TEAC V-9000


 

 

1989年ごろに登場したTEACの最上位モデルのカセットデッキです。

 V-9000の特徴的なポイントは、光沢仕上げの立派なサイドウッドと、下側にある開閉式のカバーです。カバーの中には、ノイズリダクションやキャリブレーションのスイッチ類が納められています。サイドウッドは、高級カセットデッキの象徴としては当然かもしれません。

 TEACのカセットデッキは、左と右で別々のキャリブレーションができることで著名です。しかし、惜しくもV-9000ではできません。これがもし可能であったら、録音も再生も言う事なしでしょう。

 

 

V-9000のよくある故障 <再生、巻戻し、早送りができない>


 V-9000のメカの特徴的な部品として、画像右側の黄色いベルトプーリーがあります。ここにあるベルトが切れると、何も動作ができなくなります。

 この部分には、ヘッドの上げ下げやテープの回転を止めるためのブレーキを作動させる役割があります。もし、再生できないのであれば、ベルトが切れているかもしれません。過去に2回、ベルト切れで故障していたV-9000を見ました。ちなみに、プーリーを手で回せば、手動でヘッドを上げ下げすることもできます。

 

V-9000のメカをぜんぶ分解する。


 部品の数としては、それほど多くはない方でしょう。メカの取り外しもしやすく、保守性は良さそうです。

 カセットデッキを長生きさせていく上では、保守性の高いデッキが有利です。V-9000の後継であるV-8000Sからはメカの構造が新しくなって、サンキョー製のメカに変わります。今の日本電産サンキョーという企業です。通な方だと「サンキョーのメカ」というだけで「あぁーアレね。」と通じます。

 

基板を全部取り外したV-9000。


 V-9000には、上部に放熱用の穴があるので、しばらく掃除していないと中にほこりが積もってしまいます。

 画像は空っぽの状態ですが、本体の底にはあまり溜まりません。むしろ、基板の方にたっぷり積もります。埃まみれになった基板を掃除しなくてはなりませんから、一度空っぽの状態にします。

 

リールの回転はどうやって認識している?


 カセットデッキで、リールが回っているかを認識する方法はいくつかあります。V-9000は横向きに取り付けられたセンサーで、リール台のふちにある穴を認識しています。

 ほかにも、光の反射を使う方式や、マグネットを使った方式があります。テープの終わりに来たら勝手に停止するという機能はもはや当たり前ですが、この機能だけでも歴史があるのです。

 

キャプスタンモーターは普通です。


 V-9000のキャプスタン用のモーターは、一般的なカセットデッキによく使われているDCサーボモーター(※)です。最上位モデルであれば、ダイレクトドライブ(※)が当たり前と思ったら違います。

 あえてDCサーボモーターを使う理由に考えられるものとしては、R-9000との共通設計があります。オートリバース方式に、ダイレクトドライブは基本的に使えません。そのため、両方で使えるDCサーボモーターが使われたのではないかと考えられます。

(※)
・DCサーボモーター:一般的なDCモーターに、回転速度を常に保つための回路が内蔵されたもの。
・ダイレクトドライブ:ベルトを介さずキャプスタンを回転させる方式。安定性がよく、高級モデルにはよく利用されている。

 

電気式のバックテンション。


 カセットテープの音質を上げるには、ヘッドとテープの密着が大切です。そのために、多くのカセットデッキには、バックテンションというテープを引っ張る仕掛けがあります。

 V-9000のバックテンションは、電磁石を使って電気的に作動させる方式です。電流の量をコントロールすれば磁力を調整できる長所があります。これを利用して、いまテープのどの辺りを再生しているかをコンピューターが判断し、テープを引っ張る力を常に調節しています。

※バックテンション = ヘッドとテープをしっかり密着させるために、左側リールを少し回りにくくしてテープをぴんと張った状態にさせる仕組みのこと。

 

 

 軸側には、磁力を発生させるためのコイルが付いています。このコイルに電流を流すと、リール側にあるマグネットと引き合います。この原理を使ったのが、V-9000のバックテンションです。

 多くのカセットデッキでは、フェルトをリールに押し当てて抵抗をかける方法が使われています。しかし、押し当てるのにバネを使っているため、バックテンションの調整はできません。テープの始めと終わりでは、送り出し側のリール径が変わるので、必要なバックテンションの強さも変わります。できれば調整できる方が、音質向上とテープの保護により貢献するでしょう。