西村音響店

Pioneer CT-A1

最終更新:2021/12/11

 

概説

1979年に登場したパイオニアの超弩級デッキです。

その巨体はナカミチの最高峰、1000ZXLの姿が反射的に脳裏に映りそうですが、実はそこまで大きくありません。特に横幅は42cmと、一般的なフルサイズコンポと同じです。ただ、高さと奥行は大きいため、少し例えが良くないかもしれませんが一瞬「オーブンレンジ」に見えてしまうような外観です。重量も18kgと、超弩級デッキに相応しい重さです。1000ZXLのように外ケースは無いものの、とにかく重たいです。

外観でもう一つ大きなポイントが前面のカバー。カバーを1回押し込むと「カチッ」という音がして手前側に開きます。さらに完全に開けた後、カバーを押し込むことでデッキの奥に収納することができ、使用中の邪魔にならないという賢い設計です。カバーを開けると、カセットホルダー無しのメカと、スイッチ、ボリューム、そして幾つもの小さくて押しにくいボタンが現れます。テープセレクターは手動式で、フェリクロームポジションも備えています。

メーターは+8dBを最大としたFL管のデジタル式で、ピークレベル表示とアベレージ表示(VUメーターのような動きをするモード)を切り替えることができます。1点注意する必要な点は、OUTPUTボリュームとメーターのレベルが連動する点です。OUTPUTボリュームを「0」にするとメーターは振れません。取扱説明書では「6」の位置が基準レベルと解説されています。

テープの走行は、クォーツロックのDDモーターを使用した、クローズドループデュアルキャプスタン方式です。高級デッキとしては標準的な装備ですが、このCT-A1はピッチコントロール機能も付いています。

そしてCT-A1最大の機能が「AUTO B・L・E」と称されるオートチューニング機能。ボタン一つで自動的にキャリブレーション(録音感度・バイアス・イコライザー)が行われます。ただ、精度としては1000ZXLほどではなく、AKAIのGX-F95に近い感じかと思います。さらにCT-A1では、オートチューニングの設定値を9個まで記憶しておくことができます。デッキ背面の電池ボックスに単三電池2本を入れておけば、電源を切っても記憶が消えません。

キャビネットを開けて中を覗くと、内部も超弩級デッキそのもの。何枚もの基板が垂直に設置され、基板と基板を無数の配線が行き来しています。垂直に設置設置することにより、当時主流になってきたロジックコントロールに加え、オートチューニングの機能など、多くの機能を詰め込んでいると思います。

CT-A1はヘッドの違いから2タイプが存在します。このページで紹介しているのは、黒光りの「ユニクリスタル・フェライトヘッド」を搭載したタイプです。登場初期がこのタイプで「前期型」と呼んでもよいと思います。もう1タイプが、銀色の「リボンセンダスト」を搭載したタイプで、「後期型」です。前期と後期でヘッドの素材が全く違うため、音質もかなり違うと思われます。機会があればぜひ比較して違いを特集してみたいです。

他のデッキでも「前期型」「後期型」に分けられる機種、さらには「中期型」も存在する機種があります。大抵は細かな部品が変更されていたりという程度だと思いますが、ヘッドがまるっきり違うのはCT-A1くらいでしょうか。ただ本体がデカくて高機能なだけではなく、真相が奥深いデッキでもあります。

 



 

音質

CAUTION!
非圧縮の音声データのため、容量がかなり大きくなっています。スマホなどのモバイル機器でお聴きの際は、Wi-Fiに接続することをお勧めします。

 

録音条件

テープ:TDK MA-R (1983年)
ノイズリダクション:OFF

【フュージョン系】 WAV 44.1kHz-16bit MB

 

音源:Nash Music Libraly

 

前面カバーOPEN

画像左右にあるボタンをクリックまたはスワイプで画像を切り替えることができます。

別アングル

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

CT-A1 テープ操作ボタン
【テープ操作ボタン】
左上にあります。凹凸の少ないボタンです。電源ボタンが非常に小さいです。
CT-A1 メーター・インジケーター
【インジケーターとメーター】
メーターはデジタル式で、取扱説明書によると+3dBがドルビーレベルとのことです。赤の数字は、オートチューニングのメモリー番地を表示しています。

【カセット装着部分】
カセットホルダーがなく、直接セットするタイプです。Pioneerの他、ヤマハでも同じような機種があります。
CT-A1 カバー内の操作部
【ボタン・スイッチ・ボリューム】
カバー内にはボタンが沢山並んでいます。最初は説明書がなく、色々弄って何とか使い方を理解しました。(後からメンバーさんに説明書を見せていただきました)
CT-A1 前期型ユニクリスタルフェライトヘッド
【ヘッド部分】
このCT-A1は前期型で、黒色のフェライトヘッドが搭載されています。他のセンダストヘッドの機種と比べると、少し音が硬めです。

【前面カバーの右下】
CT-A1 デッキ背面
【デッキ背面】
入出力のRCA端子は2系統ずつ付いています。他の機器に電源を供給するためのコンセントも付いています。
CT-A1 バックアップ電池BOX・入出力端子

【メモリーバックアップ用電池】
単三電池2本を入れておくことで、電源を切ってもオートチューニング機能の設定値を記憶しておけます。1000ZXLと同じですね。
CT-A1 型番銘板

【型番表示と製造番号】

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

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CT-A1 電源トランス
【電源トランス】
消費電力45Wということなのか、サイズもなかなか大きいです。ただメチャクチャ大きいという訳でもなく、高級デッキではよく見かける大きさだと思います。
CT-A1 電源回路基板
【電源回路】
電源トランスのすぐ手前に垂直に設置されています。画像左上に映っている半固定抵抗はなんでしょう?何かの電圧を調整するような気がしますが、詳細はわかりません。
CT-A1 メカニズム駆動回路
【メカニズム駆動用回路】
メカからの配線がここに繋がっているということで、モーターやソレノイドを駆動する回路がここだと思われます。
CT-A1 DD駆動回路基板
【D.D.駆動回路】
メカ部分に直接取り付けられています。キャプスタンの回転制御にはクォーツが使われていますが、テープスピード調整用の半固定抵抗があります。
CT-A1 ラインアンプ
【ラインアンプ】
底にある基板の一番奥です。入力用と出力用のアンプ回路が一緒の場所にあります。
CT-A1 テストトーン発振回路
【テストトーン発振回路】
オートチューニングで使う信号音を作る部分です。半固定抵抗は信号レベルを調整するためのものです。これを回すとオートチューニングの動作に影響してきます。
CT-A1 メーター回路
【メーター用回路】
前面パネルのすぐ後ろに垂直に設置されています。
CT-A1 バイアス発振回路
【バイアス発振回路】
半固定抵抗でテープポジションごとにバイアスを調整できるようになっています。一番右の半固定抵抗は消去電流を調節するためのものです。
CT-A1 再生ヘッドアンプ・ドルビー回路
【シールドに隠れている基板】
再生ヘッドのアンプとノイズリダクションの回路が、シールドに覆われています。
CT-A1 シールドを外した状態
【シールドをOPEN】
再生ヘッドのアンプには、レベル調整用とEQ調整用の半固定抵抗があります。ノイズリダクションも調整できるように半固定抵抗が付いています。
CT-A1 ドルビー回路基板
【ノイズリダクション回路】
自社製のドルビーNR用ICが使われています。左半分が再生用、右半分が録音用です。
CT-A1 録音イコライザー回路
【録音ヘッドのアンプ】
レベルとEQを調整するための半固定抵抗があります。さらに、この基板とシステムコントロール基板が配線で繋がっており、オートチューニング時はマイコンがこの基板を制御していると思われます。
CT-A1 シスコン回路基板
【システムコントロール回路】
CT-A1の中枢とも言える基板です。オートチューニングをはじめ、CT-A1の動作を制御するマイコンが沢山付いています。ひょこっと付いている半固定抵抗は、オートチューニングの動作を調整するものです。

 

デッキの分解画像

メカニズム360°

画像左右にあるボタンをクリックまたはスワイプで画像を切り替えることができます。

 

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【前面パネルを取り外し】
これからメカニズムを降ろすための準備段階です。幸いにも、パネル側に基板が固定されていない分、脱着の難易度は低いです。

【加水分解したゴムベルト】
このCT-A1は元々再生できない状態でした。画像のようにゴムベルトが切れてしまっており、左側のキャプスタンが回らなくなっていました。回らないキャプスタンにピンチローラーを密着させては、テープが送られません。

【メカ後ろ側のソレノイド】
このソレノイドがヘッドを動かします。サイズはなかなか大きいですが、そこまで大きな電圧を掛けていないためか、動作音は比較的軽いです。

【ピッチコントロールのボリューム】
メカの右側にマウントされています。この部分が大きく出っ張っている関係で、メカの脱着では知恵の輪をする必要あります。

【フライホイール】
左側(送り出し側)はTEACの高級機で見られるような形状のフライホイールです。

【DDモーター取り外し】
1980年以降に多い、基板とフライホイールが別個になっている構造ではなく、丸ごと一体になっています。そのためかなり重たいです。

【リール用モーター取り外し】
メカの構造がだいぶ見えてきました。リールを回転させるアイドラーはゴムを使った方式です。

 

YouTube動画でも紹介しました

 

撮影に協力してくださった方
・神奈川県 アカセ様(2021年10月撮影)

 

 

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