SONY TC-KA3ES サイレントメカ高速化改造の解説

先日にご紹介した、SONYサイレントメカの高速化ですが、今回は高速化の仕組みを解説します。回路図の読み取りと、分圧の計算が出来れば理解できます。

(先日のメカ高速化の記事はこちらです)

簡単に分圧の復習をしますと、たとえば5Vの電源に、1kΩの抵抗を2つ直接接続したら、各抵抗には2.5Vの電圧がかかるので、1:1の比で電圧が分圧されていることになります。もし片方を4kΩにしたとすると、4:1の比になりますから、4Vと1Vの分圧になります。

これを踏まえたうえで、高速化の改造に移りましょう。まずは、カムモーターの電圧を制御する回路の図です。

重要なのは、R1とR2です。純正ではR1、R2には8.2kΩの抵抗が接続されており、電源電圧が12.4Vですので、計算上は抵抗に6.2Vが掛かります。実測値では6.12VVでした。

分圧比を変更するのは、R2の抵抗です。R1には、並列にツェナーダイオードなどが接続されていますので、R2を変更する方が簡単です。

R2をの抵抗値を高くすれば、掛かる電圧も高くなります。R2にかかる電圧で、繋がっているNPNトランジスタのベース電位を決めていることになりますので、電位を高くしてやれば、モータードライバICから来る電圧の信号を調整できるということになります。

肝心な分圧比を変更する抵抗は、丸で囲んである抵抗です。この時は既に抵抗値の違うものに変えており、純正では定格1/8Wの小さい抵抗がついています。ここを様々な抵抗値に変えることで、自由にメカの動作速度を変更できます。

実際に色々試してみましたので、動画で速度を比較していただきたいと思います。

まずは標準電圧です。分圧比は 8.2[kΩ] : 8.2[kΩ] = 1 : 1 = 6.12[V] : 6.12[V]


 

次は、約7Vです。8.2[kΩ] : 12[kΩ] = 1 : 1.46 = 5.03[V] : 7.36[V]

途中「ギー」と音が鳴りますが、アイドラーギヤの調子が悪く、噛み合っていなかったためです。


 

続いては、今回の改造で採用した約9Vです。8.2[kΩ] : 22[kΩ] = 1 : 2.68 = 3.37[V] : 9.03[V]

ここまで上げるとかなり速くなります。


 

10Vでも試してみました。8.2[kΩ] : 33[kΩ] = 1 : 4.02 = 2.47[V] : 9.93[V]

ここまで電圧を上げても、あまり9Vの時と変わらないように感じます。


 

もし、出力全開にしようとするとなら、R2の抵抗を抜いてしまえばよいです。そうすると電源電圧がそのままベース電位になるので、12Vでモーターが動作します。しかしその分、メカに負担を与える恐れもありますので、それを考慮して9Vに決定しました。

標準より快適になりました。レスポンスの速度としては、サンキョー製メカを搭載したTEACのデッキくらいではないかと思います。

SONY TC-KA3ESの改造、つづいては再生オペアンプの交換です。

(オペアンプ交換はこちらです)