西村音響店

Pioneer T-770S

ページ作成日:2025/12/21


 

概説

 

 

T-770Sの構造&搭載機能

ヘッド 3ヘッド方式(録音/再生:PC-OCC巻線アモルファス・コンビネーション型)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール(3モーター・ベルト駆動・サイレントメカ)
キャプスタンの回転 DCサーボモーター
テープの走行方式 クローズドループ・デュアルキャプスタン
カセットホルダの開閉 パワーローディング
スタビライザー あり
テープセレクター 自動
ノイズリダクション ドルビーB/C/S
ドルビーHX-Pro 常時ON
選曲機能 あり(複数曲スキップ可)
メーター デジタル式・レンジ切替機能付き(0dB=250nWb/m)
ライン入力 RCA端子1系統
ライン出力 RCA端子1系統
キャリブレーション機能 FLAT-SYSTEMによるオートキャリブレーション・手動バイアス調整
カウンター 4ディジット,再生経過時間,テープ残量分数
その他の機能
  • CDシンクロ
  • ラストモードメモリー(電源OFF後もカウンターやFLAT-SYTEMの調整値を記憶)
  • テープリターン(ボタン一つでカウンター0000まで巻戻し)

 

T-770Sの特徴

◎メタルテープ使用時~25kHzのワイドな周波数範囲
◎スラントメカにより走行安定性を追求
◎FLAT-SYSTEMによる自動キャリブレーション(バイアス・録音感度・イコライザ)
◎手動バイアス調整にも対応(FLAT-SYSTEM実行後も手動補正可能)
○ドルビーS搭載
○Pioneerのデッキの中ではやや珍しい堅実で素直な音質
△構造が複雑で修理の難易度高(スラントメカが災いしている)

 

 



 

音質サンプル

テープ:RTM
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library

【フュージョン・ロック】96kHz-24bit 容量52.7MB

—–

【フュージョン・ロック】★他機で録音したテープ 録音デッキ:TEAC C-3 48kHz-24bit 容量34.4MB

無圧縮音源ファイルのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

【前面左側】
表示部は左側に配置。その下にはカウンター関連、メーター関連、FLAT-SYSTEMの開始ボタン、バイアス調整ボタンがあります。
【メーターレンジ切替】
METER MODEボタンを押すと0dB付近のレベルが詳細に表示されます。録音レベルの調整を追い込むのに便利です。
【バイアス調整表示】
更にMETER MODEを押すとバイアスの調整状態を表示します。バイアスの+ーを押した時も一定時間表示されます。FLAT-SYSTEM実行後は、自動調整されたバイアス設定値も表示されるため、どれだけ補正したかの確認も容易です。
【前面中央】
中央配置のメカです。カセットホルダのドアは表面にRを描いた上品なデザインです。開閉時の動作音も非常に静かです。
【前面右側】
テープの操作、ノイズリダクション関連の操作、録音ボリュームがあります。再生中に早送り/巻戻しを押すと選曲機能が働きます。
【ヘッド部分】
メカが奥に向かって傾いているため、ヘッド部分も若干奥の方へシフトしています。本来は通常のアモルファスコンビネーションヘッドですが、この個体は何故かT-1100Sで使われるFTAヘッドが付いていました。

 

デッキの内部

 

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【制御系向け電源回路・バイアス発振回路】
撮影の都合上、左側面から撮影しています。バイアス発振回路はアンプ部から離れたこちらにレイアウトされています。各テープポジションで工場出荷時のバイアス調整ができるようになっています。
【制御回路基板】
向かって左側の部屋の壁に垂直に設置されている基板です。デッキを制御を担うマイコンや、モーターを駆動する回路がこちらにあります。
【電源トランス】
【アンプ向け電源/録音アンプ基板】
中央の部屋はアンプ向けの電源と、録音系の回路があります。
【アンプ向け電源回路】
全波整流された電流を、2段の電圧レギュレータを通してアンプに供給しています。オペアンプは電圧フィードバック用と思われ、単純なツェナーダイオードによる定電圧制御はしていません。実質的に三端子レギュレータをディスクリートで構成したような回路でしょうか。
【録音アンプ回路・ドルビーB/C回路】
【電源平滑コンデンサ】
【録音用ドルビーS回路基板】
【再生系回路基板】
再生系は向かって右側の部屋にあります。
【再生アンプ】
T-770Sはシンプルなオペアンプ増幅の回路です。上位機種のT-1100Sは初段増幅にFETを使う回路になるため、再生アンプは差別化されています。
【再生用ドルビーS回路基板】
先程の録音用ドルビーSとともに、部屋の壁に当たる部分に設置されています。ちょうど反対側に録音用ドルビーSの基板があり、壁を挟んで背中を向いて設置されているような形です。
【ヘッドホンアンプ回路】



 

デッキの分解画像


 

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【メカの脱着①】
メカを下ろすには、まず前面の金属パネルを外します。樹脂パネルとの二層構造になっています。
【メカの脱着②】
金属パネルを外すと、カセットホルダの左右にネジが見えてきます。これがメカを固定しているネジです。また本体底部からも2本のネジで固定されています。
【メカの脱着③◆】
メカを取り出す際に邪魔となる部屋の仕切り(壁)の部品を外します。基板の固定ネジを外す必要もあるため、これがメカの脱着の工数を増やす要素になっています。
【メカの脱着④】
これでようやくメカを外すことができます。体感的に30分程度は掛かる作業です。このためT-770Sの工賃はやや高めとなります。
【メカ後側の分解①◆】
フライホイールは厚みがあって重く、形状を左右対称にして千鳥配置にし、直径を稼いでいます。
【メカ後側の分解②◆】
ゴムベルトが加水分解してしまった状態です。T-770Sのゴムベルトはどろどろに溶ける切れ方をします。
【メカ前側を分解◆】
ヘッドブロックまで取り外した状態です。このメカの厄介ポイントは、消耗するゴムアイドラーを採用しているにもかかわらず、交換するには大きく分解しないといけない点です。
【メカ後側を分解③◆】
オーバーホールするにあたって、カセットホルダを開閉しているギヤも外しますが、嚙み合わせがずれると大変です。分解はほんの一手間で出来るのに、組み立て時はかなり神経を遣います。ここをミスしてしまうと後で泣くことになります。
【完全分解した状態◆】
【溶けたゴムベルトの除去◆】
フライホイールやモータープーリーに粘着しているだけでなく、モーターが空転した際の遠心力で周囲に飛び散ったゴムの片づけも大変です。
【タクトスイッチ交換①】
操作ボタンの反応が悪くなった時はタクトスイッチの交換を行います。交換するには前面パネルを完全に取り外します。
【タクトスイッチ交換②】
前面パネルを外した後に、基板を取り外します。さすがに前面パネルが付いたまま基板の固定ネジを外すのは無理があります。
【タクトスイッチ交換③】
使われているタクトスイッチは、2本足タイプで高さ5mmのスイッチでした。
【タクトスイッチ交換④】

 

 

動作音

 

 

参考周波数特性

画像にマウスオン(タップ)すると周波数軸が線形に変わります。

【TYPEⅠ】RTM


【TYPEⅡ】TDK SA (1992年)


【TYPEⅣ】TDK MA-EX


テストテープによる再生周波数特性

 

※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。

 

YouTube動画でも紹介しました

 

これまでの作業実績

2024年6月 埼玉県 川口T770S様


 

2025年8月 群馬県 ウノ様◆

 

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