概説
1981年頃のナカミチの3ヘッドカセットデッキです。
幅50cmのワイドボディと横一直線のイルミネーションが特徴のナカミチ580番台。この581Zは、当時登場したばかりのドルビーCを搭載したディスクリート3ヘッドのデッキとなっています。ただし、一応3ヘッドとなっているものの、なんと録音同時モニター機能はありません。通常、3ヘッド方式であれば必然的に搭載されている機能ですが、何故か581Zでは不可能な仕様となっています。
不可能な理由はノイズリダクションのICにあります。581Zでは録音同時モニターを実現するために必要な個数のICを搭載していません。当時の状況で同機能を実現するには8個必要ですが、581Zは4個搭載となっています。一方、582Zでは必要な個数を搭載しているため、一般的な3ヘッド方式と同様に録音同時モニターが可能です。
ところで、録音キャリブレーション機能については581Zと582Zどちらも搭載しています。400Hzと15kHzのテストトーンを使い、リアルタイムで低音と高音のレベルをメーターで確認しながら、録音レベルとバイアス調整が可能です。しかし581Zは、録音同時モニターが不可能なのに、キャリブレーションは可能という点は、とても謎(?)な仕様となっています。
録音同時モニターが使えず、使い勝手は実質2ヘッドのような感じとなっています。表現が少し良くないかもしれませんが、いわゆる『なんちゃって3ヘッド』なデッキです。582Zは純粋な3ヘッド方式のデッキですが、581Zは色々変態要素が詰まったカセットデッキ通としては面白い1台だと思います。
ちなみに管理人が初めてナカミチのカセットデッキに触れたのは、この581Zでした。
音質参考動画
外観の詳細画像
デッキの内部
デッキの分解画像
撮影に協力してくださった方
・茨城県 シダ様(外観の画像 2021年7月撮影)