西村音響店

SONY TC-K222ESA

ページ作成:2023/5/02

 

概説

1991年(平成2年)にソニーから発売された、3ヘッド方式のベーシックモデル。1989年に登場したTC-K222ESGに始まり、222を名乗るデッキとしては3代目となります。

ESA代共通の特徴は、セラミックと分かるような白色のカセットホルダです。そしてリッドも金属製に変わり、より高級感が増した外観となっています。他にもヘッドに突起を設けてカセットのパッドが押さえる力を弱める、「パッドプレッシャーリダクション」が新たに採用されています。ヘッドに付いた青色の点が目印です。

TC-K222ESAの基本設計は、先代のTC-K222ESLと殆ど同じです。222ESLと222ESAはアンプ回路には上位機種の設計を踏襲されている点が大きな特徴です。5600μFの大容量平滑コンデンサーに、再生ヘッド用アンプの初段にはFETが採用されています。

222にしては贅沢なアンプ回路にESA代の高級感と相まって、ベーシックモデルながら非常に内容の濃いデッキとなっています。さらに定価60,000円であることを考えれば、コストパフォーマンスの高さも相当なものだと思います。もちろん、キャリブレーションや録音EQ切替の機能も搭載でこの値段です。

また、次のTC-K222ESJではメカニズムが中央に配置されるため、左側配置のメカニズムである点も222ESAが最後となります。メカニズムを左側にすることで、メーターや操作部のスペースを広く取れるため、少々ですが操作性でも優れると思います。メーターのFLディスプレイが大きい分、見やすい点もポイントです。

管理人自身もソニーの222はESGからESJまで見てきましたが、このTC-K222ESAが最も出来が良いと思いました。

 

関連機種

【上位機種】TC-K333ESA,TC-K555ESA
【先代機種】TC-K222ESL
【後継機種】TC-K222ESJ

 

TC-K222ESAの構造&搭載機能

ヘッド 3ヘッド方式(録音/再生コンビネーション型・レーザーアモルファスヘッド)
メカニズムの駆動 ロジックコントロール・カムモーター駆動
キャプスタンの回転 クォーツロック・ダイレクトドライブモーター
テープの走行方式 クローズドループデュアルキャプスタン
カセットホルダの開閉 パワーローディング
スタビライザー あり
テープセレクター
自動
ノイズリダクション
ドルビーB・C
ドルビーHX-Pro
ON/OFF切替可
選曲機能 あり
ライン入力 RCA端子2系統(LINE IN・CD DIRECT)
ライン出力 RCA端子1系統(固定レベル)
メーター ピークレベルメーター(-4dB=0VU 0dB=250nWb/m)
キャリブレーション機能 あり(録音EQ切替付き) 400Hz・8kHz
カウンター リニア分数
その他の機能
  • クリーニングモード
    (開閉ボタンを押しながら電源を入れると、カセットホルダーが開いた状態でピンチローラーが上昇する)

 

TC-K222ESJの利点&欠点

◎アンプに上位機種の設計を踏襲している(222ESLと同様)
◎録音EQ切替機能付きのキャリブレーション
◎222クラスの中ではトータルバランスが良い(個人的な感想です)
○左側配置のメカ(222ESAが最後)
○セラミックコンポジット製の白いカセットホルダ
○パッドプレッシャーリダクション採用
△メカの動作を細いベルトで行うため信頼性が少々劣る

 



 

音質参考動画

テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library

無圧縮音源はこちら

【フュージョン・ロック】容量53.9MB

【ファンキーポップ】容量58.8MB

96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。

 

外観の詳細画像

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【カセットホルダ】
ESLの樹脂製から大きく変わった部分です。やはり金属製の方が質感が高いです。

【リッドを外した状態】
ESA代の特徴である白色のカセットホルダです。セラミックらしい白色をしています。振動対策が主な目的ですが、質感も従来の樹脂製とは違います。

【メーター・操作ボタン】
メカが左側にあることで、メーターも大型で見やすい点も222のポイントです。222ESJですとメカが中央に移動し、メーターが少し小さくなります。

【録音関係・ドルビー関係のスイッチ】
キャリブレーションや録音EQ切替も標準装備です。個人的には大型の録音レベルボリュームが細かな調整がしやすくて好みです。

【入出力端子】
CD DIRECT端子が付いています。この端子を使うと、バランス調整用ボリュームを経由せずに信号が入ります。次の222ESJからは省略され、スイッチで伝送路を切り替える方式となります。

【ヘッド周り】
青色の点々がパッドプレッシャーリダクションです。クローズドループ方式のメカは、カセットのパッドがかえってヘッドタッチを不安定にさせることがあります。ナカミチの設計が非常に参考になりますが、ソニーはパッドの余分な圧力を逃がす方法となっています。

 

 

デッキの内部

オープン・ザ・キャビネット

画像にマウスオン(タップ)してください。


 

サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。


【基板の全景】
左奥から時計回りに「電源→再生アンプ→再生用NR回路→テストトーン発振回路→録音用NR回路→録音アンプ→バイアス発振回路→制御系」の順です。

【電源部】
定価6万円クラスにしては贅沢な5600μFの平滑用コンデンサーです。普通はこのクラスのデッキには実装されていない大容量コンデンサーです。

【電源部(別アングル)】
5600μFのコンデンサーで平滑された後、電圧レギュレータの回路を通ります。ここにも63V-1000μFのコンデンサーが実装されており、電源部に注力していることが伝わってきます。

【再生アンプ】
先ほどの電源用コンデンサー付近にトランジスタが4つずつあります。これが222ESLと222ESAの特徴でもある、初段増幅用のFETです。FETを通ってから、コネクタ付近にあるオペアンプで2段目の増幅を行います。

【テストトーン発振回路】
キャリブレーション時に400Hzと8kHzの信号音がここから発出されます。トリマーは信号レベルやメーターの調整を行うものです。

【制御系回路】
デッキの動作を制御するマイコンと、DCモーターを駆動するモータードライブ回路です。

【録音用ノイズリダクション回路】
デッキの背面側から撮影。

【録音EQ回路とバイアス発振回路】
赤色のコネクタが録音ヘッドの配線です。そこから向かって右側が録音EQ回路、左側がバイアス発振回路です。

【メーターの後側】
シャーシで仕切られていて基板がはっきりと見えません。これもノイズ対策の一つでしょうか。222は全機種にディスプレイ消灯機能があります。

【メカニズム】
1989年のESG代からお馴染みのTCM-200D型メカ、俗に言うサイレントメカです。222全般に言えることですが、222はメカの脱着が非常に楽です。

 



 


 

 

YouTube動画でも紹介しました

 

撮影に協力してくださった方
・福島県 にいともさん(2022年2月)

 

 

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