TEAC R-606X


 

 
 1987年ごろのdbxを搭載したオートリバースカセットデッキです。

 R-606Xの良いところは、廉価グレードでも最も強力なノイズリダクションであるdbxを搭載している点にあります。dbxというと高級モデルにしか搭載されていないイメージがあるかもしれません。

 高級機は人気が高く価格も高騰しがちですが、R-606Xは気軽にdbxの威力を体感できます。昔、dbx搭載のカセットデッキに憧れていた方に、この1台はおススメです。

 5~6万円台という安いグレードとはいえ、dbxを使った時の音質はないがしろにできません。初めてこの凄さに驚けば、今度はdbx搭載の高級カセットデッキが欲しくなるはずです。

 R-606Xの後継モデルとして、R-616Xもあります。こちらも同じくdbxを搭載したオートリバースデッキですので、併せてご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

dbxノイズリダクション = 音の強弱を少なくしてテープに記録する方式で、磁気テープ特有のノイズ(ヒスノイズ)が皆無の状態になります。

 


 

故障事例:再生できない時がある


 R-606Xの故障事例として、再生ボタンを押すと「カチッ、カチッ、カチッ、…」という音がするだけで、再生ができない症状がありました。

 その原因が、画像中の〇印の部分です。ここはレバーの首振り部分になっていて、動きを良くするための油(グリース)が塗られています。しかし、年数が経ってグリースが硬くなってしまい、レバーが動かなくなります。すると、再生ヘッドを上昇させることができなくなるので、故障するという仕組みです。

 まったく再生できなくとも、時々再生できる場合があります。このような場合は、運よくレバーが動いてくれたお陰です。しかし、このまま使わずに置いておくと100%故障します。動かさない方がむしろ壊れてしまうのがカセットデッキです。

 

キャプスタンは左用・右用があります


 R-606Xのキャプスタンは、右側と左側用で違います。どちらも同じ形をしていますが、間違えると動作が出来なくなってしまいます。

 右側用には根元の部分が歯車状になっています。これは、ヘッドの上昇動作をするためのものです。R-606Xはキャプスタンの回転を利用してヘッドを上げる仕組みになっており、この歯車が無いと再生ができません。

 

再生速度を調節するには


 R-606Xでは、再生速度の調整が比較的簡単です。キャプスタンモーターの外側に調整用のボリュームがあります。

 多くの場合は、モーターの中に同ボリュームがあり、小さなマイナスドライバーを奥まで差し込む必要があります。外からは見えないので、初めての場合は少し怖いかもしれません。

 R-606Xではボリュームが外にあるので、安全に調整できます。調整の際は、専用のテスト信号が収録されたテープ(テストテープ)の利用をお勧めですが、普通のテープでもある程度は調整できます。

 ただし、調整がずれたままR-606Xで録音してしまうと、他のデッキで再生した時に音が若干高くなったり、あるいは低くなったりする場合があります。録音で使うのでしたら、テストテープを使って確実に調整しましょう。

 
 

オートリバースは断線に注意


 オートリバースのカセットデッキに多く見られるのが、いかにも切れそうな細い配線です。

 R-606Xに限らず、オートリバースデッキを修理するときに注意が必要なのが、写真の〇の部分です。ここには磁気ヘッドの配線が通っており、もし誤って断線させてしまうと、録音と再生ができなくなります。修復も不可能です。
 
 オートリバースは磁気ヘッドを回転させるため、それに対応した設計が必要です。そのために、どうしても細い配線が露出していまいます。オートリバースではない、一方向のみのデッキはその必要がないので、細い配線が剥き出しにはなっていません。

 また、デッキによってはフレキシブル基板を用いたものもあります。こちらも、うっかり切ってしまわないよう、磁気ヘッドを取り外すときは注意が必要です。