YAMAHA TC-800GL


 

 

1970年代の当時の日本楽器製造が発売した、斜め型のカセットデッキです。

 ’70年代のカセットデッキは、水平型で本体の上側にカセットを入れるデザインが多く、’80年代に入って前側に垂直でカセットを入れるデザインに変わっていきました。しかし斜めになっているデッキは、なかなかの少数派です。

 TC-800GLの魅力的な機能として、ピッチコントロールがあります。ピッチコントロール機能が付いている機種を探してみると、多くはなさそうで、カセットが2個入るダブルカセットデッキの左側だけ付いていたり、高い機種だと業務用のタスカムのデッキに付いています。しかし、’70年代のデッキにもピッチコントロールがあるとは、TC-800GLが来てから知りました。

 他にはこれといった機能はありませんが、鍵盤状の操作ボタンが時代を感じさせます。再生ボタンをぐっと押し込む操作が、アナログっていいなと感じさせますね。

 


 

TC-800GLの裏蓋を開けてみると…


 ’70年に多い水平型のデッキや、斜め型のTC-800GLは、本体の裏から分解していくのが基本的な手順です。昔のデッキは、むちゃくちゃ音に拘っているわけでもないから簡単だろうと思ったら、TC-800GLはこの複雑さです。

 そして、修理しなくてはならない肝心のメカニズムは、右側の銀色のシートが被されている基板のさらに下にあります。ということで、メカニズムの部分を見るには、まずこの基板を外さなくてはなりません。

 

 銀色のシートを外すと、頭が痛くなるような回路が現れます。当然ながら、コネクターを抜いて差すことは一切できず、取り外すべき配線はこの中から探すことになります。

 

メカニズムが出てきました。


 上に被されていた基板を外すと、大きなキャプスタンのフライホイールと、それとモーターをつなぐ長いベルトが見えてきます。キャプスタンの下には、巻戻しや早送りなど、テープの巻取りに関する部品が入り組んでいます。基板を動かすときも優しく扱わないと、もし配線が断線してどこだったか分からなくなると、もう悲惨です。写真で記録するのにも限界があります。

 

ゴム製の部品を交換します。


 TC-800GLは非常に複雑で、完全な分解は困難です。ですが、最低限交換すべき部品があるところまでは分解し、延命措置をしておきます。画像はリールを回転させるための部品で、ゴムが劣化すると巻取る力が弱まるので新品に交換しておきます。ゴムと触れるのはプラスチックの部品なので、摩擦力の高いシリコーンゴム製のものを使います。

 

さらに分解していくと…


 今までの中で一番手ごわい相手だと痛感させられたときの光景です。それでも、この状態から古い電解コンデンサーを新品に全部交換しました。40年前のコンデンサーを見る機会も少ないです。

途中途中苦戦も強いられたTC-800GLですが、無事に組立終わってお客様の元へお帰りになられました。ぜひ、50歳を目指して頑張ってほしいなと思います。