TEAC V-770の修理 メカのオーバーホール

 

SONYやAKAIは比較的旧い機種も整備を行いますが、TEACの古い機種、具体的には1988年以前のメカ設計がTEAC独自であった頃のデッキが、あまり数を熟していなく、今回はV-770という、3ヘッド・シングルキャプスタンのデッキを整備します。

V-770は、クラスの位置づけとしては、中の下くらいでしょうか。新しい機種でいうと、V-3000あたりのクラスになるかと思います。

今回も画像たっぷりでご紹介します。


内部の様子です。かなりシンプルな回路です。状態としてはキャプスタンベルト切れで再生できない、またメカのモード切替用のベルトも切れている状態です。

 

それで、通常ならベルトが切れていたとしても、モーターが空回りするので何かしら動作音が聞こえるはずですが、何も聞こえません。

暫くすると、何やら熱を発しているような異臭がしました。危険と判断して直ちに電源を切り、その異臭の元を探してみると、モーターを駆動するICが異常発熱していることが分かりました。

発熱していることは電流は流れているので正常です。ただ、電流が大きすぎて異常発熱しているということですので、モーター部分を見てみました。

一見普通のモーターに見えますが、これはかなり疑わしい状態です。よく見ると、何かでこじられた跡があります。つまり、ここを開けてブラシをメンテナンスしようとして、取付けに失敗して、2枚のブラシが接触してショートしているというかなり危険な状態です。

このまま通電し続ければ、駆動ICも熱で破壊される恐れがあるでしょう。いち早く原因を特定できたのが幸いです。

メカの点検に入る前に、モーターが本当に故障しているか、電源装置を使って電圧をかけてみます。一旦、メカを本体から降ろします。

電源装置の電流計をよくご覧ください。1.0Aまで針が振れているのが見て取れると思います。安全の為に電流制限をかけていますが、もし制限がなければ忽ち針が振り切れます。カセットデッキでは余程電力を消費する機種でなければ、1.0Aは危険な電流値です。

このモーターは使用できないので、使えるものを流用して対処します。


さてここからは、メカの整備です。まずはキャプスタンの取り外しからです。シングルキャプスタンながら、重量のあるフライホイールです。

前面にあるネジ2つを外し、からリールモーターを取り外します。


再び背面に回り、カム用のギヤを外します。接点も外して置かないと、ストッパーであるEリングを外すことが出来ません。

リール台の取り外しです。小さいストッパーがありますので、紛失しないように注意です。V-9000は、もっと厚さのある物が使われていますが、V-770では薄くなっています。取り外し方自体は両者全く一緒です。

扉のロック機構など、外せる部品からどんどん取り外していきます。

ヘッドブロックも外し、ほぼ全ての部品を取り外しました。V-9000よりは部品点数は少ないです。TEACメカの特徴である大きなベルトプーリーがあり、同じ設計の様に見えますが、異なる部分も幾つかあります。

V-9000の兄弟にR-9000がありますが、その関係でV-9000はリバース機にも使用できる設計になっていること、対してこのV-770はワンウェイ専用であるという違いがあります。


それでは、一点ずつ部品の清掃とグリス塗布を行いながら、元に組み戻していきます。ベアリングもありますので、転がっていかないように気を付けます。

キャプスタンベルトが溶けて切れていたので、溶けたゴムを拭き取って、ベルトを張り替えます。

モーターを取り付けました。例の故障したモーターは、AKAIのメカから流用したモーターに交換しました。ちなみにAKAIやA&Dのメカで、頻繁にモーターを交換するのは、扉の開閉時にモーター音が大きく、中にはモーター音が気になる方がいらっしゃるため、最近は積極的に行っています。


いよいよメカの取付けですが、このV-770は、メカと前面パネルを固定するタイプで、プラスチックのパネルに、重いメカを取り付けるのは、少しコツが必要かもしれません。本体のシャーシも、予想以上に貧弱で、少しの力でしなってしまうので、取付けに時間が掛かってしまいました。

やっとメカを取り付け、パネルを本体に固定しました。汚く出している2本の配線ですが、これは、先ほどメカの組み戻しの時にモーターに接続しなかったものです。

理由は、モーターの極性を調べる為です。誤って逆に接続して逆回転するといけないので、接続する前にICから出力される電圧を確認します。イジェクトボタンを押した時、メカ正面に向かって反時計回りに回転します。その反時計回りに回転させるにはどちらを+にすればよいか、電源装置を使って電圧を印加し、回転方向を見て+端子を決めます。そしてICの+の電圧が掛かる線を、決めたモーターの+端子に接続します。画像ではテスターが負電圧を表示しているので、テスターのマイナス端子が、ICの+ということになります。

極性が分かってから初めて接続します。この辺は、電子回路の知識が必要ですので、慣れていないと危険を伴うかもしれません。

無事に再生できるようになりました。まだ精密な調整は行っていませんが、社外メカのV-1000シリーズよりは、走行が安定しているように感じます。それほど高い機種ではありませんが、基本設計はしっかり押さえていると思います。
 

コメントを残す