概説
1993年(平成4年)にソニーから発売された、3ヘッド方式としては標準グレードにあたるカセットデッキです。型番にESJが付くこの代から、ソニーでは初めてドルビーSを搭載しました。
上級機種のTC-K555ESJ・TC-K333ESJの機能を簡素にまとめあげて、低価格を実現したデッキとなっています。(当時の定価65,000円)また、ソニーの高級カセットデッキの特徴的な設計でもある「ミッドシップドライブメカ(中央にメカニズムを配置する設計)」が、このTC-K222ESJから222クラスでも採用されました。
回路設計も先代の222ESAからは大きく変わっています。基板は222ESG以来の2枚の構成になり、電源および制御系で1枚、アンプで1枚という構成に変わりました。アンプの回路もドルビーS搭載のためか大きく変わっています。特に再生アンプは、オペアンプ1個のみを使用した非常に簡素な回路となっています。
ドルビーS以外にもESJ代の共通点に、ダイレクト入力端子が省略された事があります。しかしこの222ESJはダイレクト入力に切り替えるスイッチが装備されています。上位機種には装備されておらず、若干不思議な装備とも見て取れます。ONにすることで、バランス調整ボリュームをバイパスさせる設計のようです。
それ以外の機能については先代から変わらず、キャリブレーション機能、録音EQの3段階切替えスイッチは引き続き搭載されています。メカニズムの配置が変わったことでデザインの印象は大きく変わりましたが、録音レベルボリュームつまみが大型であるあたり、なんとなく先代の222ESAをフィーチャーしている雰囲気を感じます。
TC-K222ESJは1994年まで生産され、後継機種のTC-KA3ESにモデルチェンジします。同じ定価のまま、より高級感を増したデザインとなり、キャリブレーション機能もさらに進化したものとなりました。
関連機種
【上位機種】TC-K555ESJ、TC-K333ESJ
【下位機種】TC-K700S
TC-K222ESJの構造&搭載機能
ヘッド | 3ヘッド方式(録音/再生コンビネーション型・レーザーアモルファスヘッド) |
---|---|
メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・カムモーター駆動 |
キャプスタンの回転 | クォーツロック・ダイレクトドライブモーター |
テープの走行方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | パワーローディング |
スタビライザー | あり |
テープセレクター | 自動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C・S |
ドルビーHX-Pro | ON/OFF切替可 |
選曲機能 | あり |
ライン入力 | RCA端子1系統(ダイレクト入力スイッチ付き) |
ライン出力 | RCA端子1系統(固定レベル) |
メーター | ピークレベルメーター(-4dB=0VU) |
キャリブレーション機能 | あり(録音EQ切替付き) 400Hz・8kHz |
カウンター | リニア分数 |
その他の機能 |
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TC-K222ESJの利点&欠点
◎ドルビーSを搭載
◎キャリブレーションは録音EQも調整できる
○ソニーの222クラスで初のミッドシップドライブメカ
○上位機種にはないダイレクト入力の切替えスイッチ搭載
△メカの動作を細いベルトで行うため信頼性が少々劣る
△ドルビーNR、MPXフィルター、HX-Proのインジケーターが無い
音質参考動画
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
無圧縮音源はこちら
【フュージョン・ロック】容量53.5MB
【ファンキーポップ】容量59.7MB
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
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デッキの分解画像
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参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
【TYPEⅡ】SONY CDixⅡ
【TYPEⅣ】TDK MA (1990年)
【-20dBテストテープによる再生周波数特性】
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
・愛知県 カワカミ様(2023年2月撮影)