西村音響店

A&D GX-Z7100EV

ページ作成日:2018/11/2
最終更新日:2025/12/24


 

概説

 

GX-Z7100、GX-Z7100EXと改良を続け、いよいよ赤井電機のカセットデッキで最終モデルとして1990年に登場したのが、このGX-Z7100EVです。

録音/再生ヘッドには、アカイ、A&Dで長らく採用されてきた、摩耗に非常に強いスーパーGXヘッドを引き続き採用していますが、GX-Z7100EVではさらに進化して、再生ヘッドと録音ヘッドが完全に分離されている構造になっています。このようなヘッドを「ディスクリートヘッド」と呼び、工場出荷前の調整でデッキの性能をより発揮させることができるようになりました。これまでは、2つのヘッドが一体型になっている「コンビネーションヘッド」では、録音ヘッドと再生ヘッドを別々には調整できず、妥協せざるを得ない部分があります。

15cmという厚みのあるボディが特徴ですが、これは電子回路基板1枚1枚に個室を設ける、「セパレートブロック・コンストラクション」という構造を採用しているためです。1988年のGX-Z7100から採用されています。この構造が効果をもたらすのは特にアンプ部分で、むき出し状態だと、外部から電磁波の影響を受けてノイズが混入します。カセットデッキは、磁気ヘッドで拾った微弱な信号を扱うので、ノイズ源となる電磁波は大敵です。

上位機種GX-Z9100EVに採用されているクォーツロックや銅メッキシャーシが省略されている分、1ランク下のモデルにはなりますが、基本機能として、録音レベル調整とバイアス調整を補助するキャリブレーション機能、複数曲のスキップ/頭出し、1/2の速度で再生する機能、A地点とB地点を指定して区間再生する機能など、十分な便利機能を搭載しています。

性能面では、メタルテープ使用時には23,000Hzまで信号を切り落とすことなく録音出来る性能を持っており、高級テープへの録音でも威力を発揮してくれる1台です。

アモルファスヘッドを採用したカセットデッキが多くを占めるこの頃でも、赤井のポリシーを貫き通したところに、テープデッキの老舗としての強い熱を感じます。

 

GX-Z7100EVの構造&搭載機能

ヘッド 3ヘッド方式(録音/再生:独立懸架型スーパーGXヘッド GXISM)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール(カムモーター駆動)
キャプスタンの回転 ダイレクトドライブ(FGサーボ方式)
テープの走行方式 クローズドループデュアルキャプスタン
カセットホルダの開閉 パワーローディング
スタビライザー あり
テープセレクター 自動(ノーマル・ハイポジ・メタル)
ノイズリダクション ドルビーB/C
ドルビーHX-Pro ON/OFF切替可能
選曲機能 あり(複数曲スキップ可能)
メーター デジタルピークレベルメーター(0dB=250nWb/m)
ライン入力 RCA端子2系統(LINE-IN, CD-DIRECT)
ライン出力 RCA端子1系統
キャリブレーション機能 マニュアルキャリブレーション(400Hz,10kHz)
カウンター 分数表示
その他の機能
  • メモリーストップ(カウンター00.00で巻戻しを自動停止)
  • RECキャンセル(録音を中断し、その曲の始めまで巻戻し)
  • A-Bリピート(指定区間だけ再生)
  • 半速再生・消去(一部分だけ消去したい時に便利な半速モード)
  • ディスプレイ消灯

 

GX-Z7100の特徴

◎赤井電機最終世代のモデル(アンプ回路の小改良、金属製リッドに変更)
◎独立懸架型ヘッド(GXヘッドの最終進化型 GXISM)
◎搭載機能は上位機種(9100EV)と全く同じ
◎超ワイドレンジな録音特性(メタルで25kHz、ノーマルでも20kHz超え)
○マニュアルキャリブレーション機能
○FGサーボ仕様のダイレクトドライブ
△ライン出力バッファーが無い(ドルビーIC直出しで音の力感が若干欠ける)

 

関連機種

  • GX-Z7100(7100系列最初のモデル 通称:無印7100)
  • GX-Z7100EX(無印から小改良された7100)
  • GX-Z9100EV(上位機種)

 

 



 

音質サンプル

【フュージョン・ロック】★他機で録音したテープ 録音デッキ:TEAC C-3 48kHz-24bit 容量26.6MB

無圧縮音源ファイルのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。

 

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

【前面左側】
無印とEXでは無かったサイドパネルがEVで付きました。樹脂製で、上位機種9100EVも同じパネルが付いています。9100系列はウッドからプラスチックに簡素化された形になります。
【前面中央】
表示部やボリュームは無印から変わらず9100と7100の違いはありません。EVになってツマミの形状が少し丸みのある物に変わったくらいです。
【前面右側】
操作ボタン類も上位機種9100EVや、無印からの変化は形状の小変化くらいで特にありません。流行にあわせてデザインに丸みを持たせたことで、昭和感のある古臭さを拭えているように思います。
【ヘッド部分】
赤井電機最後の世代になって、GXヘッドが更に進化しました。録音ヘッドと再生ヘッドが、分離してマウントされている独立懸架型です。アジマス調整が別々に行えるようになり、きっちり調整することで脅威のワイドレンジを叩き出します。その代わり調整の難易度は高いです。

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。


 



 

デッキの分解画像

 

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【メカ脱着】
A&Dのデッキは前面パネルを外してからメカを下ろします。特に9100/7100は、ヘッドの配線が隙間を通って下の階のアンプ基板に向かっているため、狭い部分の作業が必要になります。作業性を良くするためにも前面パネルを外します。

【メカ取り外し完了】
メカの固定ネジが底部側にもあるため、デッキ底部を開ける必要があります。脱着の難易度はさほど高くはないですが、手間がやや掛かるのが9100/7100の整備での感想です。
【メカ前側】
【メカ上側】
【メカ後側】
【メカ下側】

【カセットホルダ分解】

【メカ前側分解①】

【メカ前側分解②】

【メカ後側分解】

【部品洗浄後】
パーツクリーナーで完全に油分を落としました。ボウルに浸したパーツクリーナーに古いグリスが溶け出て真っ黒になります。AKAIのメカではお馴染みの光景です。グリスの量が多い分固着もしやすいため、よりオーバーホールで油脂類を一新する重要性が高まります。
【】

 

 

参考周波数特性

画像にマウスオン(タップ)すると周波数軸が線形に変わります。

【TYPEⅠ】Recording The Masters


【TYPEⅡ】TDK SA (1990年)


【TYPEⅣ】 (年)



 

※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。

 

 

これまでの作業実績

2024年1月 愛知県 とらきち様


2025年7月 愛知県 ワタナベ様

 

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