西村音響店

TEAC Z-5000

概説

1982年、TEACの最上級カセットデッキシリーズとして君臨したZシリーズ。このZ-5000は、Zシリーズのエントリーモデルと言えるでしょう。

テープの走行はシングルキャプスタンにダイレクトドライブの組み合わせです。Z-7000、Z-6000のように3つのD.D.モーターを使う構成ではありませんが、その分コストが抑えられています。同じ頃に登場したV-900Xと同じメカニズムです。

最大の特徴はキャリブレーション。録音感度・バイアス・イコライザーを全て手動で調整できます。バイアスに加えて、イコライザーまで手動かつ無段階で調整できる点が大きなポイントです。これにより、テープの性能をフルに引き出すセッティングが可能です。その反面、操作がやや難しいのが欠点ですが、これこそがTEACの個性が光るところ。TEACの高級カセットデッキは操作が難しくてごっつい恰好であってこそです。

外観でのポイントは2つ。1つは操作ボタン。水平向きでレイアウトされており非常に操作がしやすいです。1970年代前半に多かった水平型のカセットデッキの操作感に若干近いかもしれません。ただ、昔の重たい鍵盤状のレバーではなく電子式のボタンなので、非常に軽いタッチで操作できます。

もう1つは四方に入れられたストライプ状のプレスライン。単にキャビネットだけに入れるのではなく、前面のパネルにも施されています。少し離れて眺めると、キャビネットと前面パネルとの一体感があって、非常に引き締まってカッコ良いです。



 

音質

◆CAUTION◆
非圧縮の音声データのため、容量がかなり大きくなっています。スマホなどのモバイル機器でお聴きの際は、Wi-Fiに接続することをお勧めします。

◆録音条件◆
テープ:マクセルUR (2020年発売)
ノイズリダクション:dbx

WAV 88.2kHz-24bit 61.8MB

音源:魔王魂

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【デッキ前面左側】
カウンター、ノイズリダクション、モニターを切り替えるスイッチがある。カセットホルダーは半自動。開ける時のみモーターがアシストする。しかし不思議なことに、電源OFFでもEJECTボタンを押しこむと開く。

【デッキ前面右側】
メーターはデジタル式のピークレベル。目盛は0VUが-4dBになるタイプである。カウンターはリニア分数。

【飛び出すボリューム】
ツマミが非常に小さくて操作しにくいかと思いきや、押し込むと飛び出してくる。再び押し込むと今度は引っ込む。誤操作を防ぐ工夫なのか、面白いギミックである。

【デッキ背面】

【製造番号と製造年】
このZ-5000は1982年製。TEACのカセットデッキで、CシリーズからZシリーズへの世代交代が行われた年。

【録音・再生ヘッド】
Zシリーズになって磁気ヘッドも変化。取扱説明書の仕様によると、素材はパーマロイとのこと。ナカミチでも採用されるほど音質に優れる素材だが、摩耗に弱いので労わって使いたい。

 

デッキの内部

キャビネットオープン

画像にマウスオン(タップ)してください。

 


【上から見たメカニズム】
キャプスタンモーターはダイレクトドライブ。それ以外は一般的なDCモーターを使う。Z-6000になると、テープの巻取りまでダイレクトドライブになるとのこと。

【メカ制御回路と電源用トランジスタ】
トランジスタは放熱対策のためにケーブルでここまで延長させている。

【アンプ回路基板】
とにかく配線がごちゃごちゃしてワケ分からないが、再生関係と録音関係のアンプがこの1枚に集約されている。基板の印字を見れば、どの半固定抵抗が何の調整かが分かる。

【メカニズム背面】
メカの動作はゴムベルトで行うタイプ。向かって右側に見える大きなベルトプーリーがTEACメカの特徴的な部品。

【ノイズリダクション用回路(?)】
デッキの1階部分にあたる基板も、大量のコンデンサでぎっしり。恐らくここがノイズリダクション回路だと思われる。ドルビーとdbxを搭載しているため、回路のスケールも大きい。

【電源トランス】
電源用トランジスタの下に隠れている。C-2Xに搭載されているものと同じくらい大きい。

【電源回路】
電源トランスのさらに奥を覗くと4700μFの電解コンデンサが見える。ここが電源回路。

 

機材協力してくださった方

・神奈川県 Mさん

 

 

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