西村音響店

AKAI GX-F71

ページ作成日:2018/11/2
最終更新日:2025/12/24

 

概説

1982年に発売された3ヘッド方式の中堅モデルです。これまではごつごつした印象だったAKAIのカセットデッキですが、一転スタイリッシュな容姿になっています。

シルバーの薄型ボディが特徴で、操作ボタンも凹凸が少なく、横から眺めても非常にすっきりとしています。光る電源ボタンもポイントです。触る頻度が少ないスイッチやボリュームは、本体中央にあるカバーの中に隠れています。

この世代からメカニズムの設計が一新されました。ソレノイドを使用した「ガチャン!」というやかましい設計から、モーターで動作を行う設計に変更されています。これにより、カセットを入れるとテープとヘッドが接触した状態で待機するという動作が実現可能になりました。再生ボタンを押すと間を置かず演奏が始まる動きは、AKAIのカセットデッキの大きな特徴です。なおこのメカニズムは、赤井電機が最後に世に送り出したGX-Z9100EVの生産終了まで、約12年も継続して採用されることになります。

録音/再生ヘッドには、磨耗に非常に強いスーパーGXヘッドを搭載しています。しかし、先代のGX-F90などと比較すると若干形状が異なっており、小改良がされていると思われます。また、メカニズムの一新で、テープの走行方式もクローズドループデュアルキャプスタンとなりました。

録音関係の調整は全自動です。ボタン一つで、録音感度の補正・バイアス調整・イコライザー調整を行います。なんと下位モデルのGX-F51にも搭載されており、オートチューニング機能をかなり推していたようにも見て取れます。

レベルメーターは、ピークレベルとVUを切り替えることができるのもAKAIのカセットデッキの特徴です。薄型ボディになってディスプレイが小型になった分、メーターが小さくなって少し見づらくなってしまったことが惜しいところ。
 
すっきりとした外観にオートチューニング機能を搭載した、Stylish &Intelligentな1台です。

 

GX-F71の構造&搭載機能

ヘッド 3ヘッド方式(録音/再生:スーパーGXヘッド)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール(カムモーター駆動)
キャプスタンの回転 ダイレクトドライブ
テープの走行方式 クローズドループデュアルキャプスタン
カセットホルダの開閉 パワーローディング
スタビライザー なし
テープセレクター 自動
ノイズリダクション ドルビーB/C
ドルビーHX-Pro なし
選曲機能 あり(IPLS機能)
メーター デジタルメーター(VU/PEAK 切替可能)
ライン入力 RCA端子1系統
ライン出力 RCA端子1系統(ボリューム可変)
キャリブレーション機能 オートチューニング
カウンター 4ディジット,再生経過時間
その他の機能
  • メモリーストップ>/li>
  • オートフェーダー(ワンタッチでフェードしながら録音開始/終了ができる)
  • RECキャンセル(録音を中断し、その曲の始めまで巻戻し)

 

GX-F71の特徴

◎デザイン性&機能重視のデッキ
◎摩耗知らずのスーパーGXヘッド
○オートテープチューニング
△デザイン重視&多機能が故、整備性はかなり悪い
△メーターが小さく見づらい
△ドルビーNR回路が他機種との相性が悪い(特にドルビーCは厳しい)

 

関連機種

  • GX-F91(デザイン性と機能を更に極めた最上位機種)
  • GX-F51(2ヘッド式・ツインフィールドヘッドを搭載したバージョン)
  • GX-F31(2ヘッドで機能が簡素化されたベーシックモデル)

 

 



音質サンプル

テープ:RTM
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library

【フュージョン・ロック】96kHz-24bit 容量53.2MB

—–

【フュージョン・ロック】★他機で録音したテープ 録音デッキ:TEAC C-3  48kHz-24bit 容量33.6MB

無圧縮音源ファイルのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。

 

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【カセットホルダ】
前面パネルとの一体感がよい。テープを照らすランプは緑色。後年になると橙色になる。

【カセットホルダ・開】
【カセットホルダ・リッド】
【カウンター・インジケータ】

【操作ボタン】
こちらも前面パネルとの一体感のために、凹凸がない形状となっている。電照式のボタンも◎。

【光る電源ボタン】
この機種一番のチャームポイントはここ。電源を入れると光る。ただし麦球を使っているので、球切れで点かなくなることも。(このGX-F71も球切れしていて交換した)

【デッキ背面】
入出力は1系統ずつ。出力端子のレベルはボリュームで調整することができる。

【録音/再生ヘッド】
アカイではお馴染み、殆ど摩耗しないスーパーGXヘッドを搭載。アカイのクローズドループデュアルキャプスタンを採用したデッキは、1970年代後半にも存在するそうだ。(GXC-760Dなど)

 

カバーに隠れているスイッチ・ボリューム

画像にマウスオンまたはタップしてください

 

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

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【メカニズム】
この世代から初めてAKAIのサイレントメカが採用されました。後に登場する3ヘッドデッキで標準となるメカユニットです。
【電源トランス・制御回路】
無数の配線の下にデッキの制御を行うマイコンなどのIC類があります。とにかく配線が複雑怪奇なのが’80年代初頭のAKAIです。
【電源回路・メカ駆動回路】
配線でよく見えません。配線が汚すぎると言われても不思議ではないくらいの煩雑な取り回しです。
【電源回路・メカ駆動回路(横から)】
配線もそうですが回路レイアウトも、結構無理やり感のあるものとなっています。デザイン性を優先したデッキによく見られますが、その手のデッキの中身は大抵このようになっています。
【制御用マイコン】
【録音系回路】
録音イコライザアンプ、バイアス発振回路、そしてオートチューニング用の制御回路があります。特にオートチューニングの調整がF71は難しく、整備マニュアルをしっかり参照しながら行った方が無難です。(調整用の隠しモードも用意されている)
【ノイズリダクション回路】
ドルビーB用のICが8個あります。ドルビーCの登場初期に見られる、ドルビーBを2段掛けしてドルビーCとする回路です。最初期のドルビーCは動作の調整が非常にシビアで、中でも特にGX-Fxxの世代は他機との相性がとてつもなく悪いようで、盛大にブリージングが出てしまいます。(いくら調整してもお手上げ)
【再生アンプ回路】
デュアルFETとデュアルBJTを使用した回路で、構成としては高級機らしいですが、それにしては音の力感がやや不足気味な印象があります。A&Dに変わるまではそのような傾向が続いているようで、中高域重視のチューニングのようです。
【再生アンプ回路・上からの視点】
【メーターアンプ回路】
真ん中に写っている調整トリマーがメーター調整です。VUモードとPEAKモードがあるので、それぞれの調整トリマーがあります。
【ノイズリダクション回路拡大①】
ドルビーNRの動作を調整するトリマーがあります。Bタイプ、Cタイプそれぞれ調整できます。逆を言うと、動作の精度に不安があるという事でしょうか…むやみ触ってしまったら最期です。ドルビーの動作調整が必要な場合、相当な時間を要しますので工賃も上昇します。
【ノイズリダクション回路拡大②】

 

 

デッキの分解画像

 

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【取り外したメカニズム】

【カセットホルダを外した状態】
最終モデルのGX-Z9100EV/7100EVでも基本構造は変わっていません。初期バージョンを搭載するGX-Fx1の系列は、回転センサーが右側のハブ駆動軸にしか付いていない点が特徴です。

【キャプスタン部分を切り離した状態】

【メカニズム完全分解】
分解の手順は後年に登場する3ヘッドモデルとほぼ同じです。ただしワイヤラッピングの配線が難易度を爆上げします。
【メカから出ている配線】
幸いにもヘッドの配線はコネクタですが、他はすべてワイヤラッピング。あの複雑怪奇な配線群から、外すべき配線を探さなくてはなりません。とにかくメカの脱着が大変なのがGX-Fxx世代。
【電源ランプの球切れ】
電圧マシマシで点灯させているのか、球切れした電球を見ると黒くなっています。
【アンプ基板取り外し】
ボリュームの洗浄のために基板を少し外している様子です。配線が沢山ぶら下がっていますので、慎重に作業します。
【外したボリューム】

【メーター・操作ボタン基板】

 

 

参考周波数特性

画像にマウスオン(タップ)すると周波数軸が線形に変わります。

【TYPEⅠ】RTM


【TYPEⅡ】TDK SA (1981年)


【TYPEⅣ】TDK MA (1981年)



 

※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。

 

YouTube動画でも紹介しました

 

 

これまでの作業実績

2025年3月 愛知県 イイダ様


2020年7月 埼玉県 tochan様

 

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