日立Lo-D D-E90の修理に成功しました。

 

 どうも、こんにちは。こんばんは。西村音響店の西村です。

 今回は、この記事を書いた1か月前にご紹介した、日立Lo-DのD-E90カセットデッキのご紹介です。Lo-Dのカセットデッキは、D-E90が初めてでしたが、無事に修理は成功しました。

 修理前の状態をご紹介していますので、よろしければ下のリンクからご覧ください。

http://nishimurasound.jp/blog/archives/6292

 

 

修理した箇所

 今回のD-E90は、ベルトが完全に溶けきれてしまって動かないという状態でした。ですので、まずはベルトを交換です。

 ベルトを交換すれば修理できるのですが、当然ながら一筋縄ではいかないものです。なにしろ、溶けた38年前のゴムベルトが残っているのですから、きれいに取り除いてあげなくてはなりません。

 きれいした状態になったら、新しいベルトを取り付けます。あとは、汚れたピンチローラーやキャプスタン、録再ヘッドを掃除して、修理としてはこれで完了です。

 しかし、それだけでは終われないのが僕です。

 いったん全ての部品を分解して、洗浄して、グリース・油を塗り直して、…という工程で、オーバーホールをします。自分が使うだけであれば、必要最低限やれば問題ないと思うかもしれません。

 しかし、そのような考えは一切ありません。むしろ、このオーバーホールの大きな目的は「練習」「訓練」です。

 はじめて機種に挑むのにも、最初は練習が必要です。分解してみると、とても勉強になります。まったく違う機種から、修理方法のヒントが見つかるという事も、よくあります。

 
 

難易度的にはどのくらい?

 D-E90の修理の難しさはどうかですが、普通くらいでしょうか。

 幸いにも基板が少ないので配線は簡単です。メカニズムの取り外しだけであれば難しくありません。

 実際に、すべての部品を分解してみると、それほど部品は多くないといった印象です。組付けが若干複雑で、組み立てに少し時間を要したくらいですね。

 ただ、初めての機種ということもあるので、じっくりメカニズムを観察して頭に叩き込む工程が余分にかかりました。これでもう僕の頭の中に記憶されたはずですので、次からはスムーズに作業ができます。

 

 実は、分解や組み立ての工程よりももっと時間がかかった作業があります。それが、溶けきれたゴムベルトの処理です。

 キャプスタンのフライホイールに完全にくっついてしまう状態で、抉らないと取れないくらいでした。

 普通でしたら、軟らかくなったゴムをエタノールでふき取れることが多いです。ですが、今回のD-E90はそれが通用しませんでした。加水分解が進みすぎると、固まってしまうのでしょうか。ゴムを使うカセットデッキは、保管環境にも大きく左右されることを思い知らされる光景でした。

 

 

D-E90の音は?

 
 一言で表すと「繊細さのある音」でしょうか。音が硬い柔らかいかでいうと、柔らかいですね。よく高音域も伸びてくれます。

 1980年の製造ですが、音質はバブル期のデッキと勝負しても引けを取らないと思います。近い年代ですと、ソニーはスリーセブンことTC-K777、TEACはC-3X、アカイはGX-F95があります。これらを音の硬さで比べると、

(柔らかい)TC-K777 << D-E90 << GX-F95 << C-3X(硬い)

 こんな感じでしょうか。

 個人的な感想にはなってしまいますが、C-3Xだけは断トツで硬い音の印象が残っています。GX-F95は、ノーマルテープは柔らかめですが、メタルテープを使うと硬い音に変わります。

 D-E90は柔らかすぎず硬すぎずで、癖は少ないように感じました。再生ヘッドは、硬めの音が出る傾向にあるフェライトを使っているのですが、ある程度に音に丸みを持たせているようで聞きやすいです。曲のジャンル問わず楽しめると思います。少しモーターのノイズが入っているのが惜しいところです。

 

D-E90 × TDK MA-XGで再生した音源 (MP3形式 可変ビットレート201bps 4.27MB)

 

楽曲はフリー音楽素材の魔王魂さまよりお借りしています。

 

 

まだコンデンサ交換が残っています

 無事に動くようになったD-E90ですが、まだ古いコンデンサーの交換が残っています。音響店の「フルメンテナンス」という修理メニューをこのD-E90にも施していきます。幸いにも基板が少ないので、さくっと終わるでしょう。

 特に電解コンデンサーは、もう既に劣化しています。同い年のデッキで、ナカミチ581Zを持っていて、D-E90の先にコンデンサーの交換を終えました。交換する前と後では、ノイズリダクション(ドルビー)を有効にした時の音質が変わります。

 つまり、電解コンデンサーの劣化によって、ノイズリダクションの処理が正しく行われず、音質も悪くなっていたという可能性が高いです。

 修理自体はもう完了していますが、もう+αを行って、試運転をします。問題がなければフルメンテナンス済みのD-E90の完成です。 

 
 

 

さいごに

 この記事は2018年12月29日に書いています。もう年末年始モードになっていると思いきや、僕は通常通りです。

 実はD-E90以外にも並行して、パイオニアCT-A7DアカイGX-R88にも挑戦しています。まだ手付かずですが、1975年のテクニクスRS-2630TEAC V-8000S、そしてデンスケことTC-D5、などなど… まだまだやるべき事はたくさんです。

 大晦日だって、カセットデッキに囲まれた部屋で黙々と練習します。
 
 

新しい機種に挑戦中。日立Lo-D D-E90

 

どうも、こんにちは。こんばんは。西村音響店の西村です。

今回は、これまでにまだ修理をしたことがない機種をご紹介します。

ご紹介するデッキはこちら。

1980年製の Lo-D D-E90 です。

 

 実は、昨年にD-E90のジャンク品を手に入れておりまして、ずっと手つかずの状態でした。D-E90が目ぼしくなった理由としては2つです。

 1つは、調べてみると3ヘッド方式で、単に音が良いんじゃないか?という思い込みです。

 本来は、新しい機種に挑戦してみようという目的でデッキを探していました。バブル期のデッキは、少し高いし台数を稼げないのでパス。1980年台前半なら何でもいいからゲットしようという気持ちでした。丁度良いタイミングに古い3ヘッドデッキが手に入り、ラッキーに思った次第です。

 もう1つは、安いということがありました。

 オークションで入手しましたが、たしか、誰も入札していませんでした。1,000円~数千円で入手できたと思います。初めての機種は、無事に修理できるかどうか不安で、出来るだけ安く手に入れたいという思いもありました。いきなり、2~3万円のジャンク品への挑戦はリスキーです。(今ではそれほどでもありませんが…)

 失敗したら痛い支出になりかねません。ただし、心の底から使ってみたい機種であれば、やはり気合が入りますね。

 

 何か月ぶりかは、もう分かりませんが開梱して状態を見てみました。

 さすがに、修理・メンテナンスなしでは動かせません。このD-E90は38歳(2018年現在)ですから、今日まで無傷のまま保っているのは困難でしょう。修理の体制に入る前に、状態を動画で記録しておきました。

 

 ということで、メカニズムを本体から降ろして、修理の体制に入ります。

 もちろん、単なる修理ではなくオーバーホールです。本体の中を見てみると、予想以上に簡素な構成になっていることに驚きました。大きな1枚の基板に、電源、制御系の回路、アンプが入っているようです。もう少し高級機っぽく複雑になっていても良いと思いますが、ともかく音を聴いてみないとD-E90の真価はわかりませんね。

 Lo-Dのほかに、まだ触ったことのないメーカーを挙げてみると、パイオニア、デノン、テクニクス、アイワ、ケンウッドがありますね。まだまだ沢山あって恥ずかしい限りです。

【2018/11/28訂正】ケンウッドは、トリオのKX-70が過去に1台あります。失礼いたしました。ベルトが粘土のごとく軟らかくなってしまっていたものを修理しました。
 
 

 新しい機種に挑戦するのは、単に好きだからという事もありますが、それだけではありません。最大の目的は、より多くのユーザーさまの力になることです。

 全員がバブル期のデッキを使っているわけではないと思います。1970年代のデッキで楽しんでいる方もいらっしゃれば、オートリバースの方が好きという方もいらっしゃるかもしれません。

 さらに、僕自身も多くのデッキを使って体感することで、ユーザーの皆さまと感想を共有できればと思っています。偏見なしに、それぞれのデッキが持つ良さ、特徴、癖などを1台1台じっくり見ていきたい次第です。

 過去に経験のない機種に挑戦すると、ぐっと緊張感が増します。音響店の過去の修理実績を掲載していますが、載っていない機種にも関わらず修理をご依頼されることがしばしばあります。

 もちろん、実績のある機種も大歓迎です。僕の主観になってしまうのかもしれませんが、もし他へ実績のないカセットデッキの修理を依頼するのは少し不安です。それでも依頼してくださる方には感謝です。これからも、届いた挑戦状はしっかり受け取っていきます。

 

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。