概説
1989年に遂にフルモデルチェンジ。パワーローディング機能や頭出し機能が追加されるなど、新しいメカニズムを搭載。333ESGはミドルクラスにあたる機種で、上位機種は555ESGがラインナップされた。
先代の333ESRまでは、テープの操作ボタンを押すたびに「ガシャンッ!」という音を立てる、少々やかましいメカニズムであった。それが333ESGでは無くなり、遠くからでは動作音が聞こえないくらい静かである。
ESG世代から333クラスでも、録音イコライザー調整ができるようになった。録音レベル・バイアス・イコライザーの3拍子が揃うことで、CDから再生される音を忠実に録音することができる。
音質はESR以前の世代と比べると、やや細めで繊細さの多い音質のように感じる。どちらかというとCDの音に近づけているような印象である。
333ESGでは、555ESGに採用されている銅メッキシャーシや、セラミック製のインシュレーター(足)が省略されている。そのため、333ESGの方が少し軽い。
それでも11.7kgもあるので、十分な重厚感がある。
TC-K333ESGの音質
新型になったメカニズムを分解。
ESG世代から大きく変わったメカニズムです。ヘッドの上下作動をゴムベルトと歯車で行うことで、動作音が静かになっています。いわゆる『サイレント・メカニズム』と呼ばれます。ヘッドをゆっくりテープに接触できることもあって、テープを痛めるリスクも少ないです。
ゴムベルトと歯車を使った構造自体は、実は1980年には実用化されています。特に、ナカミチとアカイは同構造の採用が早いです。一方ソニーは、1988年のESR世代まで、ソレノイドを使ったやかましい構造を使っていたので、やや後発になったと思います。
液漏れした電解コンデンサー
電子部品の中でも特に劣化の速い電解コンデンサー。経年とともに信号の通りが悪くなったり(直列等価抵抗の増大)、貯めこめる電気が少なくなったりする(静電容量の減少)など、性能が劣化します。
中には画像のように、端子の部分から電解液が漏れ出すケースもあります。電解液は回路基板を腐食させてしまうので、早急に交換が必要です。
交換中、はんだを溶かすと、なかなかの悪臭が漂います。身体によい臭いではないので、吸わないように注意した方が賢明です。
耐圧100Vのコンデンサー?
電解コンデンサーは、耐圧が高いほど性能が高くなります。しかし、耐圧100Vの電解コンデンサーを採用している事は少ないです。
交換する時は、同じ耐圧のものを使う必要があると思うかもしれませんが、そんなことはありません。
そもそも回路に100Vの電圧がかかるのかというと、かかりません。(ただし、電源プラグからの電圧は当然100Vです。)
大掃除をするならここまで分解
音響店のフルメンテナンスコースでは、作業メニューの1つに大掃除があります。
せっかく回路基板を取り外すのであれば、ついでに中に溜まったホコリを綺麗に掃除してしまいます。
完成した状態の333ESGは立派な外観をしていますが、実はネジをどんどん外していくと骨組みまでバラバラにすることが可能です。
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