西村音響店

A&D GX-Z7000

最終更新:2021/12/11


 

 

概説

1987年、赤井電機の『A』と三菱ダイアトーンの『D』が手を組み、誕生したのがA&D。その第1陣のラインナップの1台として登場したのが、このGX-Z7000です。1986年登場のGX-73の後継機種にあたります。

外観はGX-73と全くと言ってよいほど同じです。一見、エンブレムをAKAIからA&Dにチェンジしただけのようですが、実はデッキの中ではマイナーチェンジが行われています。なお、次のモデルからは高さのあるボディに変わるため、薄型ボディはこの代が最後になります。

同時期のフラッグシップモデルにGX-Z9000がラインナップされました。GX-Z7000では、dbxノイズリダクション、クォーツロック、サイドウッドが省略されています。これら3つ以外は両者全く変わりません。アンプの回路は全く同じなので、音質も全く同じです。

メカニズムは、3ヘッド方式、クローズドループ・デュアルキャプスタン、ダイレクトドライブといった、高級デッキには標準なものをしっかり装備。そして、録音・再生ヘッドは摩耗に非常に強いスーパーGXヘッドです。

サイドウッド付きのGX-Z9000を見てしまうと、付いていないGX-Z7000の方は若干寂しく感じる部分もあります。ただ、dbxノイズリダクションまでは不要と思う方も少なくないと思います。ヒスノイズが殆ど無くなるほど効果は強力ですが、再生可能なデッキが限られるという欠点があります。

欲を言えばGX-Z7000にもサイドウッドが装備されていたら…と思ってしまうところです。もし、ソニーの555ESRと333ESRのように、下位機種にもサイドウッドを装着して展開されていたらどうなっていたのでしょうね。

 
 




 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

GX-Z7000 メーターとボリューム
【メーターとボリューム】
上位のGX-Z9000と共通になっている関係で、dbxを搭載していなくても+12dBまで目盛があります。よく見ると薄っすらdbxが点灯する部分が見えます。
GX-Z7000 テープ操作ボタン
【テープの操作ボタン】
ボタンは大きくて使いやすいです。再生ボタンを押しながら早送りを押すと、曲の頭だけを次々に再生するイントロスキャン機能が使えます。
GX-Z7000 デッキ背面
【デッキ背面】
入出力端子は1系統ずつ。どうでもよい事かもしれませんが、消費電力がGX-Z9000より1W少ないです。
GX-Z7000 型番の銘板
【型番表示と電源コード】
電源コードには「1987」と記されていました。球数は少ないと思いますが「1988」の個体も存在するはずです。

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

GX-Z7000 メカニズム部背面
【メカニズムの後ろ側】
AKAI/A&Dの3ヘッドではお馴染みの光景。メカ駆動用モーターが付いている位置が特徴的な点だと思います。劣化で動作音が大きくなる症状が定番で、別なモーターに交換すると静かになります。画像のデッキは交換済みです。
GX-Z7000 電源トランス
【電源トランス】
向かって左奥に付いています。価格7万円のミドルクラスにしてはやや小振りに見えます。上位のGX-Z9000も全く同じです。
GX-Z7000 電源回路
【電源回路と再生ヘッドのアンプ】
大きな電解コンデンサが付いている周辺が電源回路、画像左半分にある銅メッキのシールドの部分が再生ヘッドのアンプです。そして、あまり目立っていませんが、黄色の配線が出ている部分はヘッドホンアンプです。
GX-Z7000 制御系回路
【制御系回路】
GX-Z7000はクォーツロックを使っていないため、テープスピードを調整する半固定抵抗があります。それ以外はGX-Z9000と全く同じです。
GX-Z7000 ドルビー用IC
【ノイズリダクション用IC】
日立製のHA12090NTというICが2個使われています。仕様表を見ると、1個のICで録音(エンコード)と再生(デコード)を同時に行える仕様になっています。3ヘッド方式専用のICとなっているようです。

【アンプ基板の奥を覗く】
GX-Z7000 アンプ回路の電源トランジスタ

【アンプ回路の電源トランジスタ】
どちらも三洋製で、正電源側は2SC2911、負電源側は2SA1209が使われています。
GX-Z7000 制御系回路の電源トランジスタ
【制御系回路の電源用トランジスタ】
放熱板が付いているように、このトランジスタは非常に発熱します。ちょうどこの位置にキャビネットの通風孔が来ます。東芝製の2SD1508、ダーリントントランジスタです。

 

デッキの分解画像

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GX-Z7000 メカニズム部分のオーバーホール
【メカニズム全分解】
このメカニズムは固着による故障が多く、オーバーホールは予防効果が高いです。

 

撮影に協力してくださった方
・神奈川県 シオミ様(外観およびデッキ内部の画像 2021年7月撮影)

 



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