概説
1982年に発売された3ヘッド方式の中堅モデルです。これまではごつごつした印象だったAKAIのカセットデッキですが、一転スタイリッシュな容姿になっています。
シルバーの薄型ボディが特徴で、操作ボタンも凹凸が少なく、横から眺めても非常にすっきりとしています。光る電源ボタンもポイントです。触る頻度が少ないスイッチやボリュームは、本体中央にあるカバーの中に隠れています。
この世代からメカニズムの設計が一新されました。ソレノイドを使用した「ガチャン!」というやかましい設計から、モーターで動作を行う設計に変更されています。これにより、カセットを入れるとテープとヘッドが接触した状態で待機するという動作が実現可能になりました。再生ボタンを押すと間を置かず演奏が始まる動きは、AKAIのカセットデッキの大きな特徴です。なおこのメカニズムは、赤井電機が最後に世に送り出したGX-Z9100EVの生産終了まで、約12年も継続して採用されることになります。
録音/再生ヘッドには、磨耗に非常に強いスーパーGXヘッドを搭載しています。しかし、先代のGX-F90などと比較すると若干形状が異なっており、小改良がされていると思われます。また、メカニズムの一新で、テープの走行方式もクローズドループデュアルキャプスタンとなりました。
録音関係の調整は全自動です。ボタン一つで、録音感度の補正・バイアス調整・イコライザー調整を行います。なんと下位モデルのGX-F51にも搭載されており、オートチューニング機能をかなり推していたようにも見て取れます。
レベルメーターは、ピークレベルとVUを切り替えることができるのもAKAIのカセットデッキの特徴です。薄型ボディになってディスプレイが小型になった分、メーターが小さくなって少し見づらくなってしまったことが惜しいところ。
すっきりとした外観にオートチューニング機能を搭載した、Stylish &Intelligentな1台です。
外観の詳細画像
カバーに隠れているスイッチ・ボリューム
デッキの内部
デッキの分解画像
撮影に協力してくださった方
・埼玉県 「tochan」さん