概説
TEACの業務用機器ブランド『TASCAM』のベーシックモデルにあたるカセットデッキです。
業務用機器ということで音質が良さそうな感じもしますが、確かに音質も良いです。ただ、音質も細かい部分を見ていくと、信頼性・保守性を意識した設計になっていることが伺えます。
2ヘッド方式・シングルキャプスタンの簡素な構成ですが、いざ聴いてみると意外と音がイイなと感じさせてくれるのが、この112です。にも関わらず、アンプの回路はとてもシンプル。
民生用の高級デッキも音は非常に良いのですが、幾つもの回路を通して音を作り上げているような感じが若干否めません。回路がシンプルな分、最もアナログらしい音を聴かせてくれると思います。
ピッチコントロール機能も、民生用ではあまり搭載されていない機能です。テープをパソコンに取り込んでデジタル化する時や、(今は少ないかもしれませんが)カラオケなどのお稽古の時に重宝するかもしれません。
針式のVUメーターを装備している点も見逃せないポイントです。人の声がメインとなる場面ではVUメーターの方が便利ですが、それよりも大事なのはカッコよさ。TASCAMのカセットデッキに人気を博す装備の1つだと思います。
外観の詳細画像
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【前面左側】 カセットホルダーは手動式。ピッチコントロール機能が付いている点が大きなポイント。カウンターは簡素な4桁式。
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【前面右側】 3つの大きな銀色のボリュームが、TASCAMの最大のチャームポイント。テープセレクタは手動式。ノイズリダクションは、ドルビーのBタイプとCタイプに対応する。
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【録再ヘッド】 オーソドックスな2ヘッド方式。パーマロイヘッドだと思われる。そのためか、2ヘッドにしては音質はかなり良い。
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【デッキ背面】 RCAの入出力端子が1系統ずつ付いている。XLR端子は搭載されていない。横長の差し込み口はリモコンのための端子。
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【製造年と製造番号】 この112は1991年製。まもなく112MKⅡにモデルチェンジを控えている頃ということで、比較的後期に製造された個体と思われる。TEACブランドでは既にV-8000SやV-7000など、メカが中央にマウントされたモデルに変わっている。
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デッキの内部
キャビネットオープン
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【メカニズムの上部】 TEACブランドでは既にサードパーティ製のメカニズムが使われているが、この112は旧型どころか2世代前のものが使われている。保守性を考えてのことだろうか。
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【アンプ部分】 業務用というとごちゃごちゃしているイメージがあるが、綺麗に1枚の基板にまとまっている。回路がシンプルな分、アナログらしい音で比べたら下手な高級デッキに負けていない。
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【取り外したメカニズム】 メカニズムの動作を制御する基板も一体となっているため、奥行きのサイズが大きく取り外しにはやや苦労する。
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【メカニズム全分解】 TASCAMのメカは、アッセンブリー単位で容易に交換ができるようになっているのが特徴。業務用だけに保守性も意識されている点が素晴らしい。
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【キャプスタンホイール】 とても分厚いホイールが使われている。シングルキャプスタンながら音揺れは少なめ。ワウフラッター0.05%前後の性能は出ると思われる。
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【巻取り用アイドラー】 アイドラーはゴムを使うタイプ。写真は経年劣化で加水部品を起こし、ゴムゴムのヘドロ爆弾になっている様子。
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