今回は、珍しいポータブル型のベータマックス、SONY SL-F1のご紹介です。
神奈川県の方より、RCAケーブルで接続できるようにしたいという改造のご依頼です。SL-F1は、元々カメラを接続して、撮影された映像を録画するために発売されたデッキで、映像、音声などが専用端子になっています。
また別売りのPCMプロセッサーを使用することで、撮影映像と共に、デジタル音源の高音質記録再生が可能でした。ただ、専用ケーブルを使用するため、RCAケーブルは使えません。今回改造して便利性を図るというのが内容です。
外観はこのように、横幅は標準の43.5cmの半分です。
DC12Vで駆動する仕様となっており、自動車用の電源でも使える設計になっています。
ビデオカメラに多様されるポップアップローディングです。
底部の樹脂板を外すと、製造年月日と思われる日付が印字されていました。昭和56年11月28日、1981年製です。36年前の製品ですね。私のTC-777カセットデッキと同い年です。
フロントパネルを外します。ラッチで固定されているだけで、力を入れ過ぎないように隙間をこじると外れます。
バッテリー部分を外し、メカを露出します。これよりメカの取り外しにかかります。
まず大変なのが、この配線の取り外しです。同じ色のコネクタ、同じピン数のものが数個ありますので、マジックでのマークをしないと、分からなくなってしまいます。
画像記録では、もしかすると写し漏れする可能性もありますので、複雑な場合は、マジックのマークが有効です。
固定しているネジ等を外していけば、この様にメカが外れます。ただし、1カ所半田ごてが必要な箇所があります。
キャプスタンモーターの配線が、はんだ付けされています。これは、吸い取って外すしかありません。配線も後で間違えないように、記録しておきます。
メカの取り外しに成功しました。構成としては、メカの下の回路がシステムコントロール、外付けのようになっている、小さな基板が、音声と映像の処理回路です。コンパクト設計にするため、かなり集積されています。
イジェクト機構を外します。特に複雑な部分はなく、ネジを外すだけです。
リールモーターを外しました。このメカですが、左と右にそれぞれDDモーターを使った、同時期に初のHifi機として登場したSL-HF77や、F11と同じメカです。
構造が複雑ですが、信頼性の高い設計と、レスポンスの良さが特徴です。バックテンションも、DDモーターを逆方向にトルクを掛けることで、物理的な部品を使う必要がありません。
リール台を引き抜くと、2つのDD回路が現れます。こんな贅沢な設計は、今日では考えられません。軸をエタノールで脱脂し、シリコーンスプレーを薄く塗っておきます。
この辺りは、長らく使われたベータマックスのメカと殆ど同じです。
摺動部の清掃と、シリコーンスプレーの塗布をします。
ガイドポストもエタノールで清掃します。
埃も少し積もっていたので、拭き掃除とグリースの塗布を行いました。続いては、本題のRCA対応化の改造です。
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