TEAC A-170


 

 

 1975年の水平型のデザインをしたカセットデッキです。

 テープの操作は、もちろん鍵盤状になっているボタンを押して行います。’70年代のカセットデッキには多い鍵盤ボタンですが、A-170はボタンに長さがあるので、軽い力でも操作できるところが良いです。正方形になるくらいに長さが短いと、てこの力が弱くなるので、ぐっと力を入れて操作しないとボタンが戻ってしまうこともあります。特に録音ボタンは固いですね。

 A-170の搭載機能はいたってシンプルです。テープの録音、再生、早送り、巻戻しと、ドルビーノイズリダクション、指で数えれるほどシンプルです。しかし、’80年代以降に発売される数々の高性能デッキが生まれるのは、’70年代に各社カセットデッキの開発に成功したことがあるからこそだと思います。

 
 


 

電源は入るが、ベルト切れで動かない。


 このA-170はベルトが切れて動かなくなっている状態でした。電源を入れると「うぃーん」というモーターらしき音が聞こえていたので、ベルト切れだと予想しました。裏側を開けてみてみると、ベルトが無くなっていました。さすがに、40年以上持っているベルトは無いんじゃないかなと思います。

 

 デッキの中から出てきた43年前のベルトです。驚くことに、完全に干からびた状態になっていました。力を与えるとお菓子のように、パリッと割れます。ベルトの劣化パターンは、柔らかくなって溶けてしまう「軟化」と、ゴムが硬くなって最終的にA-170のようになってしまう「硬化」に分かれます。

 

新品のベルトに交換すれば修理OK。


 ベルトが切れたのであれば、新品のベルトを使ってあげれば動くようになります。しかし実際は、ボリュームなどに接触不良が発生していたりして音が出ないこともあるので、ベルト交換だけでは難しいところです。

 A-170は合計で3本のベルトが使われています。一番大きいベルトがキャプスタン用、矢印で差した部分に早送り/巻戻し用、もう1本がカウンターを回すベルトです。

 

ベルト交換だけでは足りません。分解します。


 テープの動作をさせるようにするためには、ベルト交換だけで間に合いました。しかし、単なる修理では終わらせません。本体からメカの部分を取り外し、分解していきます。

 

 取り外しは、配線を基板から外したりで時間がかかりますが、分解は構造も簡単な方ですので比較的早く行えます。ただし、部品がどうやって取り付けられていたかは記録しておかないと後で困ることになりますので、しっかり写真に記録しておきましょう。操作ボタンは、ちまちま分解しなくともネジ2本で外せますので、ここでも如何に部品をまとめて外していくかがポイントになってきます。

 

音が全く出なければ、ボリュームも分解清掃です。


 テープは動くようになっても、ボリュームの接触が悪くて音が出ません。接触不良でも度合いがあって、軽いものは音は出るけどボリュームを動かすとガリガリ鳴る状態、もう一段階重くなると音が出る位置と出ない位置がある状態、一番重症なのは完全に音が出ない状態です。A-170はまさに一番重症の状態でした。ボリュームを分解して、汚れをふき取って解決しました。

 

40年前の電解コンデンサー。


 ご紹介のA-170は1975年製で、回路には40年以上前の電子部品が付いています。中でも電解コンデンサーは、現在のものとサイズが全然違います。

 左の二つが耐圧25Vで容量が470μF、右二つが耐圧25Vで容量が1000μFです。当然、それぞれ大きい方が古いコンデンサーです。40年前の電解コンデンサーは容量が小さい割にサイズが大きいので、どうしても回路が大きくなっていまいます。小型になって、回路をコンパクトにできる分、性能を高めたり、たくさんの機能を搭載させることが可能になったと思います。