SONY TC-K333ESA

 

 1991年に登場したソニーの3ヘッドカセットデッキです。

 基本的な機能として、再生中に曲を飛ばしたいときや頭出ししたいに使うサーチ機能や、良い音で録音するために調整作業を補助するキャリブレーション機能など、再生するときにも録音するときにも便利な機能が付いています。

 さらにTC-K333ESAには、録音で威力を発揮するイコライザー調整機能があります。カセットテープは、同じノーマルテープでも、人間の耳では聞きにくい高音域が強く出る癖があったり、人間の声の高さである中音域が強く出る癖があったりと、それぞれのテープに癖があるのです。そこで、イコライザー調整機能を使うと、どのテープでも癖に関係なく同じような音で録音できます。

 TC-K333ESAのデザインは、側面に付属する木製の板(サイドウッド)が特徴的です。前面に丸みを持たせたうえに艶出しの加工がされており、高級感のあるデザインとなっています。本体重量も12kgと、カセットデッキの中では重さのある方で、重さがまた高級感を出す要素の1つです。それでも、TC-K333ESAは最上級モデルではありません。

 最上位モデルにはTC-K555ESAがラインアップされていますが、デザインはほとんど同じです。TC-K555ESAでは骨組み(シャーシ)に銅メッキを施しています。中が銅色になって豪華さが増すのですが、それだけではありません。銅メッキをすると、ノイズ源となる有害な電磁波を遮断する効果が高まり、よりノイズに強くなります。

 最上位モデルは中古品でも人気が高くて値段も高騰しやすく、入手が難しいものです。少しお安く手に入るTC-K333ESAで、高級デッキの雰囲気を味わってみませんか。

 カラーバリエーションは、ブラックとゴールドの2色展開です。

 

 

よくある故障 <再生できない・扉が開かない>


 一番多い故障が、ベルトの劣化によって、再生ができなくなる、扉(カセットホルダー)が開かなくなるという症状です。

 画像をご覧いただくと、モーターの部分に黒い物が巻き付いています。これが切れてしまったベルトです。このベルトは、ヘッドの上げ下げや扉の開閉など、カセットテープの動作全般を担うもので、切れたら何も操作できなくなります。また、完全に切れていなくとも、ベルトが伸びてしまっている状態では、扉の開閉や巻戻し程度はできることがあります。しかし、ヘッドを上げることができないので再生ができません。

 ベルトを新品に交換して、修理しましょう。

 

よくある不具合 <ボタンが間違って反応する>


 ボタンが古くなると電気の流れが悪くなり、デッキが押したボタンを正しく認識できなくなります。すると、押したボタンと違うボタンが反応することがあります。

 例えば、録音を押していないのに録音になる、巻戻しを押したのに早送りになる、といった症状です。TC-K333ESAだけでなく、他のカセットデッキでも見かけます。

 新品のボタンに交換して、解決しましょう。

 決してデッキがおかしくなったわけではありません。ボタンが悪くなっただけです。

 

TC-K333ESAの中身。


 中央に電源トランス、左側に制御系の回路、右側にアンプの回路という構成で、ソニーの高級カセットデッキではお馴染みのレイアウトです。TC-K555ESAになると、銅メッキがされているので、もっと豪華になります。

 

電源トランスの裏側はどうなっている?


 本体の中央にある、黒いブロック状の物体は電源トランスです。これを取り外して下から覗いてみると、このようになっています。

 むき出しの状態ですと、ハムノイズという低いブーという音が混入する恐れがあるので、ケースに入れて遮断しているのです。デッキ本体の重量は12kgもありますが、重さの半分は電源トランスが占めているのではないでしょうか。重さを量ったことはありませんが、筋トレのダンベルとして十分使えそうです。

 

すっからかんになったTC-K333ESA。


 古くなった電解コンデンサーを交換するには、基板を取り外さなくてはなりませんので、一時的に骨組みだけの状態になります。また、TC-K333ESAには放熱のための穴があり、中にほこりが入ってしまいます。せっかくこの状態にしたのですから、きれいに掃除するのはこのタイミングしかありません。

 

メカニズムをぜんぶ分解するとこうなります。


 1989年から採用され始めたメカニズムです。

 昭和のデッキに比べて、プラスチックの部品も多くなり、かつ小さい部品が多くなりました。プラスチックなので金属製よりも破損のリスクが高いですが、メカは昔よりも随分小型化されました。部品が破損すると修理は難しくなるので、これからは如何に破損させず長生きできるかがポイントです。

 

セラミック製の白いカセットホルダー。


 1989年から2000年代に入っても、このタイプのメカニズムが使われるのですが、唯一ESAがセラミック製のカセットホルダーになっています。構造が同じであれば他の機種にも移せるかもしれません。例えば、一番最後のフラッグシップモデルであるTC-KA7ESに、セラミック製のカセットホルダーを装備させるなんてことも出来そうです。作業は簡単そうですが、お金が沢山要ります。

 

同じレーザーアモルファスヘッドだけど、小改良?

 録音/再生ヘッドには、TC-K333ESG、ESLと引き続いて、コンビネーション型のレーザーアモルファスヘッドを搭載しています。搭載しているのですが、TC-K333ESAでは小さい改良が1点あります。

 画像はTC-K333ESAのヘッドですが、矢印の部分に青色の点々があるのが分かりますでしょうか。実はこの青い点々は凸状になっていて、テープとヘッドの接触力を調整しているものと見られます。ほんの僅かにヘッドをテープに当てる力を弱めることで、摩擦が減ってテープの送り出しがしやすくなることから、音揺れ(ワウ・フラッター)の低減を狙ったものだと思います。

 

 こちらはTC-K222ESGのヘッドですが、先ほどの青い点がありません。ただ、テープに当てる力を弱めるということは、わずかではありますがヘッドとテープを浮かせることになるので、音質にも変化が出ているのかもしれません。