SONY TC-K501ES

 

 1986年ごろの、オートリバース方式のカセットデッキです。

 TC-K501ESの特徴的な機能は、キャリブレーション機能です。メーターを見ながら左と右の録音レベルをぴったり合わせることできます。

 オートリバース方式のカセットデッキで、キャリブレーション機能が付いているデッキは殆どありません。理由は、録音と再生を同時にすることができないためです。

 ところがTC-K501ESでは、キャリブレーションモードに切り替えて録音すると、テスト用の信号を録音→巻戻し→再生、という操作をデッキが自動的に行います。再生のステップで、左右のレベルがメーターに表示されますので、最後に我々がメーターを見て調整を行うという形です。

 そのほかにも、曲のスキップ・頭出しをする機能、曲間の長い空白を早送りしてくれるブランクスキャン機能、透明のリーターテープを検知したら即座に反対側の録音に移るクイックリバース機能が付いています。

 磁気ヘッドも音質のよいアモルファスヘッドを採用していて、音質と機能性を両立した1台です。

 ソニーで「ES」とつく型番のカセットデッキは、基本的に3ヘッド方式の機種を指しますが、このTC-K501ESは「ES」が付きながらもオートリバース方式です。型番を一見すると、3ヘッド方式のデッキと思わされます。
 

 
 

 

 

TC-K501ESの中身


 フタを開けるとこのようなに、何本もの配線が複雑に行き来しています。

 ただ、1本1本の線が太いので、複雑そう見えるかもしれません。年代が進めば細い線になってすっきりした内部に変わっていきます。古いデッキほど、配線の本数が多い傾向にあります。基板の取り外しに少々時間が必要です。

 

TC-K501ESの基板


 基板を取り出して並べてみました。全部で3枚です。

 古いカセットデッキは、同じ1枚の基板の中でも、空中に配線を出して回路を作っているというのが常です。TC-K501ESにも、その部分があります。ですので、一見配線が複雑そうでも、着脱するコネクターの数はそれ程でもないことがあります。’90年代になれば必要最低限の配線しかなくなるので、基板の取り外しが比較的簡単です。ただし、基板の固定方法によってはその限りではないこともあります。

 

 古い電解コンデンサーを取り換えるために、基板を取り外しました。すると、一時的に空っぽの状態になります。

 左奥の電源トランスの配線だけは、コネクターがありません。そのため、はんだを吸い取って配線を抜いてあげる必要があります。電源部分で間違って接続してしまうと大変なので、線と基板にしっかり印をつけておきます

 

オートリバースでもレーザーアモルファスヘッド。


 TC-K501ESには、レーザーアモルファスヘッドと呼ばれるものを採用しています。

 レーザーアモルファスヘッドは、最上位モデルでも採用されている、音質に優れたヘッドです。音の輪郭がはっきりしているので、楽器がよく聞こえてきます。
ほかのヘッドよりも少々すり減りやすいという弱点がありますが、音質だけは非常に良いです。

 TC-K501ESはオートリバース方式なので、どうしても再生専用のヘッドがある3ヘッド方式には音質で敵いません。しかしながら、オートリバース方式の機能性という長所を組み合わせることで、音質と機能性を両立させているといえるでしょう。

 オートリバース用のヘッドは、配線が非常に細いです。取り外すときは、断線させないように注意します。

 

メカニズムをぜんぶ分解するとこうなります。


 再生ボタンを押すと「ガチャン!」と音がします。30年以上前に作られた古いカセットデッキには多いタイプです。

 なぜそのような音がするかというと、ヘッドが瞬間的に上がるためです。ゆっくりではなく素早く動作するので、大きな音を発します。ボタンを押すと即座に動く反応力の良さが特徴です。

 

ソニーの旧型メカ+オートリバースの部品

 TC-K501ESのメカは、最上位モデルと同じ構造のものを使っています。ただし、オートリバース方式ですので、そのための部品が付いています。


 オートリバースの部品がこちらです。裏面を再生したいときには、ヘッドを180度回転させなくてはなりません。
そのためにTC-K501ESは、キャプスタンから動力をもらってヘッドを回転させています。

 画像を見ていただくと、ソレノイドと歯車があります。青のビニールテープが巻かれている部品です。ヘッドを回転させるときには、ソレノイドを動作させます。すると、矢印のギヤとキャプスタン側の歯車をかみ合わせます。キャプスタンは常に回転しているので、動力をもらってヘッドを回転させることができるという仕組みです。

 

 ちなみにオートリバースの部分を分解すると、このようになっています。歯車のほかにレバーもいくつか付いていて、歯車が回ればレバーも連動します。レバーの先がヘッドとつながっています。

 

 今度は、メカの表側です。赤丸の部品は、バックテンション用のブレーキです。再生中、テープをヘッドに強く当てるための役割をします。表とウラを再生するTC-K501ESは、この部品が両側に付いています。一方で、一方向のみ再生する3ヘッド方式のデッキは、左側に1つだけしか付いていません。

 

 参考に最上位モデルのTC-K555ESXの写真をお持ちしました。少し比べてみてください。大部分は一緒ですが、先ほどのバックテンションの部品は左側しか付いていません。

 もう一つ、画像では分かりにくいですが、録音をロックするための爪を認識するスイッチにも違いがあります。
TC-K501ESは裏面の録音もするので、スイッチがオモテ用とウラ用2つあります。555ESXは一方向ですので、向かって左側にしかありません。

 しかし実は、両者ともスイッチは両側についています。TC-K555ESXで、必要ないスイッチは付いていないと思いきや、爪を認識する部分を折って無効にしているようです。