【カセットデッキ】ドルビーノイズリダクションの使い方

 

 

皆様こんにちは、西村音響店の西村です。

この度もご覧いただき、ありがとうございます。

 

カセットデッキの基礎を学ぶ「カセットデッキのいろは」シリーズ、今回は第15回目でございます。

第14回では、ハイポジとクロームの違いって何?といったテーマでご紹介いたしました。元々は、磁性体に二酸化クロムを使っていたことから、クロームとも呼ぶ人もいらっしゃる、というお話でした。

今回は、ノイズリダクション機能のお話です。カセットテープにはノイズが付き物ですが、それをいかに減らして録音・再生を行うか。ノイズが多いとされるカセットテープの弱点を、克服するためにあるのが、ノイズリダクション機能です。

 

 

それでは、ご紹介していきましょう。

1.ノイズリダクションシステムとは

カセットデッキには、ノイズリダクションシステムと呼ばれる機能が搭載されています。

これは、ヒスノイズと呼ばれる、カセットテープ特有の「シー」という音を、聞こえにくくするために、音声信号の処理を行う電気回路のことです。

ノイズリダクションシステムで一番著名なものが、ドルビーラボラトリーズ社が開発したシステムで、俗に「ドルビー」と呼ばれます。

ドルビー以外にも、dbx社、東芝、ビクターなど、各社独自に開発したシステムもあります。

今回は、ドルビーに絞ってご紹介します。実際に音を聞いていただくコーナーもございますので、是非ヘッドホン・イヤホンを準備の上、ご覧下さい。

 

2.ドルビーの種類

ドルビーノイズリダクション(以下、ドルビー)には、3つのモードがあります。

・Bタイプ

・Cタイプ

・Sタイプ

それぞれ、音声の処理の方法が異なり、ノイズを低減する効果は、Bタイプが一番弱く、Sタイプが一番強いです。

まずは、それぞれのモードで、どれくらいノイズが小さくなるか聞いてみましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか。Cタイプ、Sタイプでは、ノイズが殆ど聞こえないくらいになっていたと思います。ノーマルテープでも、これくらいまでにノイズが消えます。

ノイズの多いカセットテープには、強い味方となるでしょう。

 

 

3.ドルビーの使い方(録音するとき)

さて、本題のドルビーの使い方に入ります。

ドルビーを使うには、カセットデッキにある、”DOLBY NR”と書かれたスイッチを操作します。

スイッチを「B」または「C」の位置に合わせることで、ドルビーが有効の状態になります。Sタイプが使えるカセットデッキの場合は、「S」の位置があります。

また、カセットデッキの機種により、スイッチではなく、ボタン式になっているなど、操作方法が異なりますが、必ずドルビーのモードを切り替えるスイッチあるいはボタンがありますので、探してみましょう。

 

録音する時は、ドルビーを有効にするだけでOKです。ヒスノイズを低減させつつも、綺麗な音で録音ができるようになります。その前に、録音レベルの調整と、バイアスの調整をお忘れなく。

実際に、ドルビーを「OFF」にして録音した場合と、ドルビー「B」、「C」、「S」それぞれ有効にして録音した場合の音を聞いてみましょう。

 

Cタイプ、Sタイプの方が、ノイズがよく消えるので良いと思うかもしれませんが、実は効果が強力になる代償として、欠点があります。これについては、最後に解説しますので、まずは、「C」と「S」は強力なモードと思っていただいて結構です。

 

 

4.ドルビーの使い方(再生するとき)

シチュエーションが変わって、今度は再生の時の使い方です。

再生する時には、録音の時に使ったモードを使います。

例えば、レコードからカセットテープに録音するときに、Bタイプを使って録音したとします。その録音テープを再生するときは、ドルビーのスイッチを「B」に設定してから再生する、といった流れです。

つまり、Bタイプで録音したら、Bタイプで再生する。Cタイプで録音したら、Cタイプで再生する。Sタイプも同様です。

録音する際に、どのモードを使ったかをメモしておくと、迷う心配がありません。

ちなみに、アーティストのアルバムなど、市販のミュージックテープでは、ドルビーを使って録音されているものがあります。そういったテープは、画像のようにドルビーマークがついています。多くはBタイプのモードで録音されているので、同じBタイプのモードで再生すれば綺麗な音で聞くことができます。

 

5.ドルビーを使う上での弱点

最後に、ドルビーの弱点について、簡単に触れておきましょう。

ドルビーは、カセットテープにとって厄介なヒスノイズを低減してくれる、とても便利な機能ですが、その代償として副作用があります。

副作用としてよくある事例が、録音した時とは違うデッキで再生した時に、信号処理に誤差が出てしまう事です。誤差により、音に違和感が出る事があります。例えば次のように、Cタイプで録音したテープを、他のデッキで再生した場合です。

同じ曲ですが、何となく音質が悪くなっているように聞こえたのではないでしょうか。

こういった現象は、特にCタイプで起こりやすいです。Cタイプは効果が強力な分、処理にちょっとした誤差があるだけで、音が乱れることがあります。

ですので、他のデッキで再生するのであれば、副作用が出にくいBタイプの方がお勧めです。

先程の市販のミュージックテープで、Bタイプが採用されているのも、副作用を影響を考慮していると言ってもよいと思います。

 

 

強力なモードでもう一つ、Sタイプがあります。Sタイプは、効果が強力であるとともに、他のデッキで再生しても、音に違和感が出るといった副作用が出にくいという、ドルビーの中では一番最強のモードです。

しかしSタイプにも欠点があります。それは、Sタイプが使えるカセットデッキが少ない事です。

Sタイプが登場したのは、1990年代に入ってからで、それ以降のデッキで、Sタイプを搭載した機種のみでしか録音・再生が出来ません。つまり、80年代のデッキは、Sタイプは使えません。

そうなると、Bタイプ、Cタイプの方が汎用性の面では軍配があがります。

一番汎用性が高いのはBタイプで、ドルビーシステムを搭載している全てのカセットデッキで録音・再生が出来ます。70年代のデッキでもOKです。

 

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。ドルビーを使う上で重要な事は、ヒスノイズを少なくできるメリットを得る代わりに、処理の誤差が発生したり、汎用性が低くなるといったデメリットを受け入れなければならない事です。

まとめると、

●Bタイプ ⇒ 効果は小さいが、再生できるデッキが多く汎用性が高い。
●Cタイプ ⇒ 効果は大きいが、処理の誤差により音が乱れやすい。
●Sタイプ ⇒ 効果は大きいが、Sタイプに対応するデッキが少ない。

このようになります。

 

私の場合は、多種多様の年式のカセットデッキを所有している関係で、汎用性の高いBタイプを使うことが多いです。そして、元々ヒスノイズが少ない、ハイポジテープ、メタルテープは、ドルビーを使わずに録音します。

ドルビーの使い方も、人それぞれ違うと思うので、そこがまたカセットデッキの奥深さを感じる事の一つですね。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。