概説
1982年ごろのダブルカセットデッキです。
KD=W5の面白さは、オートリバース無しのダブルカセットデッキというところにあります。
ダブルカセットデッキというと、裏返さずB面も再生できるオートリバースに対応したデッキが多数派です。しかし、このようなデッキが多数派になるのは1980年代後半ですので、KD-W5は初期のダブルカセットデッキと言えるでしょう。
1990年代になれば、定価3万円台で購入できるほどになり、より身近なものになったと思います。
左側のデッキでは、再生速度の調整(ピッチコントロール)ができます。この機能は安価なデッキにしか付いていないことが多く、安いデッキの面白さの1つかもしれません。
オートリバース無しなので機能面では不足が感じられるかもしれませんが、このようなデッキからもカセットデッキの軌跡が読み取れます。
KD-W5音質
故障事例:ベルトが切れて巻戻しできない
KD-W5は2本のベルトが使われています。1個のモーターで再生から巻戻し/早送りまで、テープの動作を行うためには複数のベルトが必要です。
写真には切れたベルトが写っています。この時に修理したKD-W5が、早送りと巻戻しができないという状態でした。その原因がこの切れたベルトです。
新品のベルトに交換して対処しました。
反応が悪くなったらボタンを交換します
ボタンが古くなると、押したときの反応がだんだん悪くなってきます。ボタンの導電性が低下するためです。
反応しないがために、力一杯押してボタンを壊してしまう前に交換しましょう。
安価なデッキでも最後まで分解します
いくら安いグレードのカセットデッキであっても、同じカセットデッキです。
この時に修理したKD-W5はベルト切れによる故障でしたので、修理のみであればベルトの交換だけで済みます。しかしそれだけでは単なる修理です。
+αとして、メカニズムを一旦分解して、ゴムの劣化は無いかなどを全体的にチェックします。
ダブルカセットデッキは、左と右、2つのデッキがありますから、分解の工程を2回行います。