西村音響店

A&D GX-Z9100

  • A&D GX-Z9100

 

概説

1988年に登場した、A&Dブランド最上級モデルのカセットデッキです。GX-Z9000の後継モデルとして登場しました。薄型デザインから一転して、厚みのある堅牢な容姿へとモデルチェンジしました。フラッグシップモデルの証となるサイドウッドも引き続き装着され、さらに艶出し加工を行ってさらに高級感を増したモデルになっていると思います。

薄型のボディから、高さ15cmのデザインへと進化したのは、電子回路基板1枚1枚に個室を設けるレイアウトを採用したためで、「セパレートブロック・コンストラクション」といいます。基板を密室に閉じ込めることで、電源トランスから発出されるハムノイズなど、空中から混入する有害ノイズを抑制する工夫をしています。なお、GX-Z9100ではシャーシが銅メッキ仕様となります。

GX-Z9000で搭載されていた、ヒスノイズが皆無になるdbxノイズリダクションは残念ながら搭載されていません。ドルビーのBタイプ・Cタイプの2種類のみの搭載となりました。ただ、元号が昭和から平成に変わると、どのメーカーもdbx搭載のモデルを廃していきました。

GX-Z9100からは新機能として、録音レベルとバイアス調整を補助するキャリブレーション機能が搭載されました。これで耳で聴きながら調整をしなくても、メーターで視覚的に調整状態を確認できます。なぜGX-Z9000に搭載されていなかったのかが不思議です。

他にも、CDダイレクト端子、ドルビーHX-Pro(ON/OFF可能)、16曲までの複数の曲を一度にスキップできる機能、1/2のスピードで再生する機能などと、数々の新機能を搭載して登場しました。

今まで薄型のデザインが多かったAKAIですが、ごついA&Dへと変わっていきました。昭和から平成へ時代が移るころ、各社とも厚みのあるデッキが多くなっていっているので、カセットデッキにも何か流行というものがあったように感じます。

 



 

外観の詳細画像

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A&D GX-Z9100 サイドウッド
【サイドウッド拡大】
9100からは艶ありタイプのウッドになった。高さのあるごついボディとの組み合わせで、先代の9000よりも高級感が増している。
A&D GX-Z9100 背面
【デッキ背面】
9100になって新たにCDダイレクト端子が装備された。ただし通常のLINE入力に比べてインピーダンスが高いので、録音レベルの設定は高めにする必要がある。
A&D GX-Z9100 スーパーGXヘッド
【録音・再生ヘッド】
ヘッドは変わらずスーパーGXヘッド。先代と全く同じである。強いて言うのであれば、テープガイドの色が白になったくらい。
A&D GX-Z9100 製造番号と製造年
【製造番号と製造年】
このGX-Z9100は1988年製。翌年からGX-Z9100EXに変わるので、1989年製の個体も存在すると思われる。

 

デッキの内部

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A&D GX-Z9100 上層階(電源回路・制御系回路)
【電源回路と制御系の回路】
9100/7100の最大の特徴は「2階建て」。キャビネットを開けると見えるのが2階。デッキの下面を開けると、アンプがある1階にアクセスできる。A&Dのステッカーが貼られた電源トランスがカッコイイ。
A&D GX-Z9100 下層階(アンプ)
【アンプ基板】
緑色の四角い部品は、いかにも高級そうなフィルムコンデンサ。あちこちに実装されており、先代の9000よりも気合が込められているように感じる。ちなみに下位モデルの7100は、高級コンデンサの数が減らされている。
A&D GX-Z9100 下層階(バイアス発振回路)
【バイアス発振回路】
GX-Z9100からは新たにドルビーHX-Proが搭載された。スイッチでON/OFFを切り替えることもできる。
A&D GX-Z9100 再生アンプの拡大
【再生アンプ拡大】
先代の9000はオペアンプで増幅する回路だったが、9100では単体のトランジスタで構成する回路に回帰。音質も大きく変わり、9100では中高音を意識した雰囲気になっている。
GX-Z9100に使われている日立製ドルビーIC
【ドルビーNR用IC】
日立製のICで、先代の9000と同じものが使われている。ソニーのデッキで録音されたテープとは相性がイマイチ。

 

デッキの分解画像

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A&D GX-Z9100 メカニズム全分解
【メカニズム全分解】
メカニズムはアカイの高級機種ではお馴染みのものである。テープ巻取り用のモーターが変更されたくらいで、大きな変更点はない。
GX-Z9100の電源トランスの裏
【電源トランスの裏側】
立派な電源トランスの裏側はこうなっている。ノイズ対策が徹底的に施されているお陰で、ハムノイズやスパークノイズなど、有害なノイズの影響が少なくなっている。

 

撮影に協力してくださった方
・埼玉県「eagle39」さん

 

 

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