概説
TC-777ESⅡの大きな特徴は2基の電源トランス。制御系とオーディオ系でそれぞれの電源トランスを設けています。このようなツイントランス仕様は、ソニーの中では777ESⅡだけです。参考までに他社のツイントランス仕様は、ヤマハはK-1xw、アイワはXK-009やXK-S9000などがあります。
外観は先代の777ESと殆ど変わりはありませんが、内部の回路設計は大きく変わっています。特にオーディオの回路は、777ファミリーの3台でそれぞれ異なる形となりました。そのため音作りもそれぞれで違います。777ESⅡは、777ファミリーの中では最もキレのあるように感じます。よりデジタルサウンドに近づけた音になっていると思います。
その他の変化としては、TYPEⅢポジションの廃止、5段階アッテネータから無段階のボリュームへの変更、ハブ駆動軸の小改良、弛み取り機能の追加があります。いずれも777ファミリーでは777ESⅡだけの特徴です。
ソニーの最高級機スリーセブンは、このTC-K777ESⅡをもって終わりを迎えることになりました。なお直接的な後継機種ではあませんが、型番の『7』は1994年のTC-KA7ESで復活することになります。
関連機種
TC-K777ESⅡの構造&搭載機能
ヘッド | 3ヘッド方式(独立懸架型レーザーアモルファスヘッド) |
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メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・ソレノイド駆動 |
キャプスタンの回転 | クォーツロック・ダイレクトドライブモーター |
テープの走行方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | 手動式(弛み取り機能付き) |
スタビライザー | なし |
テープセレクター | 手動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C |
ドルビーHX-Pro | なし |
選曲機能 | なし |
ライン入力 | RCA端子1系統 |
ライン出力 | RCA端子2系統(固定・可変) |
メーター | ピークレベルメーター(-4dB=0VU 0dB=250nWb/m) |
キャリブレーション機能 | あり(録音感度補正は左右独立) 400Hz・8kHz |
カウンター | リニア分数 |
その他の機能 |
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TC-K777ESⅡの特徴・利点&欠点
◎ソニーの最高級機
◎電源トランスを2基装備
(ロジック用とオーディオ用で別々のトランス)
◎777ファミリーで唯一OUTPUTレベルとヘッドホン音量を無段階調整可能
(先代は5段階のアッテネータ)
○録音感度補正は左ch右ch独立調整可能
○セグメントが細かいピークレベルメーター
△スリーセブンの中で唯一FeCr非対応
△ヘッドが摩耗に弱い
音質参考動画
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
【フュージョン・ロック】容量53.6MB
【ファンキーポップ】容量58.5MB
96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
メカニズム動作音
- カセットホルダ開閉
- 停止→再生→停止
- 早送り・巻戻し
参考周波数特性
【TYPEⅠ】RECORDING THE MASTERS (現行テープ)
※ヘッドの状態やデッキの調整状態など個体差により、必ずしも同じ測定結果にはなりません。あくまで参考程度にお願いします。
・埼玉県 キクチ様(2023年2月撮影)