STK5478電源ICの対処につづき、テープが走らない状態に対処していきます。
(STK5478の対処はこちら)
早速ですが、どういう状態か動画でご覧いただきましょう。
音からして、かなりの摩擦でテープが走らないように感じます。その一番の原因は、テープが接触する部分にあります。特に、ガイドポストが固着して巻取りが遅くなったりすることが多々ありますが、ここまでになるのは見たことがありません。
マイナスドライバーで簡単に緩めることができ、このように取り外せます。巻取側がよく固着して、巻戻しが遅くなります。基本的にはエタノールで洗浄します。潤滑だからといって、ここにグリースを塗ってはいけません。逆にグリースの粘りが、回転を阻害してしまいます。
ひとまずこれで、少し遅いながらも、正常に巻取りできるようになりました。しかし、カウント0へ戻るテープリターンではトルク不足で、止まってしまいます。ヘッドドラムや、固定ヘッドなど、接触する部分を徹底的に掃除しましたが、改善は見られませんでした。
仕方がないので、モーターのトルクを上げることにします。トルクを調整するには、1つの抵抗値を変えてあげればよいです。
矢印で指している抵抗です。ここの抵抗値を変更します。
片方の抵抗値を100kΩから68kΩに変更しました。
すると、通常DDモーターの駆動回路に入るのは8Vですが、10Vに上がりました。
DDモーターは、三洋電機製LB1615によって駆動されます。そのICに速度-位相制御端子(Vc)というものがあり、そこへ印加する電圧または電流で、速度をコントロールできるというものです。ベータマックスでは、電源の12Vは固定ですので、電流で制御していると思われます。
詳しいことは調べてみないと分かりませんが、電流制御のためのトランジスタが外づけされています。
動画で比較してみます。
機械的な動作は、ほぼ問題なく出来るようになりましたが、残念なことに映像が、かなり厄介なことになっています。
一見普通に映っているようにも見えるかもしれませんが、実際は、物凄くざらつきのある映像です。
ざらつきといっても、調整の狂いで発生するようなものではありません。調整用のボリュームを回しても変化が見られず、どこかの素子がやられているのではないかと思いました。
さらに、βⅠsモードでは、見ていられないくらいに映像が汚く、βⅡ・Ⅲでは、そのような事はないので不思議です。完全に修理しようとすると、これはかなり時間がかかってしまうと予想されるので、無念ですが断念せざるを得ません。
これほど重症になってしまうと、手に負えなくなることもあります。正常であれば、SHBモードを搭載した高性能なデッキですが、残念です。
片づけてしまう前に、ちょっとイジェクト用のモーターを弄ってみましたので、よろしければ続きをご覧ください。
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