西村音響店

TEAC V-870

  • TEAC V-870

 

概説

中堅クラスにあたるTEACのカセットデッキです。1980年代中頃のモデルと思われます。

dbxは搭載されていないのにメーターには表示があるなど、V-970Xの下位モデルと思わせるような部分が幾つかあります。頭出し機能も付いておらず機能的にはシンプルです。(個人的にはちょっと省略しすぎかなと思いますが…)

上位モデルの標準装備でもある、3ヘッド方式・クローズドループデュアルキャプスタンはしっかり採用。電磁石を使ったバックテンション機構も搭載し、ダイレクトドライブではないにも関わらずワウフラッター0.03%前後(W.RMSでの実測値)という安定走行もポイントです。

録音面では、左右独立してバイアス調整ができるようになっています。メーターを見ながらキャリブレーションを行うことはできませんが、TEACではお馴染みの左右独立調整する機能はしっかり搭載。調整を細かく追い込みたい方にはお勧めです。

TEACのカセットデッキといえば「ごっつい」というイメージが強いですが、この世代は薄型のボディで少しスマート寄りな印象を受けます。サイドウッドは艶があるタイプで、高級感がある外観に仕上がっていると思います。

 



 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

TEAC V-870 カセットホルダ
【カセットホルダ】
カセットホルダーは手動式。1つ前の世代では、開ける時だけ自動という半パワーローディングが採用されていたが、完全な手動式に戻っている。
TEAC V-870 操作ボタン・メーター
【メーター・ボタン・スイッチ類】
メーターが小さい点が残念。メーターを見ながらのキャリブレーションはできないが、左右独立してバイアスの調整が可能。TEACのカセットデッキを象徴する機能である。
TEAC V-870 本体背面
【デッキ背面】
入出力端子は1系統ずつ。特にこれといった特徴はない。
TEAC V-870 製造年と製造番号
【製造年と製造番号】
このV-870は1987年製。型番だけ見ると高級そうに見えるが、1990年以降のモデルで例えるとV-5000相当のクラス。
TEAC V-870 録音・再生ヘッド
【録音・再生ヘッド】
コバルトアモルファスヘッドを採用。しかし、一見コンビネーションヘッドに見えるが…

 

デッキの内部

キャビネットオープン

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

TEAC V-870 アンプ部分
【アンプ部分】
アンプからメカニズムの動作制御、電源回路まで1枚の基板に収まっている。欲を言えば、中堅クラスのモデルであればもう少し賑やかでも良かったと思う。
TEAC V-870 メカニズム後ろ側
【メカニズムの背面】
TEACのメカニズムで特徴的な部品は大きなベルトプーリー。黄色のプーリーになっているというというこは、自社製メカの最終世代。V-9000と同じメカニズムを搭載する。1つ前の世代は白だった。
TEAC V-870 メカニズム
【取り外したメカニズム】
カセットホルダは前面のパネルと一体になっているため、このように降りてくる。
TEAC V-870 録音・再生ヘッド拡大
【実は独立懸架ヘッド】
V-870のヘッドは、再生ヘッドと録音ヘッドのアジマス調整が別々に行える独立懸架タイプ。V-9000では一般的なコンビネーションタイプになるため、ヘッドはV-870の方が優れているかもしれない。
TEAC V-870 キャプスタンホイール
【キャプスタンホイール】
1970年代後半~1980年代前半に多かった、大直径のホイールが使われている。おかげでワウフラッター0.03%前後という、ダイレクトドライブに近い音揺れの少なさを実現する。
TEAC V-870 リール台
【巻取り軸に隠された秘密】
片側の巻取り軸には磁石が内蔵されている。これは電磁石を使ったバックテンション機構のための仕掛けである。画像左上に少し写っているのがバックテンション用の電磁石。

 

その他の画像

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TEAC V-870 キャプスタンベルト切れ
【キャプスタンベルト切れ】
ベルトが経年劣化で加水分解し、ドロドロに。モーターのプーリーに巻き付いている。先ほど紹介したキャプスタンホイールにも、ベッチョリくっついてしまっていた。
TEAC V-870 カムベルト切れ
【カムベルト切れ】
こちらも加水分解で無くなってしまっている。ベルトが無くなってモーターが暴走。周囲にヘドロ化したベルトを飛び散らせる。ゴムゴムのヘドロ爆弾である。
TEAC V-870 ロータリーエンコーダ部分
【ロータリーエンコーダ部】
メカニズムの動作状態を検知するもの。ギヤに付いている接点を使って検出する。一世代前は、可変抵抗が回った角度で検出するタイプだった。
TEAC
【部品をすべて外したメカニズムの後側】
R-919Xなどのオートリバースデッキと兼用できるように、部品が無いにも関わらず不自然に穴が開いている箇所がある。

【部品をすべて外したメカニズムの前側】
ヘッドの部分だけV-9000に移植したら音質は変わるのだろうか。ご法度ではあるが非常に結果が気になるところである。

 

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