皆様こんにちは、西村音響店の西村です。
カセットデッキの基礎を学ぶ「カセットデッキのいろは」シリーズ、第11回目でございます。
第10回のヘッド掃除に続き、今回はピンチローラーの掃除の仕方をご紹介していきます。その前に一応、カセットデッキの掃除ポイントをおさらいしておきましょう。ポイントは3つありました。
1.ヘッドの掃除
2.ピンチローラーの掃除
3.キャプスタンの掃除
今回は2番目、ピンチローラーの掃除です。
ピンチローラーは、常に一定速度で回転するキャプスタンと、テープを挟み込むことにより、音が震えたりすることなく、安定した再生を行う、という大事な役割があります。
もし、ピンチローラーが汚れていると、音が震え出したり、付着した汚れを他のテープに移してしまうかもしれません。汚れてくると、ローラーの表面が茶色くなってきますので、それを目安に掃除しましょう。
それでは、掃除の仕方をご紹介します。
使うのは、こちらのクリーニングキットです。日本綿棒さんから販売されているもので、ピンチローラーを掃除するための専用の液体がセットになっています。
ピンチローラー用は、左の透明色の液体です。これと、綿棒を使って掃除します。
クリーニング液を浸した綿棒で水拭きをした後、新しい綿棒で乾拭きをします。
ピンチローラーを掃除する上でのポイントは、綿棒を手前方向に動かすことです。奥から手前、奥から手前、というように、一定方向に綿棒で拭いていきます。
横方向に動かすと、ローラーが回ってしまって、上手く拭くことができません。ただ、万遍なく拭き掃除しなければならないので、綿棒で少しずつローラーを回しながら、ローラー全体をしっかり拭いていきましょう。
オートリバースに対応したカセットデッキの場合、ピンチローラーは左と右、2つありますので、両方とも掃除しましょう。
こちらのカセットデッキも、ピンチローラーが2つあります。こちらは、高性能タイプに採用されているもので、ピンチローラー1つのデッキよりも、テープの送りを更に安定させるために、このような構造になっています。これについては、別の回で取り上げます。
このようなカセットデッキも、同じく両方のローラーを綺麗に掃除しましょう。
汚れたピンチローラーを掃除すると、こんな風に汚れが取れます。綿棒が赤茶色、または焦げ茶色になれば、掃除できている証拠です。
さて、ピンチローラーの掃除の仕方で、全部のカセットデッキではありませんが、このように掃除することもできます。
カセットを入れない状態で、再生ボタンを押し、再生の状態にします。すると、ピンチローラーとキャプスタンが密着します。
キャプスタンは常に回転しているので、密着したピンチローラーも回ります。そこに、クリーニング液に浸した綿棒を軽く当てれば、楽に掃除することができます。綿棒の動かし方は先ほどと一緒で、「奥から手前に」です。
水拭きが終わったら、同様に乾拭きをします。あまり綿棒を強く当てないように気を付けて下さい。汚れ以上に、ゴムまですり減らしてしまうかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
ピンチローラーの掃除のコツは、綿棒を奥から手前に動かすことです。
前回、ヘッドの掃除で、クリーニングカセットを使うか、クリーニング液を使うかで、メリット、デメリットをご紹介しましたが、結局クリーニング液がないと、ピンチローラーを掃除できませんので、やはりクリーニング液がお勧めです。
いくらヘッドが綺麗でも、ピンチローラーが汚ければ、安定して綺麗な音が出ませんので、ヘッド、ピンチローラー、そして次回ご紹介するキャプスタンは、セットで掃除しておきたいものです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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