西村音響店

AKAI GX-R88

ページ作成日:2025/12/24


 

概説

 

 

GX-R88の構造&搭載機能

ヘッド 回転3ヘッド方式(録音/再生:スーパーGXヘッド)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール(カムモーター駆動)
キャプスタンの回転 ダイレクトドライブ(ツインD.D.)
テープの走行方式 オートリバース,クローズドループデュアルキャプスタン
カセットホルダの開閉 パワーローディング
スタビライザー なし
テープセレクター 自動
ノイズリダクション ドルビーB/C
ドルビーHX-Pro なし
選曲機能 あり(IPLS機能)
メーター デジタルメーター(VU/PEAK 切替可)
ライン入力 RCA端子1系統
ライン出力 RCA端子1系統(ボリューム可変)
キャリブレーション機能 クイックオートチューニング(録音時に強制実行)
カウンター 4ディジット,分数表示,残量表示
その他の機能
  • QMSS(カウンター0000まで巻戻し→再生をワンタッチで行う)
  • イントロスキャン(曲の冒頭のみを次々に再生)
  • ブランクサーチ(未録音部分を検索し、見つかると録音可能の位置まで巻戻し)
  • RECキャンセル(録音を中断してその曲の始めまで巻戻し)
  • オートフェーダー機能

 

GX-R88の特徴

◎3ヘッドオートリバース
◎A/B両面でクローズドループデュアルキャプスタンのオートリバース
◎僅か数秒でオートチューニング
◎摩耗知らずのスーパーGXヘッド
○3ヘッドオートリバースならではの多彩な機能()
△メカが複雑すぎて整備難易度は鬼レベル(しかも故障しやすい)
△電子部品交換も困難を極める(薄型筐体に上下2枚の基板を収めていて、かつ脱着不可)
△強制オートチューニングがかえって悪さをすることも

 

関連機種

  • Pioneer CT-980(業界初の3ヘッドオートリバース)
  • TEAC R-999X(デザインやコンセプトが酷似している機種)

 

 



 

音質サンプル

テープ:RTM
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library

【フュージョン・ロック】96kHz-24bit 容量53.5MB

—–

【フュージョン・ロック】★他機で録音したテープ 録音デッキ:TEAC C-3  48kHz-24bit 容量31.1MB

無圧縮音源ファイルのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。

 

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

【前面左側】
前面パネルと一体になったカセットホルダで、電源スイッチの部分だけ切り欠きになっています。GX-Fxxの世代からフルモデルチェンジした、AKAIのニューフェイスデザインです。
【カセットホルダ・開】
【前面中央・VUメーターモード】
中央に大きなディスプレイと録音関係のスイッチ、ボリュームがあります。デジタル式のVUメーターは、針メーターとは感覚が大きく異なるので少し慣れが必要です。
【PEAKメーターモード】
PEAKモードにすると、メーターレンジも変わります。一応+15dBまで範囲がありますが、ハイグレードなメタルテープを使ってもせいぜい+10dBくらいまでが実用範囲だと思います。
【表示部の変化】
【前面右側】
テープの操作や、再生時の便利機能があります。操作ボタンは電照タイプで動作中はピクトグラムが光ります。イントロスキャンを使うには、再生ボタンと早送り/巻戻しを同時押しです。
【OUTPUTボリューム】
右下のカバーの中に入っています。ヘッドホン端子もあります。
【背面の銘板と製造番号】
【ヘッド部分】
回転するスーパーGXヘッドに、両方向のデュアルキャプスタン走行に対応している怪物メカです。消去ヘッドはテープガイドの役割も兼用していて特殊な形をしています。
【録再ヘッドのフレキシブルケーブル】
メカの脱着時に恐怖となるフレキシブルケーブルです。初めて脱着した時に少し千切れしまいました。ヘッドブロックが重いので、ちょっとでも宙ぶらりんにすると一発アウトです。

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。

 

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【メカニズム】
AKAIの怪物メカです。カムモーターの位置はワンウェイの3ヘッドと同じで、それをベースにしているとは思いますが、リール駆動はモーターからベルトを介して、更にゴムアイドラーで駆動するという特殊な構造になっています。
【電源トランス・電源回路】
定電圧回路は電源レギュレータICを使った回路です。そこまで豪勢な電源回路ではないようです。そのためか低域の力感がイマイチなようにも感じます。
【電源用トランジスタ】
トランジスタに対して結構大き目な放熱板が付いていますが、実際の発熱量はそれらしく多いです。夏場は過熱気味で苦しい感じがあります。
【モーター駆動回路】
リールモーターはIC、カムモーターはディスクリート回路で駆動しています
【制御回路基板全景】
上段の基板が主に制御系、この下にアンプ基板があります。上と下の基板の隙間はかなり狭く、ノイズの干渉を少しでも減らすためかシールド用のシートが付いています。デザイン性も重視しているために無理な設計をしている部分が多いです。
【バイアス発振回路】
一応テープポジションごとに調整できるようになっています。消去ヘッドが2つ付いているため配線が2本な事と、走行方向反転時に電流を流すヘッドを切り替えるリレーが付いています。
【録音イコライザ回路】
抵抗とコンデンサがずらっと並んでいる辺り、イコライザ回路と思います。上位機種(R99)ではイコライザキャリブレーションがありますが、R88には無いためテープポジションによるイコライザ切替のみと推測されます。
【録音アンプ】
増幅用のオペアンプと、録音レベルのゲイン調整用トリマーがあります。
【オートチューニングマイコン】
R88は強制的にオートチューニングされてしまうため、そのままでは初期状態の調整ができません。その為に機能を無効化する隠しモードが付いています。(ある事をするとサービス時しか使われない特殊なモードに入る)
【制御用マイコン群】
3ヘッドオートリバースあるあるですが、多機能すぎるが故、マイコンやロジックICの数が多いという傾向があります。しかも別のマイコンと別のマイコンが連携していたりする例もあるため、どこか1つトラブルを起こすと予想外なエラーになりそうで少し怖いところもあります。(よっぽどマイコンが壊れることはないですが…)
【ディスプレイ基板との接続部】
回路基板の整備性を恐ろしく悪くする…というより不可能にするのがこの部分です。ディスプレイ基板とコネクタで連結されており、外そうにもこれだけ多くのコネクタを使われていたら無理です。過去に無理に外そうとしてFLディスプレイを壊したという苦い経験があります。
【再生ヘッドアンプ】
ヘッドの配線が横からアンプ基板に入ります。もうこの時点で無理な設計をしているのが明白です。増幅回路自体はデュアルFETを使用した高級デッキに多い構成を採用しています。ヘッドの配線コネクタの左右に付いているのが、DCオフセットの調整トリマーです。
【ドルビーIC】
日立製HA12058です。ソニー製とあわせて1980年代中盤のデッキによく使われているICです。ドルビーB/Cが1回路入りで、これを計4個実装しています。(再生側に2個、録音側に2個)
【】



 

デッキの分解画像


 

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。

【メカ前側の機構】
ヘッドブロックを外した状態です。これぞ頭が痛くなるメカです。
【メカの下側】
特にヘッドの配線が通っている辺りが非常に複雑です。合計で4個のヘッドを搭載していますので配線が多い上に、ヘッド回転用の深緑色のラックギヤが更に複雑怪奇にさせます。
【カム部分】
ワンウェイ3ヘッドのAKAIのメカをベースにしている雰囲気はありますが、それを数倍複雑したメカです。分解整備に掛かる工数もとてつもないです。
【】

 

 

動作音

 

 

参考周波数特性

画像にマウスオン(タップ)すると周波数軸が線形に変わります。

【TYPEⅠ】RTM


【TYPEⅡ】TDK SA (1984年)


【TYPEⅣ】 TDK MA-X(1985年)



 

※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。

 

 

YouTube動画でも紹介しました

 

 

これまでの作業実績

元管理人所有デッキ


 

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