今回はTEAC V-9000のメンテナンスのご紹介です。県内の方より、フルオーバーホールのご依頼を頂きました。
久々に電源ONすると煙が出たとのことでしたので、もしかすると重症かもしれないと思いました。

しかし特に異常は見られず、基本的な動作は出来ました。恐らくは突発的にトランジスタが熱暴走したのではないかと考えています。ご依頼者様が直ぐに電源OFFにしたこともあり、幸いにも熱破壊は免れたと思います。
今回特に異常は無いものの、定期的なメンテナンスという事で、機械系と電気系のオーバーホールをセットで行いました。まずはメカのオーバーホールから行います。

まずは、フロントパネルの取り外しになります。つまみ類は予め全部外しておきます。

メカを降ろすには、画像中央に写っているネジ3本と、もう2本のネジを外します。同時に配線も取り外しておきます。

もう2つのネジはここにあります。下の方にあるネジです。こちらは向かって左側ですが、右側にもあります。

メカを降ろせました。本体の方は、この作業では扱わないので避けておきます。

私の場合は、メカは背面から分解していきます。最初にキャプスタンと、カム用モーターから外します。

リールモーターのみになりました。続いてリールモーターも外してしまいます。

ネジが固く回りにくい時があります。ドライバーで緩めようとすると、力余ってネジ穴を舐めてしまうこともあります。こういったときは、ネジザウルスが活躍します。

リール台、アイドラーとセットで取り外します。ここで一旦背面から前面へ移ります。

扉を外しました。扉をはめ込む突起がついた部品が右側にあって、それを外すことで簡単に外せます。

テープポジション検出用のスイッチがある基板を外しました。再度背面に戻ります。

今度はこのレバーの取り外しです。このレバーが、ヘッドの上下を行っています。真ん中の軸が支点になって、力点がギヤに付いた凹凸で操作をします。またまたフロントに戻ります。

ヘッドブロックを外しました。Eリングで留めているだけなので、特に複雑ではありません。

このタイプはTEACの独自設計のメカで、寸法が大きくやや大型のメカですが、部品点数もそれほど多くなく、細かい部品も少ないので、整備性はとても良いと思います。小型化されたメカになると、細かい部品が増えて取り外しに苦労したりというデメリットがあります。
部品の清掃はエタノールでグリースをしっかり落としたあと、シリコーンを塗って滑りを良くします。

この様に、シリコーンスプレーの液を万遍なくキムワイプにつけて、

摺動部分を中心に拭き掃除をするように塗っておきます。いわゆる下塗りです。その上からシリコーングリースを塗って潤滑をします。

分解して部品を清掃し終わった後は、このように適宜袋に入れて保管します。一日で全行程を行うのではなく、一定ごとの区切りで分けて行っています。一気にやってしまうと、作業事故の恐れが出ます。うっかり力技をやってしまって部品を破損させたり、小さい部品を紛失したりすると作業の進行が止まってしまうので、必ず段取りをとるようににしています。
(後編はこちら)





