概説
1979年に登場したパイオニアの超弩級デッキです。
その巨体はナカミチの最高峰、1000ZXLの姿が反射的に脳裏に映りそうですが、実はそこまで大きくありません。特に横幅は42cmと、一般的なフルサイズコンポと同じです。ただ、高さと奥行は大きいため、少し例えが良くないかもしれませんが一瞬「オーブンレンジ」に見えてしまうような外観です。重量も18kgと、超弩級デッキに相応しい重さです。1000ZXLのように外ケースは無いものの、とにかく重たいです。
外観でもう一つ大きなポイントが前面のカバー。カバーを1回押し込むと「カチッ」という音がして手前側に開きます。さらに完全に開けた後、カバーを押し込むことでデッキの奥に収納することができ、使用中の邪魔にならないという賢い設計です。カバーを開けると、カセットホルダー無しのメカと、スイッチ、ボリューム、そして幾つもの小さくて押しにくいボタンが現れます。テープセレクターは手動式で、フェリクロームポジションも備えています。
メーターは+8dBを最大としたFL管のデジタル式で、ピークレベル表示とアベレージ表示(VUメーターのような動きをするモード)を切り替えることができます。1点注意する必要な点は、OUTPUTボリュームとメーターのレベルが連動する点です。OUTPUTボリュームを「0」にするとメーターは振れません。取扱説明書では「6」の位置が基準レベルと解説されています。
テープの走行は、クォーツロックのDDモーターを使用した、クローズドループデュアルキャプスタン方式です。高級デッキとしては標準的な装備ですが、このCT-A1はピッチコントロール機能も付いています。
そしてCT-A1最大の機能が「AUTO B・L・E」と称されるオートチューニング機能。ボタン一つで自動的にキャリブレーション(録音感度・バイアス・イコライザー)が行われます。ただ、精度としては1000ZXLほどではなく、AKAIのGX-F95に近い感じかと思います。さらにCT-A1では、オートチューニングの設定値を9個まで記憶しておくことができます。デッキ背面の電池ボックスに単三電池2本を入れておけば、電源を切っても記憶が消えません。
キャビネットを開けて中を覗くと、内部も超弩級デッキそのもの。何枚もの基板が垂直に設置され、基板と基板を無数の配線が行き来しています。垂直に設置設置することにより、当時主流になってきたロジックコントロールに加え、オートチューニングの機能など、多くの機能を詰め込んでいると思います。
CT-A1はヘッドの違いから2タイプが存在します。このページで紹介しているのは、黒光りの「ユニクリスタル・フェライトヘッド」を搭載したタイプです。登場初期がこのタイプで「前期型」と呼んでもよいと思います。もう1タイプが、銀色の「リボンセンダスト」を搭載したタイプで、「後期型」です。前期と後期でヘッドの素材が全く違うため、音質もかなり違うと思われます。機会があればぜひ比較して違いを特集してみたいです。
他のデッキでも「前期型」「後期型」に分けられる機種、さらには「中期型」も存在する機種があります。大抵は細かな部品が変更されていたりという程度だと思いますが、ヘッドがまるっきり違うのはCT-A1くらいでしょうか。ただ本体がデカくて高機能なだけではなく、真相が奥深いデッキでもあります。
音質
非圧縮の音声データのため、容量がかなり大きくなっています。スマホなどのモバイル機器でお聴きの際は、Wi-Fiに接続することをお勧めします。
録音条件
テープ:TDK MA-R (1983年)
ノイズリダクション:OFF
【フュージョン系】 WAV 44.1kHz-16bit MB
音源:Nash Music Libraly
前面カバーOPEN
別アングル
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
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デッキの分解画像
メカニズム360°
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YouTube動画でも紹介しました
・神奈川県 アカセ様(2021年10月撮影)