西村音響店

AKAI CS-F9

ページ作成日:2025/12/24


 

概説

 

 

CS-F9の構造&搭載機能

ヘッド 2ヘッド方式(録再:ハードパーマロイ系 HDヘッド)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール(2モーター+2ソレノイド駆動)
キャプスタンの回転 DCサーボモーター・ベルトドライブ
テープの走行方式 ワンウェイ・シングルキャプスタン
カセットホルダの開閉 手動
スタビライザー なし
テープセレクター 手動(ノーマル・クローム・メタル)
ノイズリダクション ドルビーB
ドルビーHX-Pro なし
選曲機能 なし
メーター アナログVUメーター
ライン入力 RCA端子1系統
ライン出力 RCA端子1系統
キャリブレーション機能 なし
カウンター 機械式
その他の機能

 

の特徴

◎’80年代にしてアナログVUメーター搭載(デジタルメーターが多くなる時代)
○マニュアルテープセレクター
○機能は必要最低限のみの簡素なデッキ
△GXヘッドではない()

 

 

 



 

 

外観の詳細画像

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【前面左側】
メカ操作ボタンはカセットホルダのすぐ下に配置。電照式のボタンで、タクトスイッチではなく導電ゴムを使っているのがこの頃のAKAIの特徴です。
【前面中央】
メーター、テープセレクター、ドルビーNRスイッチ、という必要最小限の装備です。
【メーター】
左右のメーターが一体になっていて、文字盤を照らすライトは真ん中に1個あるタイプです。ちなみにLEDデジタルメーター版がCS-F11という機種になります。
【前面右側】
つまみが大き目の録音ボリュームです。つまみの周囲のデザインが少し立体的になっていて、奥の方に目盛が見えます。
【ヘッド部分】
最廉価機種になるとヘッドも差別化されており、GXヘッドではありません。HDヘッドという、ハードパーマロイ系のヘッドが付いています。
【極度に摩耗したヘッド】
この個体はヘッドが限界まで摩耗しており、少し水平な視点で見ると、テープが擦る部分が平らになっているのが分かります。

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

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【メカニズム】
メカは廉価機らしくない立派なものが付いています。上位機種と殆ど同じかもしれません。
【電源トランス・制御回路】
電源トランスも廉価機にしては立派で、容量23.5VAと余裕がありそうです。制御回路はこの時期のAKAIらしい、所狭しとぎっちり電子部品が実装されている感じです。
【アンプ回路全景】
こちらもこの時期のAKAIの特徴である、配線類はコネクタ一切なしの取り回しです。1980年に入ると他社ではコネクタを積極的に使うようになるので、少し時代遅れ感もあります。
【再生アンプ】
トランジスタ2石ずつのシンプルな増幅回路です。オムロン製のリレーはミューティング用でしょうか。AKAI製のデッキはこのリレーが本当に多く使われています。
【バイアス発振回路】
2つの半固定抵抗がバイアス調整用のトリマーです。橙色のFilmコンデンサのすぐ傍なる配線が消去ヘッドの配線です。
【録音アンプ・イコライザー回路】
ちょうどテープセレクタの裏側の部分です。セレクタスイッチの隣に抵抗とコンデンサが陳列されているのが、録音イコライザ回路と思われます。半固定抵抗が録音レベルのゲイン調整です。
【ドルビーIC、録再切替リレー】
ドルビーNRのICはNE545Bで、70年代後期から色んなデッキで見かけるICです。1981年のデッキでまだ実装されていますが、そろそろ採用が終わる頃合いでしょうか。手前に写っている無駄に大きい物体が録音再生を切り替えるリレーです。



 

デッキの分解画像

 

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【フライホイール取り外し】
廉価機にしてはかなり大きく立派です。再生時にアイドラーを駆動するために真ん中部分が樹脂になっています。
【リール駆動部分取り外し】
リール駆動はゴムアイドラー式です。整備性が悪いAKAIにしては、ここはアッセンブリで外れるようになっており、メンテナンスが比較的楽でした。(分解はそこまでではないが脱着が超大変なのがAKAI)
【キャプスタンモーター】
モーターの軸が後ろを向けて取り付いている珍しい例です。モーターの向きが反対なので、回転方向も逆の物になります。(普通はCCWだがCS-F9はCW)
【修理で交換した駆動部品】
【新品ゴムベルトを取り付け】
【ヒューズ抵抗器故障】
稀なケースかと思いますが、キャプスタンモーターの電源ラインにあるヒューズ抵抗器が断線してモーターが回らない状態でした。他では見かけない例なので、なぜヒューズ抵抗器が挿入されているかがイマイチわかりません。

 

参考周波数特性

画像にマウスオン(タップ)すると周波数軸が線形に変わります。

【TYPEⅠ】TDK AD (1981年)


 

※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。

 

これまでの作業実績

2025年8月 兵庫県 とんちゃん様


 

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