AKAI GX-R60EX


 

 

概説

 1986年に発売された、アカイのオートリバースデッキである。前年のGX-R60からマイナーチェンジされたモデルだ。

 

 上位機種のGX-R70EXにある、電子式ボリューム、録音レベル自動調整、リニア分数カウンターが省略されている。その分、定価も安くなっているが、dbxは省略されていないので、エアチェックを行わなければR60EXでも問題ないだろう。

 録音/再生ヘッドは、3ヘッド同等の構造をもったツインフィールド・スーパーGXヘッドを搭載。1つのヘッドの中に、録音用と再生用の2つのコイル(ギャップ)が内蔵されている。カセットデッキで良い音質を得るための理想に近づけており、2ヘッド=安物 という印象は全く感じられない。

 さらに、再生アンプには、最高級モデルのGX―93と同じオペアンプ(増幅器)が使われているので、先代のGX-R66よりも音のキレが増している。

 メカニズムも新しくなり、カセットリッドの開閉が電動式となった。ゆっくりと開く動作は、どこか高級感も感じられる。各動作における作動音も非常に静かでスムーズ。機敏でスムーズな動作は、アカイのカセットデッキポリシーを感じる。

  

 dbx付きの698(ロッキュッパ)。しかもツインフィールドヘッド。コストパフォーマンスと音質のバランスでは、大変優れている1台だ。

 

GX-R60EXの音質

 

徹底的に分解する。

 GX-R70EX、GX-R60EX、ともに同じ構造のメカニズムが使われています。

 この種のメカニズムでは、故障して動かなくなるケースは少ないです。しかし、潤滑油(グリース)の劣化は進むにつれて、動きが鈍くなります。すると、部品に余計な力が加わって悪い場合は破損してしまうリスクもあります。ですから、一見問題なく動いていても、分解整備はぜひ行っておきたいものです。

 

GX-R70EXから省かれた部分

 外から見た違いは、電子式ボリュームではなく、通常のスライド式ボリュームに変わっている点などがあります。

 では、本体の内部では、どのような違いがあるのでしょうか。

 まずは、前面のパネルを外した、緑で囲んだ部分です。ここには本来、電子式ボリューム用のボタンがある基板が配置されます。よく見ると、基板を差し込むための穴であったり、ネジ用の穴があったりします。R60EXではこれらが省略されて、奥にスライド式のボリュームが設置されています。

 

 また、上位機種のR70EXには、録音レベルの設定を記憶する機能があります。その機能のための回路が、緑で囲んだ部分です。R60EXは機械的なボリュームなので、記憶用の回路は必要ありません。画像を見ると、電子部品が実装されていないことが見て取れます。そもそもスライダーの位置で物理に記憶できます。

 

 大きなアンプの基板にも、省略されて閑散としている部分があります。

配線の管理に注意。

 R60EXを分解整備をする際に気を付けるのは、メカニズムの背部にある配線です。モーター、スイッチ、センサーなど、メカニズムの動作に関わるものがここの基板に集まっています。いくつか外さなくてはならない線があるので、後から分かるようにマーキングが必要です。

 

音が左側しか出ないトラブル

 基板のはんだ付け部分に亀裂(クラック)があったことが原因で、音が出なくなってしまったトラブルです。

 具体的なこのような状態です。メーターが左しか振れていません。



 動画では録音スタンバイの状態ですが、テープ再生時も左側しか音が出ません。ただし再生時のみ、メーターが両方振れるという不思議な現象が発生していました。

 

 その発生原因が、画像の部分にありました。赤で囲んだ部分です。

 ここにはメーター表示用の回路があって、アンプの基板からケーブルを伝って入力されます。つまり、ここに音が入力されなければ、メーターが振れないということです。また、ライン入力の音声は、一旦この部分を経由して再びアンプ基板に戻る構成になっているため、音も出ないというわけです。

 赤の部分をさらに拡大してみましょう。はんだ付けの部分に注目してください。

 よく見ると、左から3番目と一番右のはんだに亀裂が入っているのがわかります。

 音が出ない症状というと、反射的に電子回路を疑ってしまうかもしれませんが、このような簡単な原因であることもあります。いきなり深刻に疑わず、まずは簡単な原因から探っていくのが良策です。

 

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