概説
1987年にA&Dブランドが誕生した際に発売されたオートリバースデッキです。基本構造は1985年発売のGX-R60から変わらず、R60→R60EX→R65CXと改良して実質2回目のマイナーチェンジをしたような機種です。
上位機種GX-R75CXとの主な相違点として、電子式のRECレベルボリュームの非搭載、カウンターがリニア分数ではない、といった点があります。機能面でワンランク落とされた機種です。
しかし性能は一切落とされることなく、AKAI自慢のツインフィールドスーパーGXヘッドをしっかり搭載しています。再生音質は3ヘッド機に匹敵するほど。GXヘッドは非常にシャープな音質が特徴ですが、同価格帯のオートリバースでは最高の音質といっても過言ではないと思います。dbxも省略されることなく搭載され、再生面では十分すぎるほどのスペックです。
一方、録音面ではデメリットがやや目立ちます。特にバイアス調整のツマミが付いていない点です。使用テープに合わせてバイアスで音質を調整することができず、テープの磁気特性に任せることになります。
録音では不足感がありますが、再生メインで使用するサブデッキにはお勧めです。フルサイズのカセットデッキとしては小型・軽量なため、移動も容易です。
この機種の後にもGXヘッドを搭載したオートリバースデッキが登場しますが、残念ながら大幅にコストダウンされます。特にメカニズムは社外製に変わるため、内製のメカを採用したオートリバースデッキはこれで最後になってしまいました。
【上位機種】GX-R75CX
GX-R65CXの構造&搭載機能
ヘッド | 回転2ヘッド方式(ツインフィールド・スーパーGXヘッド) |
---|---|
メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・カムモーター駆動 |
キャプスタンの回転 | DCサーボモーター |
テープの走行方式 | オートリバース(クイックリバース機能付き) |
カセットホルダの開閉 | パワーローディング |
スタビライザー | なし |
テープセレクター | 自動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C,dbx |
ドルビーHX-Pro | なし |
選曲機能 | あり |
ライン入力 | RCA端子1系統 |
ライン出力 | RCA端子1系統(可変) |
メーター | ピークレベルメーター(-4dB=0VU) |
キャリブレーション機能 | なし(バイアス調整も不可) 400Hz・10kHz |
カウンター | 4デジットカウンター |
その他の機能 |
|
GX-R65CXの利点&欠点
◎ツインフィールドGXヘッド搭載で音質は3ヘッド機と肩を並べる
○電子ボリューム非搭載(利点としたのは不具合を起こすと修理が難しいため)
○dbxノイズリダクションを搭載
○Foward再生とReverse再生でテープスピードの差が少ない
△バイアス調整が不可能
△メーターのレンジが狭く、ピークホールド機能もない
音質参考動画
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
無圧縮音源はこちら
【フュージョン・ロック】容量53.3MB
【ファンキーポップ】容量59.0MB
【ジャズ(dbx録音)】容量23.7MB
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
【TYPEⅡ】TDK SA (1987年)
【TYPEⅣ】TDK MA (1988年)
【再生特性】-20dBテストテープ使用
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
・中国地方の某県 J様(2022年10月撮影)