概説
1988年ごろにヤマハから発売された最上級グレードの3ヘッドカセットデッキです。
ノイズリダクションには、ドルビーに加えて、dbxを搭載しています。dbxを使用することで、ヒスノイズが殆ど無い状態で録音・再生が可能です。KX-1000の魅力的な機能として、高速早送り&巻戻しがあります。ボタンを押し続けている間、巻取りスピードが速くなります。
メカニズムの分解
(画像が自動的に変わりますので、分解の様子をご覧下さい。)
メカニズムは、キャプスタンモーター、リールモーター、アシストモーターからなる、3モーター構成です。リール台を回転させるアイドラーはゴム式で、早送り・巻戻し時の静粛性に優れています。テープの走行は、クローズドループデュアルキャプスタン方式、キャプスタンは整流子付きDCサーボモーターによって回転されます。
KX-1000のゴムベルト
キャプスタン用にΦ80mmの平ベルト、バックテンション用にΦ22mmの角ベルトの2本が使われています。バックテンション用のベルトは、再生中に左側(供給側)のリールに抵抗を掛けることで、テープを少し引っ張って走行を安定させる役割があります。バックテンションが掛からないと、テープが弛んでしまって、巻きこみなどの走行不良の原因となってしまいます。
ゴムが劣化してリールが回らなくなる
リールを回転させるモーターと、動力を伝えるアイドラーと呼ばれる部品です。アイドラーにはゴムが使われており、劣化すると段々滑る様になってしまいます。このゴムを代替品の新品に交換することで解決できます。
本体内部
向かって左側に電源回路の基板、右側にメインの基板、右端にそびえ立っている小さい基板がdbxノイズリダクションの回路基板です。右側の大きいメイン基板に、アンプ回路だけではなく、動作を制御するマイコンもあります。
録再ヘッド
録再ヘッドは、コンビネーション型のアモルファスヘッドが採用されています。ヤマハの部品管理番号?は、GF-38と印字されています。
dbx回路基板
KX-1000のdbx回路基板は、コネクタで接続されているだけで、簡単に取り外すことができます。画像はフルメンテナンスを行った後で、電解コンデンサーは新品に交換しています。
キャプスタンモーターの点検
KX-1000に使われるキャプスタンモーターには、回転スピードを制御する回路が内蔵されています。そこにも電解コンデンサーが隠れていますので、見逃さず交換します。特にモーターは回転中に熱を持つため、寿命を早めています。
ボタンの交換
ボタンは4つ足タイプの物が9個使われています。同じ4つ足タイプのボタンでも、高さが4mm、5mm、…と異なる高さのボタンがあります。KX-1000は一番低い4mmのタイプです。
メカニズム制御用のカム接点
メカニズムの向かって右上に、画像のように歯車、接点、小型モーターがあります。ここが、磁気ヘッドの上昇動作、ピンチローラーの上昇動作を行う部分です。歯車には凹凸がりあり、この凹凸が接点をON/OFFすることによって、マイコンにON/OFFの信号が伝わります。デジタル信号でいう0と1の組み合わせで、メカニズムがどの状態なのかを判断しています。
レベル調整しやすいフェーダー
KX-1000には、マスタフェーダーと呼ばれる縦軸の大きなボリュームが1つと、プリセットRECレベルと呼ばれる小さなボリュームが左右独立して付いています。多くのカセットデッキは、ツマミを回転させるタイプのボリュームが多いですが、KX-1000のマスタフェーダーは、滑らかに動かすことができますので、微調整もしやすいです。