西村音響店

SONY TC-K555ESR

  • SONY TC-K555ESR

 

概説

1988年に発売されたSONYの最上級モデルです。

サイレントメカニズムに変わる前の、ソレノイドを使用した旧型メカニズムを搭載する最後の世代です。と同時に、独立懸架型のレーザーアモルファスヘッドを搭載する最後の世代でもあります。

基本構造は先代のTC-K555ESXと大きくは変わりません。メカニズムからアンプまで、デッキの中身はESXと殆ど同じです。

外観は大きく変化しました。サイドウッドが新たに装着されて非常に高級感が増したところが大きな進化点といえるでしょう。SONYのロゴは、ESX世代では中央にありましたが、一般的である左上に戻りました。

下位モデルにはTC-K333ESRが存在しますが、こちらもサイドウッドを装着し、高級感のある外観は同じです。アンプ回路の簡略化や、録音イコライザー切換え機構の省略、キャリブレーション機能の省略などで差別化されています。

 



 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

SONY TC-K555ESR テープ操作ボタン
【カウンターと操作ボタン】
この辺りはESXと変わらない。カウンターの表示は大きくて見やすい。
SONY TC-K555ESR カセットホルダ
【カセットホルダ】
開閉は手動式。ゴムダンパーを使用しているため、経年でゴムが劣化すると勢いよく飛び出すようになる。俗に言う「ロケットオープン」である。
SONY TC-K555ESR メーターと録音関係の操作類
【メーターと録音関係の操作類】
555ESRではキャリブレーションと録音イコライザーの切換えが可能。下位モデルの333ESRはこれらが省略されるため、スイッチの数が減る。
SONY TC-K555ESR キャリブレーションモード
【キャリブレーションモードのメーター】
▼に合うようにバイアスとレベルを調整する。録音イコライザーをどれに設定して▼に合わせるかで、仕上がりの音質が左右される。
SONY TC-K555ESR デッキ背面
【デッキ背面】
入出力端子は各1系統ずつ。電源回路が中央に配置されている関係で、電源コードも中央から出入りする。
SONY TC-K555ESR 製造年と製造番号
【製造年と製造番号】
昭和63年製。平成からは設計を一新したESG世代にバトンタッチする。昭和と平成で設計が大きく変わるため、ESR世代は大きな節目となる世代ともいえそうだ。
SONY TC-K555ESR 独立懸架型レーザーアモルファスヘッド
【録音/再生ヘッド】
独立懸架型レーザーアモルファスヘッドの最終世代である。撮影させていただいたデッキは、ヘッドの状態が非常に良かった。

 

デッキの内部

キャビネットオープン

 

 

デッキの分解画像

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SONY TC-K555ESR 本体底面
【デッキ底面】
底板を外すことができる。はんだ付けの部分が露出するので、電子部品の交換もしやすい。
SONY TC-K555ESR バイアス発振回路
【銀色のシールドの中身】
シールドの中は交流バイアスを作り出す回路。撮影させていただいたデッキで、バイアス関係の故障が疑われたたことからシールドの中を確認した。

【メカニズム後部分解中】
矢印で指している部品が、ヘッドを上昇させるレバー。ここが固着して動かなくなってしまう例も多い。

【ドンガラになったメカ前面】
中央にある茶色の基板は回転センサーである。明るさの変化を利用した方式で、カセットホルダを照らす電球が切れるとセンサーが反応しない。

【ドンガラになったメカ後部】
回転センサーや、ブレーキの作動を行うソレノイドは外せないので、幾つかの部品は残したまま清掃を行うことになる。
SONY TC-K555ESR メカニズムオーバーホール
【メカニズム全分解】
ソレノイドを使うタイプのメカなので、構造は意外とシンプル。ゴムベルトはキャプスタン用の1本のみなので、ベルト絡みの故障が一切発生しないのがこのメカの大きな特徴。とても壊れにくく丈夫。

【操作ボタンの基板】
頭出しなどの余計な機能が付いていないので、ボタンはこれだけ。画像は経年劣化で誤動作するボタンを新品に交換中。

【基板を外してドンガラになった555ESR】
メカを残して空っぽになった。次の555ESGからは銅メッキシャーシとなる。

【美品なヘッド】
ここまで状態のよいヘッドは大変希少である。撮影させていただいた方は元箱も保管しており、デッキ全体でも非常に良いコンディションを保っている。

 

撮影に協力していただいた方
・北海道 「ペンタ」さん

 

 

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