概説
ヤマハのカセットデッキで型番に「1」を名乗る最後のモデル。K-1の最終進化形とも言える1台です。
電源トランスを2基搭載し、アンプ用とそれ以外で電源を独立させた設計になっています。ソニーのTC-K777ESⅡと同じような設計です。またアンプには各所に、ニチコン製のMUSEやルビコン製のBlackGateといった高級な電子部品交換が使われています。
メカニズムは、サードパーティ製のものを搭載。同世代のKENWOODや、1990年以降のTEACにも搭載されるメカニズムです。テープの走行は、DCサーボモーターによるクローズドループデュアルキャプスタン。搭載されるヘッドはセンダストヘッドで、高音域の透明感と表現力に優れた音質が特徴です。
ノイズリダクションは、ドルビー方式のBタイプ・Cタイプに加え、dbxも搭載。dbxを搭載している点は、2代目のK-1であるK-1dから続く装備です。
録音面でのポイントは2つ。1つはデッキ中央に配置された縦軸の録音レベルのフェーダー。ツマミの可動範囲も広いので、細かな調整やフェードの操作もしやすいです。もう一つはバイアス調整。完全なキャリブレーション機能ではありませんが、バイアスの過不足をディスプレイにマークで表示してくれる機能があります。表示されたマークを見ることで、適正なバイアス調整になっているかを一目で確認できます。
外観は初代K-1のデザインをしっかり受け継いでいることが一目で分かります。K-1のチャームポイントである、ガラス製のカセットホルダーリッドも健在。またK-1xwは、ヤマハのカセットデッキの中では希少なサイドウッドを装着した機種でもあります。
外観の詳細画像
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【カセットホルダ】 開閉は手動式。リッドが前面ガラスなので、テープが回る様子がよく見える。
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【メーターと操作ボタン】 操作ボタンの配置は初代K-1から続いている。メーターは0dBがVUに設定されているタイプ。リニア分数カウンターも表示が大きく見やすい。早送りor巻戻しボタンを押し続けると、巻取りスピードがさらに高速になる。
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【カバーの中の操作類】 ノイズリダクションのスイッチやバイアス調整のツマミはここにある。
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【ガラス製リッド】 リッドを横からみると、窓ガラスのような分厚いガラスが使われていることがわかる。手に持った感じはずっしりと重たい。
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【サイドウッド】 サイドウッドも他ではあまり見かけないような淡い色である。これもK-1xwの存在感を示す装備の1つだ。
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【デッキ背面】 入出力端子は1系統ずつ。サイドウッドの断面を見ると、いかにも硬そうな木材を使っているように見える。K-1xwの電源コードには西暦が書いていない。
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デッキの内部
デッキの分解画像
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【メカニズム】 サンキョー製のメカニズムである。KENWOODやTEACでも同じものが搭載されたデッキがある。
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【回転部分を露出】 他のメーカーでも同じサンキョー製が搭載されているが、細かい部分が違う。K-1xwはテープの巻取りをゴムタイヤで行う構造になっている。(他はギヤを使った方式)
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【メカニズムの背面】 キャプスタンモーターはDCサーボモーター。TEACで例えるなら、V-5000と同じ構造である。ということはV-7000のようにD.D.モーターに載せ替えることも可能なのだろうか?
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【アシストモーター】 向かって右端に横向きに装着されたモーターでメカニズムを動作させる。モーターのブラシが劣化しやすいのか、寿命で回らなくなってしまっているものも見かける。
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【キャプスタンホイール】 TEACのV-5000と全く同じである。K-1xwは最上位モデルだが、ダイレクトドライブが採用されていない。
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【メカニズムの動作を制御する接点】 この部分もサンキョー製メカニズムの特徴である。弱点としては接点がむき出しなので接触不良になりやすい。接触不良を起こすと動作がおかしくなってしまう。
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【ノイズリダクション基板】 コネクタで差さっているだけなので、簡単に脱着が可能。ドルビー用のICはフィリップス製のTEA0665で、他ではあまり見かけないICである。dbx用は松下電器製のAN6291。
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その他の画像
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撮影に協力してくださった方
・茨城県 船野様