西村音響店

Nakamichi 582Z

最終更新:2021/12/11

 

概説

1981年ごろに登場したナカミチの3ヘッドカセットデッキ。580番台の中では純粋な3ヘッド機になっている機種です。

外観のポイントが沢山あるナカミチの580番台ですが、まず1つは幅50cmのワイドボディが挙げられると思います。一般的なデッキは43cm前後なので、約7cmも幅広です。元々このシリーズはアメリカをターゲットにしていたそうで、車でいるアメ車みたいな感じでしょうか。他にも、他では見かけないボリュームのツマミ形状、通電中デッキ前面が温かく光るイルミネーションなど、アメリカンでワイルド(?)な雰囲気もあります。

580番台には幾つかの機種がありますが、この582Zは、録音同時モニターが可能な純粋な3ヘッド機で、ドルビーCを搭載した機種です。ちなみに同じファミリーの581Zは録音同時モニター不可の3ヘッド機、580Mは純粋な2ヘッド機となっています。

ノイズリダクションは、当時登場したばかりだったドルビーCを搭載しています。初期のドルビーCということで、ドルビーB用のICを合計8個搭載した回路になっています。581Zでは半分の4個になっており、録音用と再生用を兼用するために同時モニターが使えません。

キャリブレーションは手動式で、録音感度とバイアスを左右独立して調整ができます。操作ボタンのすぐ上にある穴にマイナスドライバーを突っ込み、中にあるボリュームを回します。調整範囲がかなり広く、慣れないうちは少し戸惑います。ただ、上級クラスではオートマチックになる機種もあるので、完全マニュアルが良いという方にはおススメです。

音質は、680番台やZXシリーズなどの上級機種と比べると、若干超高音域の解像度が劣るかもしれません。それでもクリスタロイヘッドの力強い音は健在です。ドラムやギターが激しいロック系やフュージョン系には向いていると思います。

ナカミチの中ではどちらかというと少し下のグレードに位置しますが、十二分にナカミチサウンドを堪能できると思います。ただ、ワイドボディがゆえにラックに納まらない場合もある点は要注意です。

 



 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

Nakamichi 582Z カセットホルダ
【カセットホルダ】
開閉は手動式です。カウンターやメーターがある部分が少し出っ張っているデザインになっていますが、リッドもこの部分と一体になるように特異な形をしています。
Nakamichi 582Z テープ操作部・キャリブレーション操作部
【操作ボタン・キャリブレーション操作部】
早送りと巻戻しが左右逆に並んでますが、見渡すと右から順に使用頻度が高いボタンが並んでいるようにも見えます。また、再生中から録音に切り替えることができない仕様になっており、若干不便に感じるシーンもあります。
Nakamichi 582Z スイッチ・ボリューム操作部
【切替スイッチ・ボリューム類】
ナカミチの580番台はボリュームの形状が特徴的です。メーターは赤色一色のLEDタイプ。0dB=ドルビーレベルのスケールになっています。なお、録音同時モニターが使えない581Zは、モニターの切替スイッチが無くなります。再生EQの切替も手動式です。
Nakamichi 582Z ヘッド部分
【ヘッド部分】
ナカミチ自慢のクリスタロイヘッドです。走行はデュアルキャプスタン方式。
Nakamichi 582 デッキ背面
【デッキ背面】
背面は581Z・582Z共に同じレイアウトです。MPXフィルターのスイッチは背面にあります。
Nakamichi 582Z 型番銘板
【型番表示と電源コード】
電源コードには「1981」の印字がありました。この年でドルビーCも搭載しているということで、ドルビーC登場初期のデッキです。

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

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オープン・ザ・底板

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Nakamichi 582Z 電源トランス
【電源トランス】
背面パネルにへばりつくような形で設置されています。
Nakamichi 582Z 電源・制御系回路
【電源回路と制御系回路】
電源と制御が1枚の基板にまとまっています。大抵はデッキの動作を制御するマイコン(サイズが大きなIC)がありますが、582Zには無いようです。何となくのっぺりした電子部品の配置になっています。
Nakamichi 582Z 電源平滑用コンデンサ
【平滑用の電解コンデンサ】
一番手前側の大きな電解コンデンサーは25V-6800μFです。
Nakamichi 582Z メカニズム部分
【メカニズムの後ろ部分】
キャプスタンの回転はDCサーボモーターが使われています。もう少し細かく分類するのであれば、ガバナー式のサーボモーターです。
Nakamichi 582Z 再生ヘッドアンプ
【再生ヘッドのアンプ】
Nakamichi 582Z 録音ヘッドアンプ
【録音ヘッドのアンプ】
Nakamichi 582Z バイアス発振回路
【バイアス発振回路】
Nakamichi 582Z ラインアンプ
【ラインアンプ】
Nakamichi 582Z ドルビー回路基板
【ノイズリダクション回路】
581Zと582Zで大きく違う部分です。登場初期のドルビーCは、ICを左右で2個ずつ使います。582Zでは録音用と再生用それぞれ専用に4個設けることで、録音同時モニターを可能にしています。橙色のフィルムコンデンサが壊れやすく、壊れかけるとノイズが混入するようになります。
Nakamichi 582Z メーターアンプ回路
【メーターアンプ回路】
オペアンプが壊れやすいためか、気まぐれにメーターが一瞬振り切れる症状を見かけます。この582Zや581Zでも遭遇しました。
Nakamichi 582Z メーターの後ろ部分
【メーターユニットの後ろ部分】
メーターのLEDから発するノイズ対策のためか、金属製のケースに封じ込められています。

 

YouTube動画でも紹介しました

 

撮影に協力してくださった方
・大阪府 prophet5さん(2021年10月撮影)

 

 

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