概説
1988年に登場、ビクターの3ヘッド方式ではスタンダードクラスにあたる機種です。
上位機種のTD-V721から、ダイレクトドライブ、底部の重量ウッドパネル省略、銅メッキアンダーパネル、キャリブレーション機能を省略した仕様となっています。回路も簡略化されています。
キャプスタンの駆動はDCサーボモーターですが、2本のゴムベルトで駆動する構造がユニークです。DCサーボモーター+デュアルキャプスタンの方式としては、重量級のフライホイールが使われています。重量のあるフライホイールでも安定した駆動を行える工夫がされています。
ヘッドはTD-V721と同じく、録音再生ともにアモルファスヘッドです。ビクター仕様の独立懸架も顕在です。音質は他社のデッキに近づけたような味付けで、これまで若干強烈だったビクターサウンドの癖は抑えられていると思います。
それでもビクターの特徴的などっしりとした低音は残っていますので、多少なりともビクターサウンドを体験できると思います。さらに強烈なビクターサウンドを楽しみたい方は、ぜひメカが右側配置のデッキもお勧めです。
ノイズリダクションを使わない時に回路を切り離しバイパスさせる機能(NR-DEFEAT)、再生中に巻取り用のモーターを使わないメカなど、有害ノイズの低減対する拘りをTD-V631でも味わうことができます。
【上位機種】TD-V721
TD-V631の構造&搭載機能
ヘッド | 3ヘッド方式(ディスクリート型・ファインアモルファスヘッド) |
---|---|
メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・カムモーター駆動 |
キャプスタンの回転 | DCサーボモーター(ツインベルト駆動) |
テープの走行方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | 手動(たるみ取り機能あり) |
スタビライザー | あり |
テープセレクター | 自動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C(OFF時は回路をバイパス) |
ドルビーHX-Pro | ON/OFF切替可 |
選曲機能 | あり |
ライン入力 | RCA端子3系統(LINE IN, DIRECT, CD DIRECT) |
ライン出力 | RCA端子1系統(固定レベル) |
メーター | ピークレベルメーター(0dB=0VU),デジタルピーク表示機能付き |
キャリブレーション機能 | なし(バイアス調整可) 400Hz・10kHz |
カウンター | 4デジットカウンター・テープ残量表示 |
その他の機能 |
TD-V631の利点&欠点
◎NR-OFF時は回路をバイパス(NR-DEFEAT機能)
◎再生時、モーターのスパークノイズが皆無
◎独立懸架型の3ヘッド
◎リアルタイムで変化するデジタルピーク表示(他社は最大値のみ記憶するタイプが多数)
○入力端子が3系統
○通常のDCサーボモーターの方が壊れにくい(V721のD.D.はトラブルの事例あり)
○2本のベルトによる安定したキャプスタン駆動
△アイドラーギヤが劣化しやすい
△ボタンの劣化による誤作動が多い
音質参考動画
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
無圧縮音源はこちら
【フュージョン・ロック】容量53.5MB
【ファンキーポップ】容量58.8MB
【ジャズ(ドルビーC録音)】容量30.1MB
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
デッキの分解画像
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参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
【TYPEⅠ】SONY HF-S (1987年)
【TYPEⅡ】SONY UX-S (1989年)
【TYPEⅣ】TDK MA (1990年)
【再生特性】-20dBテストテープ使用
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
YouTube動画でも紹介しました
・中国地方の某県 J様(2022年10月撮影)