ベータマックス SL-HF95D イジェクトの速度を変える

 

残念ながら、このSL-HF95Dの復活は難しく、断念せざるを得ませんでした。せっかくなので、イジェクト用のモーター電圧を変えて、イジェクトのスピードを変えたらどうなるか、やってみました。

ちなみにこの手は、同じ構造のメカを搭載したデッキ1987年以降発売のデッキでしたら可能です。方法は難しくありません。

矢印で指しているツェナーダイオードを弄ればよいだけです。DCモーターを駆動する三洋製のLB1649に、ツェナー電圧で、出力電圧を制御できる端子があり、そこを利用することで自由に、モーターの電圧を変えれます。

標準では5.6Vのツェナーダイオードが接続されています。ダイオードは順方向電圧で0.6~0.7Vが必ず掛りますので、その電圧を引いた5.0Vがモーターの電圧になります。

では、ここを変えてみましょう。この構造のメカに使われている、イジェクト機構ですが、破損がよく起こると耳にします。ですので、今回は遅くしてみます。

標準状態はこちらです。リールモーターの紹介動画の流用で申し訳ありあせんが、通常ではこれくらいです。


 

では、まず5.1Vのツェナーダイオードです。

実際のモーター電圧は、約4.5Vです。


 

ちょっと遅くなったくらいで、ゆっくりになったことで、イジェクト時の振動も軽減出来ることと思います。

もっと遅くしてみたらどうなるのでしょうか。3.9Vのツェナーダイオード、モーター電圧は約3.3Vです。


 

これはさすがに遅すぎですね。また、カセットの質量があると、持ち上がらずに、イジェクト出来ないこともありました。

正直、こんなのは修理にまったく関係なく、ただのお遊びですが、こういった事が私自身好きで、むしろ、どうでもよい部分を弄ると、勉強になることもあります。

ICのデータシートなんかを読むのも、回路の推測がより出来ますので、かなり有効です。

 

ベータマックス SL-HF95D 巻取り速度アップ

 

STK5478電源ICの対処につづき、テープが走らない状態に対処していきます。

(STK5478の対処はこちら)

早速ですが、どういう状態か動画でご覧いただきましょう。



音からして、かなりの摩擦でテープが走らないように感じます。その一番の原因は、テープが接触する部分にあります。特に、ガイドポストが固着して巻取りが遅くなったりすることが多々ありますが、ここまでになるのは見たことがありません。


(供給側ガイトポスト)


(巻取側ガイドポスト)

マイナスドライバーで簡単に緩めることができ、このように取り外せます。巻取側がよく固着して、巻戻しが遅くなります。基本的にはエタノールで洗浄します。潤滑だからといって、ここにグリースを塗ってはいけません。逆にグリースの粘りが、回転を阻害してしまいます。

ひとまずこれで、少し遅いながらも、正常に巻取りできるようになりました。しかし、カウント0へ戻るテープリターンではトルク不足で、止まってしまいます。ヘッドドラムや、固定ヘッドなど、接触する部分を徹底的に掃除しましたが、改善は見られませんでした。

仕方がないので、モーターのトルクを上げることにします。トルクを調整するには、1つの抵抗値を変えてあげればよいです。

矢印で指している抵抗です。ここの抵抗値を変更します。

片方の抵抗値を100kΩから68kΩに変更しました。

すると、通常DDモーターの駆動回路に入るのは8Vですが、10Vに上がりました。

DDモーターは、三洋電機製LB1615によって駆動されます。そのICに速度-位相制御端子(Vc)というものがあり、そこへ印加する電圧または電流で、速度をコントロールできるというものです。ベータマックスでは、電源の12Vは固定ですので、電流で制御していると思われます。

詳しいことは調べてみないと分かりませんが、電流制御のためのトランジスタが外づけされています。

動画で比較してみます。


Vc=8V


Vc=10V

機械的な動作は、ほぼ問題なく出来るようになりましたが、残念なことに映像が、かなり厄介なことになっています。

一見普通に映っているようにも見えるかもしれませんが、実際は、物凄くざらつきのある映像です。

ざらつきといっても、調整の狂いで発生するようなものではありません。調整用のボリュームを回しても変化が見られず、どこかの素子がやられているのではないかと思いました。

さらに、βⅠsモードでは、見ていられないくらいに映像が汚く、βⅡ・Ⅲでは、そのような事はないので不思議です。完全に修理しようとすると、これはかなり時間がかかってしまうと予想されるので、無念ですが断念せざるを得ません。

これほど重症になってしまうと、手に負えなくなることもあります。正常であれば、SHBモードを搭載した高性能なデッキですが、残念です。

片づけてしまう前に、ちょっとイジェクト用のモーターを弄ってみましたので、よろしければ続きをご覧ください。

(続きはこちら)