SONY TC-K333ESR

※実際はサイドウッドが付属しています。

 

 
 1988年に登場したソニーの3ヘッド方式のカセットデッキです。

 上級機種のTC-K555ESRから一部機能を省略し、真ん中のクラスにあたるモデルとしてTC-K333ESRがラインアップされました。

 デザインは上級機種と同じです。画像のTC-K333ESRにはありませんが、本来はデッキの側面に木の板(サイドウッド)が付きます。ワンランク下でありながらも、高級カセットデッキの雰囲気を出している1台です。

 基本的にはTC-K555ESRと同じですが、メーターを見て録音レベルとバイアスを調整する機能が付いていません。録音レベルとバイアスの調整ツマミはあるので、調整自体はできます。ただ、メーターを見て、バイアスが浅すぎないか深すぎないかを確認することができないので、耳で聞いて調整を合わせます。

 録音するときの便利性や性能はTC-K555ESRに敵いませんが、再生を中心に楽しみたいのでしたら、ワンランク下なので少しお安いTC-K333ESRで十分楽しめます。
 

 

 

よくある故障 <ヘッドが上がらず再生できない>

 TC-K333ESRでよくある故障は、再生できないというものです。原因は矢印の部分で、分解してメンテナンスをしてあげれば、十分に復活できます。

 ここにはヘッドを上げ下げさせるためのレバーが取り付けられており、首振り部分となる矢印の部分には動きを良くするための油(グリース)が塗られています。しかし、年数がたつと徐々にグリースが固まります。やがて、動きを良くするものから、動きを悪くしてしまうものに変わってしまうのです。

 保管している環境によって、グリースが固まる早さに差はありますが、さすがに30年もたてば固まってしまうことでしょう。しかし、壊れていても復活の可能性はまだあります。まだカセットデッキは生きていますから、生きたまま火葬場に送らないでください。

 

よくある不具合 <ボタンが間違って反応する>


 ボタンが古くなると電気の流れが悪くなり、デッキが押したボタンを正しく認識できなくなります。すると、押したボタンと違うボタンが反応することがあります。
 
 例えば、録音を押していないのに録音になる、巻戻しを押したのに早送りになる、といった症状です。TC-K333ESRだけでなく、他のカセットデッキでも見かけます。新品のボタンに交換して、解決しましょう。

 

555ESRと333ESRの違い

 TC-K333ESRではメーターを見ながら調整を合わせる機能が省略されているのですが、実際に2台を写真で比べてみましょう。

 333ESRには、キャリブレーションモードに切り替えるスイッチと、「LOW・NORMAL・HIGH」の録音イコライザーを調整するスイッチがありません。しかし、録音レベルとバイアスのツマミはあります。

 録音イコライザーを調整する機能が付いていると、例えば、録音すると高音域が強すぎて耳を痛くさせてくるような癖のあるテープにあったとします。高音を弱めるにはバイアスを多く(深く)すればよいのですが、実はバイアスを深くしすぎると、録音される音が小さくなってしまうことがあります。そのときに、録音イコライザーを調整して高音を弱めてあげればよいのです。極端な例ではありますすが、バイアスの調整だけでは足りないというシーンで、録音イコライザーの調整が威力を発揮します。

 最低限、バイアスの調整ができれば良い音で録音できますが、極めるのであればイコライザー調整まで欲しいところです。1990年のTC-K222ESLであれば、安いグレードでもイコライザー調整ができますので、より良い音を録音したい方はTC-K222ESLもおすすめです。やはり、イコライザーは調整出来た方が何かと便利です。テープによっては、レベル+バイアス+イコライザーの3点が揃っていないと調整が合わないこともあります。

 
 
 このようにメーターを見て調整をしたいのであれば、555ESRを選びましょう。上手く調整ができれば、高性能なノーマルテープであれば+6dB以上の音でもひずむことなく録音できます。

 

メカニズムをぜんぶ分解するとこうなります。


 TC-K555ESRと同じということもあるので、機械的な部分は全く一緒です。

 全く一緒のことを利用すると、万が一部品が壊れていた場合に、双方で部品を移し替えることもできます。人間の手術でいう移植です。移植ができると、このままでは復活は難しいといったデッキも、復活する可能性が高くなります。カセットデッキを長生きさせるうえで、移植ができるかどうかは重要なポイントです。

 

強いて言えば再生アンプにも違いがありますが…


 555ESRも333ESRも、音質はほぼ同じですが、実は再生アンプにちょっと違いがあります。それは電源です。アンプを動作させるためには安定した電源が必要ですが、これを作る回路が両者で違います。
 
 555ESRはトランジスタやダイオードなど幾つもの部品で構成した回路になっているのに対し、333ESRは三端子レギュレータという部品を使ったコンパクトな回路になっています。

 

※三端子レギュレータ = 外見はトランジスタの形をしているが、これ1つと電解コンデンサーだけで安定した電源を作り出してくれる便利な電子部品。