珍種!3ヘッド・オートリバース・ダブルカセットデッキ <前編>

 

カセットデッキで最も音が良いとされるのは、3ヘッドでワンウェイ、さらにクローズドループ・デュアルキャプスタンを採用している、多くのブランドで高級モデルにあたるデッキでしょう。

しかし音質に対して機能性を重視したデッキに、オートリバースやダブルデッキといった、比較的安いモデルがあります。残念ながら構造上、カセットテープの性能を十二分に発揮しきれないため、あまり注目はされないデッキとなっています。

前置きはここまでにいたしまして、今回ご紹介するデッキがこちら。

TOWAという、私でも聞き覚えのないブランドですが、デッキのボタンがどこか見たことのある形状です。ご存知かもしれませんが、TEACの業務用であるTASCAMのデッキにこれと同じものが採用されています。

TOWAの正式名称は「東和エンジニアリング」と記載されていました。中身もどうなっているのかあまり見当がつかず、初めはごく一般的なダブルデッキで、TASCAMのメカなら、色々部品流用が効くだろうと、推測しておりました。

しかし、扉を開けてヘッド部分を確認してみますと….

拡大して確認していただくとわかりやすいかもしれませんが、なんと左右両方とも3ヘッドのメカが搭載されています。これには驚きました。こんなデッキが存在していたなんて、思ってもいませんでした。しかも、オートリバースですから、単純にTASCAM 112Rが2台搭載されていると言って、過言ではないと思います。

 

キャビネットを開けてみますと、112R二台分ということもあり、この複雑ぶりです。ぎっしりと凝縮されています。整備の際は、どのコネクタがどっちのデッキなのか、間違えないように工夫する必要があります。

 

さて、開梱当初の状態は、デッキ1(左)は問題なく再生ができますが、

こちらのデッキ2(右)は、ヘッドが上がり切らず、エラーとなってしまいます。少しメカが固着気味のようでした。さらに、このTASCAMと同じメカであることは、よくギヤが破損して動かなくなると言われる症状にも当てはまります。破損する前にギヤの交換も行うことにしました。

整備作業に移りますが、ダブルデッキですので作業時間が2倍かかります。時間が掛かることもそうですが、何より飽きてくるのが辛いです。両方のデッキを1日でやるのは、精神的な面からお勧めしません。

 

前面パネルと、ボタン部分のパネルを取り外しているところです。パネルにも配線が繋がっていますので、複雑な配線の中から探して、該当するコネクタを抜きます。マジックなどのマークや、写真での記録が必須です。

 

システムコントロール回路は、左右独立していますので、基板も2枚です。配線も全て抜いてしまいます。

メカのユニットを降ろすことに成功しました。TASCAMのメカは、それなりに重量もありますので、2台分搭載されているという事は、本体重量も重くなります。正確には量っていませんが、10kgくらいはありそうです。

 


TASCAMのOEM製品であれば、どこかにTEACの表記があるはずですが、確かに表記がありました。

 

整備方法自体は、TASCAMの112、112R、122と同じで、もちろん所有しているマルチトラックの134も同じです。

 

100%の全分解ではありませんが、潤滑グリスを再び入れるのに必要な分解は、これくらいまで分解する必要があります。

 

アイドラーもゴム製から、滑りにくく低騒音なシリコーン製に交換しました。

メカを組み立て中です。TASCAMのメカの作業は、難易度的にはどのくらいでしょうか。ご自身でメンテナンスをやっている方で、それぞれ得意不得意があると思いますが、私は、皆様から作業を受諾する以上、好き嫌いはあってはなりませんので…どの機種でもこなせるように、技術の向上に努めています。

 

デッキ1のメカの作業が終わりました。所要時間としては、途中雑用などで手が止まる時もありましたが、3時間程度でした。これを、もう1サイクル行うので、また時間が掛かります。これがダブルデッキの悩みどころですね。

どうしてダブルデッキが、活発に取引されない大きな理由が、ここにあると思います。幾ら安くてもカセットデッキの仲間ですから、廃棄されてしまうのも、少し悲しく感じます。

続きの後編では、デッキ2のメカの整備です。文章が少ないですが、出来る限り細かいステップで画像に記録していますので、作業の推移がご覧いただけると思います。

後編はこちら
 

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