西村音響店

TEAC V-R1

 

概説

1981年頃の固定ヘッドタイプのオートリバースデッキです。一度にA面とB面の音を拾える4トラックヘッドを採用しています。

一般的なオートリバースデッキはヘッドが回転するため、A面からB面に切り替える際にどうしても録音が中断します。その中断時間を最小限にできるのが固定ヘッドタイプのオートリバースデッキ。

センサーが磁気テープとリーダーテープの境目を検知すると、一瞬で反転します。まさに電光石火のオートリバース。特にエアチェックなど、途中で録音があまり途切れてほしくない場面で威力を発揮します。

ノイズリダクションは、ドルビーのBタイプとdbxを搭載しています。キャリブレーション機能は付いていないので、音質より長時間録音を重視多デッキと言えると思います。それでも3ヘッド方式ではないデッキにしては申し分ない音質です。

その他にも特徴的な装備として、録音レベルの調整には電動式のボリュームを採用しています。ボリュームの操作を人間に変わってモーターが動かすというものです。人間はテレビの音量ボタンのように(+)(-)を押すだけ。押すと一定スピードで音量が変化するため、フェードイン・フェードアウトでは役立ちそうです。また変化のスピードも2段階で切り替えることができます。

デッキの外観は、特に操作ボタン周辺がポイントでしょうか。凹凸が全くない、いわゆるフェザータッチです。録音ボタンは赤、ポーズボタンは青という、TEACのボタン配色も活きています。デジタルのピークレベルメーターと相まって、ちょっとハイテクな雰囲気です。

 



 

外観の詳細画像

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【カセットホルダー】
リッドにはテープ残量を測るための目盛が入っている。十字ラインもデザインのポイント。
【メーターと操作部】
ハイテクそうな格好だが、テープセレクターは手動式。STOPボタンの左上に付いているALL CLEARボタンを押すとカウンターがリセットされる。
【カバーの中に隠れているもの】
録音バランスつまみ、OUTPUTレベルつまみ、RECレベルの変化速度を切り替えるスイッチがある。
【製造番号と製造年】
製造は1981年。ドルビーCが登場した年だが、V-R1はBタイプのみ。
【録再ヘッド】
マルチトラックヘッドを採用。ヘッドが回転しないため、消去ヘッドはフォワード用・リバース用が別々に設けられている。

 

デッキの内部

キャビネットオープン

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メカニズム部分

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【上から見たメカニズム】
メカの動作は全てモーターで行うタイプ。従来のソレノイドを使った設計と比べて動作音はとても静か。
【取り外したメカニズム】
マルチトラックなので、配線の数が多い。フォワード用とリバース用の配線があるので、接続の際は注意。

【メカニズム右側】
使われているゴムベルトは全部で2本。しかし1本は謎である。V-R1のカウンターは電子式で別にセンサーがあるため、カウンター用でもない。どう見ても機械式カウンター用っぽく見えるが…

【メカニズム背面】
背面にはマイコンが付いている。メカの各所からここに配線が集中しているため、このマイコンが動作を制御していると思われる。
【キャプスタンホイール】
フライホイールは標準的な大きさ。クローズドループ方式ではないが、音揺れは大きくないのでピアノソロも聴ける。
【カムギヤ部分】
ギヤに付いている接点によって、マイコンが動作の制御を行う。分解&組立ての時は、噛み合わせのずれに注意。

 

その他の画像

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機材協力してくださった方
・愛知県 花井様

 

 

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