概説
1989年にフルモデルチェンジして発売された、ソニーの新たなフラッグシップカセットデッキ。
メカニズムは動作音が静かな新型のTCM-200D型に変更され、パワーローディングやカセットスタビライザーも装備されました。録再ヘッドについては同じアモルファスヘッドですが、独立懸架型からコンビネーション型に変わりました。
回路設計も先代の555ESRから大きく変わっており、音質の印象も大きく変わっています。先代までは高域にキレがあるタイプの音でしたが、ESGからは低域の質感が上がって重厚な感じなったというところでしょうか。高域に関しても少しマイルドになっていると思います。
再生アンプは、複数のオペアンプを使用したGICフィルター回路が採用されています。ESG代以降の特徴的な回路で、音を作り込んでいる印象があります。下位機種の333ESGも同じ回路設計ですが、実は電子部品が微妙に違い、音にも若干の差があります。
その他には、ドルビーHX-Pro、AMS(頭出し機能)が、ソニーの高級機種にも搭載されました。この2つの機能については555ESGが登場する前に、廉価モデルを中心に搭載しているデッキがあります。高級機種には暫く搭載されなかったようです。
銅メッキシャーシやセラミック製インシュレータも採用され、この2点は下位機種の333ESGには無い装備となります。銅メッキシャーシについては、777ESと777ESⅡで採用されていました。K777ESⅡが1987年に生産終了と考えると、少々ブランクを挟んで銅メッキシャーシのデッキが復活するという事になります。
その後、ESL→ESA→ESJと改良や外観の変更を重ねていき、最後のTC-KA7ESでソニーの高級カセットデッキのフィナーレを迎えることになります。中古でも流通が活発で、今も昔も人気を博すソニーの高級カセットデッキです。
関連機種
【下位機種】TC-K333ESG TC-K222ESG
【先代機種】TC-K555ESR
【後継機種】TC-K555ESL
TC-K555ESGの構造&搭載機能
ヘッド | 3ヘッド方式(録音/再生コンビネーション型・レーザーアモルファスヘッド) |
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メカニズムの駆動 |
ロジックコントロール・カムモーター駆動 |
キャプスタンの回転 | クォーツロック・ダイレクトドライブモーター |
テープの走行方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
カセットホルダの開閉 | パワーローディング |
スタビライザー | あり |
テープセレクター | 自動 |
ノイズリダクション | ドルビーB・C |
ドルビーHX-Pro | ON/OFF切替可 |
選曲機能 | あり |
ライン入力 | RCA端子2系統(LINE IN・CD DIRECT) |
ライン出力 | RCA端子1系統(固定レベル) |
メーター | ピークレベルメーター(-4dB=0VU 0dB=250nWb/m) |
キャリブレーション機能 | あり(録音EQ切替付き) 400Hz・8kHz |
カウンター | リニア分数 |
その他の機能 |
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TC-K555ESGの特徴・利点・欠点
◎新型のメカニズムを搭載してフルモデルチェンジ(動作音が静か)
◎キャリブレーション機能で3段階(LOW/NORMAL/HIGH)の録音EQ調整が可能
○銅メッキシャーシ
○セラミック製インシュレータ
○ヘッドが新型になり弱点だった耐摩耗性が改善
△メカの動作を小さなベルトで行う設計となり壊れやすい
△スイッチ類の配置が独特で他のソニー製デッキと比べて操作性が少し劣る
自己録再音源
テープ:RECORDING THE MASTERS
ノイズリダクションOFF
音源:Nash Music Library
【フュージョン・ロック】容量52.5MB
※96kHz-24bitのためデータ容量が多くなっています。ご注意ください。
※ご紹介の個体はヘッドに劣化があるため、音質は参考程度にお願いします。
外観の詳細画像
デッキの内部
オープン・ザ・キャビネット
サムネイル画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。
YouTube動画でも紹介しました
・茨城県 ひゃくさん様(2024年2月撮影)