概説
1993年頃に発売されたソニーの中堅モデル。ソニーでは初めてドルビーSを搭載した世代のデッキです。他社より2年ほど遅れてドルビーS搭載デッキが登場しました。
ドルビーSの回路は、ドルビーBやドルビーCと比べると倍ぐらいの面積を必要とします。そのため他社のデッキは、回路設計を大幅に変更したフルモデルチェンジさせた機種となっています。ドルビーS基板の搭載スペースを確保するためか、アンプ部の回路を簡素化した機種も見られます。
一方333ESJ/555ESJは、基本設計は1989年登場のESG世代を踏襲。手のひらサイズのドルビーS基板を開発して搭載することにより、従来の回路はそのままにドルビーSを追加搭載することが可能となっていると思います。
外観は、一つ前のESA世代と全くと言ってよいほど同じです。フロントにアール(曲線)を描いたサイドウッド、重厚なシャーシも顕在。しかし微妙な差ですが、相違点も幾つかあります。
操作関係では、ノイズリダクションとMPXフィルターが別々のスイッチになっています。また機能面は、CDダイレクト入力端子の廃止、ノイズリダクションインジケーターの省略がESJだけの違いです。特にインジケーター無しは、実際に使っていて少し不便に感じる箇所です。
次期モデルであるTC-KA7ESとTC-KA5ESでは、外観だけでなくアンプ基板の設計も大きく変わります。アンプ基板全体に表面実装部品が使われるようになり、音質も若干異なる味付けになっているように思います。外観の大幅な変化とともに、KA世代とESJ世代で好みが分かれるところかもしれません。
なお、上位モデルにはTC-K555ESJがあります。主な違いとして、銅メッキシャーシ、鋳鉄インシュレーターがありますが、外見は同じです。一応、555はもうワンランク上の機種ですが、既に333でこの風貌。
中堅機なのに最上級機の風貌、さらにドルビーSを追加搭載した、『333』の型番を名乗る最後デッキとして相応しい最高の中堅機と言えましょう。
【上位機種】TC-K555ESJ
【下位機種】TC-K222ESJ
TC-K333ESJの構造&搭載機能
ヘッド | 3ヘッド方式(録音/再生コンビネーション型・レーザーアモルファスヘッド) |
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メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・カムモーター駆動 |
キャプスタンの回転 | クォーツロック・ダイレクトドライブモーター |
テープの走行方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | パワーローディング |
スタビライザー | あり |
テープセレクター | 自動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C・S |
ドルビーHX-Pro | ON/OFF切替可 |
選曲機能 | あり |
ライン入力 | RCA端子1系統 |
ライン出力 | RCA端子1系統(固定レベル) |
メーター | ピークレベルメーター(-4dB=0VU 0dB=250nWb/m) |
キャリブレーション機能 | あり(録音EQ切替付き) 400Hz・8kHz |
カウンター | リニア分数 |
その他の機能 |
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TC-K333ESJの利点&欠点
◎中堅モデルなのに最上級モデルに匹敵する高級感
◎ドルビーSを搭載
◎録音EQ調整か可能
○アンプの設計をESG世代から踏襲している
(ドルビーS搭載のために回路の簡素化などもしていない)
○ゴールドとブラックの2色展開
△メカの動作を細いベルトで行うため信頼性が少々劣る
△ドルビーNRやMPXフィルターのインジケーターが無い
音質参考動画
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
無圧縮音源はこちら
【フュージョン・ロック】容量53.5MB
【ファンキーポップ】容量58.8MB
【ジャズ(ドルビーS録音)】容量30.1MB
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
デッキの分解画像
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
その他の画像
参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
【TYPEⅡ】SONY XⅡ (1993年)
【TYPEⅣ】SONY METAL-XR (1989年)
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
YouTube動画でも紹介しました
・東京都 ユタP様(2022年8月~9月撮影)