A&D GX-Z7000の修理(後編) 電子部品の交換から組立まで

 

先日に、メカ部分のオーバーホールまで終了した、A&D GX-Z7000です。

(メカのオーバーホールはこちら前編で紹介しています。)

メカの整備に続き、電子部品の交換を行いました。経年劣化が進んでいる電解コンデンサと、大きな電力を供給するトランジスタを交換しました。


電源部分には、東信工業UTWXZを使いました。ローインピータンス、105℃、3000~5000時間保証の仕様です。アンプ部分にはニチコンのFG、Muse-ESを採用しました。


システムコントロールには、標準品を使用しました。実際に音声信号と関わりのない部分にはオーディオ用コンデンサのメリットは少ないでしょう。その分、アンプ部分をグレードアップするのも有効です。音質が変わるなどの意見は、それぞれありますが….

タクトスイッチは、GX-Z7000に関しては全てのボタンに1本ずつ信号線が入っているため、誤動作が発生する恐れはありませんが、ボタンが劣化すれば、反応が悪くなったりします。もちろん使えている分には全く問題ありませんが、早いうちの交換がお勧めです。

こちらはシステムコントロール回路のパワートランジスタです。使われているのは、東芝製の2SD1508、30V-1.5AのNPNダーリントントランジスタです。通電中はこの素子がかなり発熱します。通気口が開いているのも、このトランジスタの放熱の為です。

そしてこのトランジスタの代替とするのは、東芝 TTD1509Bです。80V-2.0Aで、同じくダーリントントランジスタです。多数の中から、一番特性の近いのがTTD1509Bということで採用しました。

そのトランジスタがどこにあるかと言いますと、矢印の部分の放熱フィンが付いたものです。ちょうどこの上部に通気口が開いています。

基板とメカを組み立てます。メカ用のモーターは、新しいものに交換しました。オーバーホールと併せて、動作音がより静かになっています。ケーブル類はタイラップでしっかり縛ります。


通電して再生動作の確認です。電子部品の交換を大がかりに実施しましたが、問題なく動作が行えました。

機械系統と電気系統のオーバーホールした、A&D GX-Z7000となりました。このGX-Z7000は1987年製で、ちょうど30年と経ちましたので、メンテナンスは必須になってくるでしょう。それ以前に点検の目安は1000時間と言われますので、定期的なメンテナンスは、故障を予防する上でも重要だと思います。

いま壊れていなくても、重度な故障が発生すると手に負えなくなると、復活も難しくなりますので、古い機器を扱う上では予防は大切です。

 

A&D GX-Z7000の修理(前編) メカのオーバーホール

 

A&D GX-Z9000の弟である、GX-Z7000のメカユニットのオーバーホールを行いました。

GX-Z7000は、9000に搭載されている対数圧縮方式dbxノイズリダクションが搭載されていないモデルで、構造的には9000と殆ど変りません。dbxを使用しなければ、7000でも十分楽しめます。ただサイドウッドが無いのは、ちょっと惜しいところかもしれませんね。中古価格も9000より、1万円ほど安いので、お求め安くなっています。

さて、整備のご紹介へ移ります。AKAI、A&Dの3ヘッドデッキは、経年でグリスが固まって、固着してしまうことが多々あります。ですので、古いグリスをしっかり落とすことがポイントです。

順番に分解の様子を見ていきましょう。

まずは前面パネルの取り外しです。パネルの取り外しの時は、向かって手前側2つの足(インシュレータ)を外しておかないと、パネルを固定しているネジを外せません。

続いてシステムコントロール回路(以下、シスコン)の取り外しです。メカと繋がっているケーブルは全て抜き、FLディスプレイ、ボタンの周辺にあるネジを外して、画像のように避けておきます。この方法でなくても、FLディスプレイ部分を固定したまま、シスコンだけを手前側に避ける方法もあります。ただ今回は完全に分解するため、この様にしました。

メカは上側2つ、下側2つのネジを外すと、固定が外れます。あとは、各ヘッドのケーブルを抜きます。ここでシスコンを避けないと、ヘッドのケーブルを抜くことができません。GX-Z9000の場合は、ここでdbx用の基盤も取りはずします。


本体からは離れ、ここからはメカの作業です。まずは側面のフレームを外して、扉を外します。


次にリールの取り外しです。マイナスドライバー等を使って、圧入されている円錐状のストッパーを引き抜くとリールが外れます。

続いてピンチローラーを取り外しました。ピンチローラーにバネが2つ付いているので、それを予め外しておきます。この部分は、固着を起こしているため、少し力技が必要です。

個体差はありますが、固着の具合が酷いと、ビクともしないくらい、カチカチに固まっていることもあります。軸の部分にアルコールを数的垂らして、ブロワ―などで液を奥へ染み込ませると、少し柔らかくなって外しやすくなります。それでも硬い時は硬いので、力余って周りを損傷しないように慎重に行います。

ヘッドブロックを固定している部品を外し、この様にヘッドブロックを取り外します。小さいベアリングがありますので、紛失しないように注意です。

ピンチローラーを上下させる部品も外します。金属製のシャフトストッパーがありますが、少し硬いので、マイナスドライバー等で少しずつ上へ持ち上げるように外すのがポイントです。

背面からは、キャプスタンモーターのユニットを外します。前面と背面に3つずつネジがありますので、これらを外します。そうすると画像の様にユニットごと引き抜けます。

更に、駆動回路の基板、キャプスタン、カム用のギヤを外せば、分解完了です。

不要な部分は取り外さずそのままですが部品点数はこれだけあります。構造自体はそれほど複雑ではありませんが、なによりグリスの固着が厄介です。

グリスが付いていた部分は、一つ一つ綺麗に拭き取り、新しいグリスを塗ってから組み立てます。


組み立ては基本的に逆の順番で戻せばよいのですが、順番よりも、どの部品がどのように付いていたかを覚えておくことが重要です。一つ一つの部品の意味を理解することが、分解・組立で重要なポイントです。

どんどん元通りに組み戻していきます。

一通り、可動部分の組み立てが完了すれば、外部電源でモーターを動かし、モード切替を行ってみます。このメカは、メカ用のモーターは9Vで駆動しますが、安全の為、5Vくらいの低い電圧でゆっくり動作させ、様子を見ながら電圧を徐々に上げていきます。

ヘッドが正しく上下するか、ピンチローラーがしっかり動いているかを確認します。こういった外部電源によるメカ動作の確認は、本体の取付け前に異常が無いかチェックできるので、作業の効率化が図れます。

メカの整備は以上で終了です。より神経を遣うのは、分解するときの方か、それとも組み立ての時の方か、私個人的には分解の方です。

分解の時に部品を紛失してしまったら、組み立てに支障が出ますので、特にストッパーなど、細かい部品の取り外しは、神経を集中させます。

 


メカに続き、内部の埃と汚れを掃除します。シスコンは邪魔になりますので、タイマースイッチのケーブルと、FLディスプレイの電源線を、半田を吸いとって外します。FLディスプレイに衝撃は絶対厳禁です。

放熱用の通風孔が開いている関係で、埃が溜まりやすい構造となっています。シスコンにある、電力用のトランジスタがかなり熱くなりますので、放熱しなければ故障の危険が高まります。

画像にある放熱板が付いた2つのトランジスタは、オペアンプなどの増幅ICに電源を供給するトランジスタで、正電源用のNPN型と、負電源用のPNPが型がペアになっています。このことをコンプリメンタリーと呼んだりします。

アンプ回路の基板を取り外してみると、埃が溜まっています。しっかり拭き掃除しておきましょう。


この様に光沢が出ればOKです。

ひとまず、一旦ここで切りにしまして、電解コンデンサを新しくできないか、費用を算出したところ、贅沢な高級品は使えないものの、交換できる見通しが立ったので、電解コンデンサを待ってから作業を再開することにします。

<s>また後日、続きをご紹介します。</s>
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