかかっこいいです。

個人的にはかっこいいと思いますが、TASCAMのカセットデッキで唯一のデジタルメーターです。

TASCAMはアナログのVUメーターが標準装備ということで、ちょっと…どうかな?と思ってしまう部分もあります。

 

134の変態ポイント

マルチトラックデッキというだけでも変態かもしれませんが、まだまだ変態ポイントがあります。

倍速モードを搭載。

テープを送る速度を倍にすると、録音時間が半分になる代わりに、より高音質な録音ができるようになります。

実はこのデッキの先代にあたる234という機種があります。234もマルチトラックデッキですが、倍速専用でした。普通のカセットテープを再生すると、LP盤を78回転で再生したような感じになります。

134は通常スピードと倍速を切り替えれるようになっているので、一応普通のテープも再生できます。さらに嬉しいことに、ピッチコントロール機能付きです。

 

ハイポジしか使えません。

しかし、ハイポジ専用であるところは先代の234と変わらず。一体なぜなのでしょうか。

業務用なので別に利便性は不要だったのか、音質面でハイポジじゃないとまずいのか、理由になりそうなものは幾つか挙がりますが、謎です。

倍速モードでノーマルテープに録音できるデッキは存在するので、別にハイポジ専用である必要はないと思いますけどね… あと考えられるとしたら、もうノーマル用のイコライザー回路を詰め込むのが無理だったとか。

ノーマルテープしか新品が買えない今にとっては、最もネックなポイントかもしれません。

 

シャトルダイヤル搭載。

シャトルとは、ダイヤルを左右に動かすことで直感的にテープの送りや戻しができる機能のことです。

ダイヤルを左にスライドするば前に戻り、右にスライドすると先に進みます。

元々ビデオデッキに搭載されるような機能ですが、なぜかカセットデッキの134に付いています。いかにも編集作業に特化したデッキであることがうかがえます。

 

アンプも同じ回路が4セット

同時に4つの音を録音・再生するということで、アンプも同じ回路が4つ付いています。そのために基板の枚数も多く、112や122と比べて身が詰まった感じになっています。

 

磁気ヘッドはマルチトラックということもあって、同時に4トラックの録音再生ができるもものが搭載されています。

TASCAM 134 録再ヘッド

ヘッドが回転しないオートリバースデッキと同じタイプのヘッドですね。オートリバースの場合は、テープの送り方向を逆にすることで裏面を再生します。

実は消去ヘッドも、1トラックずつ消去できる特殊なものが使われています。普通のカセットデッキで例えるならば、ステレオで録音されているテープで左チャンネルだけ消去するといったイメージです。

このような特殊な消去ヘッドを搭載しているので、トラック1だけ再生、残り3つのトラックは録音といった高度な編集ができます。

 

ヘッドだけは特殊ですが、それ以外のメカニズム部分は他のTASCAMのデッキと同じです。そして壊れる場所も他のTASCAMと同じです。

TASCAMカセットデッキ ギヤ割れ

 

一応普通のテープも再生できるけど…

マルチトラックという非常に特殊なデッキではありますが、通常のテープスピードに対応しているところは歓迎したいポイントです。

ハイポジとメタル限定にはなってしまいますが、お陰で普通のカセットデッキで録音したテープも再生できます。

さらに改造すれば、ノーマルテープの再生も不可能ではありません。実際にちょっと改造して実験してみましたが、まずまずの音で再生できました。

ちなみに普通のテープを再生するときは、3chと4chをミュートしてあげればOKです。

しかし、いくら普通のカセットテープが再生できるとは言っても、一体このデッキ誰が使うんですか?という話ですよね…

と言いつつ、実は出どころが青と黄色のなんちゃらOFFだったりします(笑)

ぜひTASCAMが大好きという方は探してみてはいかがでしょうか?

TASCAM134 マルチトラックデッキ

 
 

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