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概説
1976年(昭和51年)ごろにヤマハから発売された、デザインが非常に個性的なカセットデッキです。
唯一無二のこのデザインは、イタリアの工業デザイナーであり建築家でもある、マリオ・ベリーニ氏によって生み出されました。本体に記されたベリーニ氏のサインがその証です。
1970年代中盤にはメカニズムを斜めにして配置する、スラントメカニズムの設計が各社で流行していました。当時流行りのスラントメカニズムの特徴を活かし、本体ごと角度が付けられたデザインはTC-800GLの象徴となっています。TC-800GLには2色のバリエーションがあり、当ページで紹介しているブラックの他、アイボリーも選択が可能でした。
TC-800GLはデザインのユニークさだけが特徴ではなく、音質面でも機能面でも他のデッキの追従を許しません。
音質面では、TC-800GLのヘッドにはハードパーマロイを採用。滑らか且つ力強い中高音を奏でるサウンドで、後のK-1に続くようなヤマハサウンドが確立されているように感じます。当時の高級デッキで主流だったフェライトヘッドは、耐摩耗性には大変優れるものの、ノイズの多さによるSN比が弱点です。TC-800GLはパーマロイヘッドの利点を重視しつつも、高硬度化して耐摩耗性の弱点を補っています。
機能面ではピッチコントロール、AC電源・乾電池・12V-DC電源の3電源対応、フェリクロームテープ対応、etc…、屋内でも屋外でもあらゆるシーンでの録音再生に応えるマルチパーパスなデッキでもあります。
ユニークなデザインながらも、中身はしっかりとした高級カセットデッキ。マリオ・ベリーニ氏とヤマハが世に送り出した名機です。
関連機種
【TC-800】幾つかの機能を省略した廉価版
【Nakamichi 600/600Ⅱ】TC-800GLと同じく本体ごと角度が付けられたデザインを採用
TC-800GLの構造&搭載機能
ヘッド | 2ヘッド方式(スーパーハード・パーマロイヘッド) |
---|---|
メカニズムの駆動 |
機械式(ガチャメカ) |
キャプスタンの回転 | DCサーボモーター |
テープの走行方式 | ワンウェイ・シングルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | 手動式 |
スタビライザー | なし |
テープセレクター | ノーマルとハイポジは自動、フェリクロームは手動 |
ノイズリダクション | ドルビーB |
ドルビーHX-Pro | なし |
選曲機能 | なし |
ライン入力 | RCA端子1系統 |
ライン出力 | RCA端子1系統(可変・メーターも連動) |
メーター | VUメーター(-3dBと+4dBのPEAKインジケーター付) |
キャリブレーション機能 | なし |
カウンター | 機械式3デジットカウンター |
その他の機能 |
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TC-800GLの利点&欠点
◎偉大なデザイナーが手掛けた端麗な外観(欧風な雰囲気)
◎3つの電源に対応し、屋内外どちらの使用にも考慮されている
○’70年代でもヤマハサウンドは顕在(中高音まですっきり伸びクリアネスのある音)
○’70年代の機種ながらピッチコントロール機能付き
△外装が樹脂製
△スライドボリュームの操作が通常と逆(左側が大、右側が小)
自己録再音源
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。(53.9MB)
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
【TYPEⅡ】
【TYPEⅢ】SONY DUAD
【-20dBテストテープによる再生周波数特性】
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
YouTube動画でも紹介しました
・愛知県 あっせい様(2022年11月撮影)
・広島県 ニシヤマ様(2022年11月撮影)●印の画像