取扱説明書コピー付きの中古カセットデッキは違法?

カセットデッキのいろは 第40回

 
こんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。

音響店のブログをご覧くださり、ありがとうございます。

今回は、少し法律の話を交えて、『取扱説明書のコピーを付けて売るのはどうなんですか?』というテーマでお話ししてみます。


 

 皆さん、ヤフオク!は使われたことありますか?

 きっと、音響店のブログを読んでくださる方の多くは利用していると思います。

 今や古いオーディオを手に入れるには欠かせない場所となっているのが、ヤフオク!です。

 

 では、使ったことのある方に質問です。

 商品を眺めていて『取扱説明書コピー付き!』と書かれた商品を目にしたことはありませんか?

 

 それは、もしかしたら違法かもしれません。

 

 

説明書のコピーは複製権に触れるかも…

 今回は、『コピー』や『複製』という単語がたくさん出てきます。この2つの単語から頭に浮かぶのが『著作権』です。

 僕は弁護士ではありませんので断定はできませんが、あくまで一つの意見として今回お話しします。

 

 一概に『著作権』とは言っても、著作権の中でさらに細かく分類されています。その中の1つにあるのが『複製権』です。

 複製権は、文字通りコピーをする権利です。この権利は著作者にあり、それ以外の人は無断でコピーすることができません。今回の取扱説明書ですと、取扱説明書を制作したメーカーに複製権があると思います。

 

 例えば、本屋で買った書籍を1冊買い、それをコピーして会社内で使うのは違法とされています。本来であれば必要な分だけ書籍を購入しなければならないと思います。

 ただし、合法となるケースもあります。CD、レコード、ラジオから、カセットテープへ録音した経験がある方ならお分かりだと思います。私的使用のための複製ですね。これはOKです。

 取扱説明書にあてはめると、自分で原本をコピーして保存しておくのはOKだと思います。

 それ以外にも合法となるケースはいくつかありますが、少なくとも営利目的での無断コピーは禁止されています。

 

取扱説明書コピーを販売するのは違法だと思う

 オークションなどで見かける『取扱説明書コピー付き』の商品は、仮に無断で複製されていれば、僕は違法だと思います。

 僕はカセットデッキを専門にやっていますので、カセットデッキの事でお話しします。

 中古カセットデッキの殆どは、説明書がありません。基本的には本体だけ売られています。そのため、説明書付きの中古カセットデッキは価値が高くなります。つまり、高く売れるということです。

 先ほど、複製権の例外として「私的使用ための複製」を挙げましたが、コピーを販売に使っているので該当しないでしょう。

 何の目的で複製しているかというと、「利益を高くするための複製」である可能性が高いと思います。

 これは私的使用ではなく、営利目的にあたるのではないでしょうか。

 許可を取っていれば別ですが、仮に許可を取る場合は恐らく利用料もかかります。許可を取るにしても複製する部数に制限があったりするなどの条件もありますし、なかなか個人では許可が下りないと思います。ですので、無断でコピーして販売している可能性が高いのではないかと思います。
 

 

 もう一つ疑問があります。

 なぜ説明書のコピーが単体で出品されていないのに、カセットデッキと一緒に出品されているのでしょうか。

 

 この疑問に良い例が、店舗で流すBGMです。

 市販のCDを買ってきて、営業中にBGMとして再生するのは違法とされています。直接的には利益に繋がらないものの、店の雰囲気づくりのために流すように間接的な目的であってもダメだそうです。

 説明書のコピーも同じことが言えると思います。

 単体で出品して直接利益は得ていません。しかし、付属品として出品したカセットデッキの売価を高めようとすれば、間接的に利益を増すことになると思います。

 

『説明書コピー付き!』は注意してください…

 中古カセットデッキで説明書が付いていると、やっぱり欲しくなってしまうと思います。ですが、説明書のコピーを付けている商品は、危ない臭いが強いです。

 

 オークションは個人でも簡単に物を出品できてしまうので、色々な人がいます。ですので、できればオークション以外の信頼できる所で探す、もしくはオークションで故障しているものを一旦買って修理するという手段がおススメです。

 費用がかかるので修理までは要らないけど、ちょっとカセットを聞きたい方には、レンタルという手段もあります。

 

 一番怖いのは、動作品をカセットデッキを買ったらすぐ壊れて、修理代が嵩んでしまうことです。本当なら、修理代と併せて4~5万円で済んだものの、結局7~8万円かかってしまったケースが、僕のお客様で過去に数名いらっしゃいました。
 
 カセットデッキに限らず、オーディオが好きな方にとっては少し残念な事ですが、こんな裏事情もある事を片隅に置いておいていただけたら、中古品を探すときの参考になると思います。

 

 中古品を探すときは気を付けましょう!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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前回の記事:
第39回 プレーヤーを変えるとカセットテープの音質が変わる理由。

プレーヤーを変えるとカセットテープの音質が変わる理由。

カセットデッキのいろは 第39回
 

こんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。

音響店のブログをご覧くださり、ありがとうございます。

今回は、「同じカセットプレーヤーでも、メーカーや機種を変えると音質も変わりますよ!」というお話です。


 

 カセットプレーヤーは、カセットテープを再生する機械です。特に1980年代には、音楽を聴くメディアとして欠かせないものでした。

 その頃って、色々なメーカーから発売されていたと思います。

 皆さんはどんなものをお持ちですか?もしくはお持ちでしたか?

 

 カセットテープの録音と再生をする事はもちろんですが、実は違うプレーヤーで再生すると音質が変わります

 

 では、なぜ音質が変わるのかを少し見ていきましょう。

 


 

理由1:再生ヘッドの違い

 『再生ヘッド』とは、テープに記録された音を読み取る部品のことをいいます。カセットテープの再生には、必ずこの部品が必要です。

 音質がメーカーや機種によって変わる理由は、まずここにあります。

 再生ヘッドは金属出来ていますが、使われる素材がプレーヤーによって違います。素材は合計で5種類です。

 比較的安いラジカセですとコストの安い素材が使われますが、何万もするプレーヤーになれば見合った素材が使われています。


 

 では、なぜ素材が変われば音質も変わるかです。

 

 カセットテープは磁力を使って録音や再生をします。

 テープを再生するときは、再生ヘッドがテープと直接触れます。触れた状態でテープを順々に送っていくことにより、音が再生される仕組みです。

 つまり、再生ヘッドは磁力を電気信号に変換する仕事をしているという事になります。ポイントは、磁力から電気信号に変換される瞬間です。

 磁力を上手く電気信号に変換するかどうかは、先ほどご紹介した金属の素材に左右されます。これによって、別のプレーヤーで再生すると音質が変わって聞こえるというわけです。


 

 実際に再生ヘッドの違いを写真で見てみましょう。黄色で囲んだ部品が再生ヘッドです。

 色の違いに注目してください。

 

 こちらは全体的に銀色になっています。

 

 では、別のプレーヤーを見てみましょう。

 

 表面が少し黒っぽい色をしているのが分かるでしょうか。

 

 素材は全部で5種類とご紹介しましたが、2枚の写真は中でも色の違いがはっきり分かるものです。残りの3種類は銀色なので、パッと見た感じは同じ再生ヘッドに見えます。違うとすると表面にある模様が違うくらいです。


 

 もう1枚見てみましょう。

 この再生ヘッドは色が銀色ですが、先ほどとは形が違います。

 実は、先ほどの2つは、再生と録音を別々のヘッドで行っている『3ヘッド方式』よばれるタイプでした。こちらは、『2ヘッド方式』といって、再生と録音を同じヘッドで行います。役割を共有していることから、録再ヘッドと呼ばれます。
 
 『3ヘッド方式』か『2ヘッド方式』かによっても音質が変わります。一般的には、『3ヘッド方式』の方が音質が良いとされています。

3ヘッド方式:
 消去ヘッド,録音ヘッド,再生ヘッドの3つで構成されているものを指します。

2ヘッド方式:
 消去ヘッド,録再ヘッドの2つで構成されているものを指します。

 

 このように、再生ヘッドの材質、形状、構成で音質が変わります。

 音質が変わるといっても、著しく変わるというわけではなく、例えば「ちょっと低音が強くなったかな?」という程度です。

 聞こえ方には個人差があるので、あまり変わってないという風に感じるかもしれません。実際に聞いてみないと何とも言えませんが、音質の違いが分かるとカセットテープの面白さに気づくのではないかなと思います。

 

理由2:電子回路の違い

 メーカーや機種によって、設計も違います。電子回路の基板は外からは見えませんが、一番分かりやすいのは重さです。

 重さが5㎏もないプレーヤーもあれば、10㎏を超えるものまであります。どちらのプレーヤーも音は再生されますが、高価な機種になるほど電子回路に工夫が施されていたりするなど、音質を追求しています。


 

 では、カバーを開けて電子回路の様子を見てみましょう。注目するのは、基板の枚数です。

 このプレーヤーは基板は1枚です。

 

 もう1台見てみましょう。

 こちらは、基板が3枚見えているのが分かります。実は右側は2層構造で基板が取り付けられていて、合計すると4枚です。

 先ほどの基板1枚のタイプと違うのは、機能ごとに基板を別々にしているところです。


 

 電子回路に工夫を凝らすと、どうしても基板の面積を取ってしまいます。もし1枚の基板に収めようとすると、もの凄く大きな基板になってしまい、プレーヤーも大型になってしまいます。

 そのために、高価なプレーヤーになるほど基板の枚数が増え、重量も増します。基板だけではなく、本体の枠組みや、電圧を下げるためのトランスの大きさも、重さを決める要素となっています。

 

実際に聴いてみましょう

では、実際にどのくらい音質が変わるのか、サンプルを用意しました。

【A】

【B】

 2つとも違うメーカーのプレーヤーです。【A】と【B】どちらが好みでしたか?

 ちなみに、再生しているテープは同じです。

 片方は定価10万円を超えるプレーヤーですが、必ずしも10万円の音が良いわけではない事もあります。それは、曲のジャンルによってマッチする音質が違うからですね。

 

さいごに

 各メーカーから様々なプレーヤーが発売された数だけ、音質の違いがあるといってもよいと思います。人間で言えば個性です。

 もちろん、アンプにも音質の違いはあります。しかし、カセットテープは、プレーヤーによっても音質が変わりますし、テープを変えても音質が変わるという面白さがあります。

 テープとプレーヤーの組み合わせは、なんと数万通りです。いくら試しても終わりが見えないのが、カセットテープの世界だと思います。

 いったん面白さに気づくと、どっぷり浸かってしまうはずです。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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